アカノの感情と反動
「ぐっ!!」
空中で斬りつけてくる【魔神】の一撃をなんとか受け止めて互いに地に戻る
こちらはデバフを受けている事も有り、若干の疲労感があるにも拘らず、相手は見る限り疲労感はない
(長期戦はどう考えてもこちらが不利・・・。)
私自身の魔力が少ない事に加えて、デバフ効果まであるとなるとエンチャント付与している事を考えてもトータルでマイナスだろう・・・
「其は・・・誠に【剣聖】か?」
不意に【魔神】がそう口走る
その質問は【剣聖】にしては強いという事だろうか?
それとも【剣聖】にしては弱いという事だろうか?
どちらにせよ・・・
「私は今、【剣神】だ。」
正直に答えても不利益は無い為にそう答える
するとまるで動揺したかの様に身体をピクっと動かす
「・・・其は、人族の身でありながら・・・【剣神】まで至ったか。」
「それもこれも弟に逢う為だ・・・。」
そう答えると自然に奥歯がギシっと鳴る程に歯嚙みしてしまう
「どうやら・・・貴様にその希望は摘まれた様だが。」
「・・・・・・。」
私がそう言っても何も言わない
私と言えば、その一言を漏らしただけで様々な感情が濁流の様に溢れ出す
「何故貴様はクロノを連れ去った?!!」
「・・・何と?」
「私は【真祖】に聞いたのだ!!魔族の大群が【真祖】の元へ赴き、その際にクロノを誘拐したのだと!!」
そう・・・ブロウドさんはそう私に告げた
そして誘拐されるという事は利用価値があると言う事、だからこそクロノは生きていると・・・
ブロウドさんが言うには何処の国か分からなかったみたいだが、【魔神】が支配する【魔神連合】こそが・・・クロノを誘拐した国々だったのだ
私がそう告げると、表情は読めないが明らかに動揺しているのが感じ取れる
まさかそこまで知られているとは思っていなかったのだろう・・・
だが私の怒りは奴の動揺程度で収まるモノではない
「クロノは・・・クロノは用済みだから殺したのかぁーーーーーー?!!!!」
私の猪突猛進ながらも渾身の斬撃を、反応が遅れながらも【魔神】が捌く
今の私には相手が捌こうが捌かなかろうがどうでも良い・・・
ただこの怒りと哀しみ・・・そして怨みを吐き出せる相手が居れば・・・
「答えろっ!!クロノをどうやって殺した?!!斬殺か?!!黒い球体の魔法か?!!拷問か?!!」
「我は「五月蠅いっ!!!クロノの何か知りたかった?!!黒髪黒目な事か?!人族が変生した経過か?!!それとも人族の情報なのか?!!」」
(あぁ・・・まただ・・・。)
一心不乱に剣を振る度に怒りで心の波紋が消えていく
すると不思議な事に・・・【赤炎】もそれに呼応する様に威力が高まっていく様に感じる
怒りで魔力が底上げされているかもしれない等と考え、更に憎しみや怨みを吐き出す
「クロノは弱いがっ!!!優しいっ!!!家族想いのっ!!!自慢の!!弟だったのにっ!!!」
私が叫びながら剣を振るう程に激しい金属音と魔力が拡散されていく
【魔神】は私の斬撃を受け止めはするが、反撃を繰り出してこない
(斬るなら・・・斬れっ!!)
勝っても負けても・・・生きても死んでも・・・私には敗けの無い戦いだ・・・
あわよくばば敗けても【魔神】を道ずれにし、あの世で弟に謝らせたい気持ちはあるが・・・それはついでだ
「お前がっ!!人族をっ!!滅亡に追いやると言うならばっ!!私は!!魔族を!!滅亡に追いやってやる!!!」
ーーーーーーキィィィィィィィィィィンーーーーーー
そう口にした瞬間・・・【赤炎】が今までにない位、威力が高まり・・・【魔神】の持つ剣を一刀両断した
だがそんな些事は目の前の仇の命に比べれば・・・どうでも良い
・・・意識はある
・・・・・・自我もある
だけど・・・
感情に歯止めがかからない・・・
「そうだ・・・魔族を根絶やしにすれば良い。そうすればクロノは喜んでくれる・・・。自分を殺した種族を根絶やしにした私を褒めてくれる・・・。」
その言葉に呼応する様に【赤炎】に纏わせた炎を唸り上げ、より攻撃が強くなったと感じる
「お前も手伝ってくれるの・・・?」
私の問いかけに応える様に・・・炎は業火となっていった
やっと2つばかりの伏線を回収できました・・・
当初から念頭にはあったのですが、どう回収させるかを若干悩んでました。
まだ伏線は幾つか残っておりますので、カッチリ回収したいと思いますので何卒宜しくお願い致します。
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