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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
Ⅺ章【ケツルイガシタタルホドニ】
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アカノの死闘の始動


あの日から5日後・・・約束の日が来た

意外と言うべきか、人質とした【魔王】ロキフェルは非常に大人しく殆ど見張りという役割は必要なかった

こんな形でなければ彼(?)彼女とも仲良くできたと思う

性別を自由で変える事が出来るという悪魔族特有らしい秘密も教えて貰ったりした

指定の堅牢な城とも見間違える様な砦の残骸に1つだけの影を映されている

その影は見間違える訳も無く・・・あの時に出逢った【魔王】だ

やはり奴が【魔神】だったのかと思っていると


「えっ?!!」


「どうしたの?」


その姿をみたロキフェルが非常に驚いた表情をしている

私がなにかあったのかと彼に尋ねると、暫し硬直した後首を横に振る


「お姉さん、あの御方が・・・紛れもなく【魔神】様だよ・・・。」


「そうか・・・約束は守られたわね。ロキフェル、この5日間有難う、ここからは1人で行くわ。」


「待って!!」


そう言って【魔神】の元へ進もうとする私にロキフェルは声を掛けてくる

怪訝な表情を浮かべながら振り返ると、この5日間見た事も無い沈痛な表情を浮かべる


「お姉さん・・・【魔神】様と戦うの?」


「そう、ね・・・傍にクロノが居ない。という事は奴はクロノを渡すつもりが無い、若しくはクロノはもういない・・・そう言う事になるからね。」


「お姉さんは・・・あの御方には勝てないよ。万一勝てたとしても・・・地獄を見るよ?」


勝てても地獄を見る?呪いか何かの類だろうか?

私が彼に情が移った様に彼ももしかしたら私に情が移ったのかもしれない

だけど・・・この場を引く事はどう考えても有り得ない


「大丈夫よ。【魔神】には負けないし、呪いなどにも負けないわ。」


そう言って微笑むと俯いてこちらを見ようとしない

忠誠と情でせめぎ合っているであろう事は容易に想像できる

私は軽く「じゃあ。」とだけ声を掛けて【魔神】の元へ近づいて行く


(・・・やっと)


クロノを失った日から今日までの事を思い出す


(やっとよ・・・。)


ローエル達から始まり、噂1つで他国を駆け巡る


(やっと・・・)


【真祖】と出逢い強くして貰い、龍族にも契約をして貰った


(ここが・・・)


【魔王】とも戦い、今から【魔神】と戦わなければならない

それでもやっと・・・クロノとは目と鼻の先の場所まで来た


そんな事を考え、歩んでいくと徐々に歩幅と歩くペースが早くなる

気が付けば・・・【魔神】との距離は数十メートルと言う場所まで近づいていた


【魔神】の仮面を覆い、ローブを纏った姿を見ると頭が沸騰する

相手の強大さ、強さ、恐怖感のその全てをこの一瞬は忘れ、思わず私は声を大にして叫んでいた



「やっと・・・やっとだ!ここまで来たぞ!ここが終着点だ!覚悟しろ【魔神】!!!」


剣の切っ先を突き付けてそう叫ぶ私に反して、【魔神】は攻撃を行う素振りが無い

けれど・・・隠し切れないその強大さと、見るだけで恐怖を連想させる感覚はあの時と同様、いやそれ以上だ


私は【赤炎】と自分自身の魔法でエンチャントを付与する

クロノはいない・・・つまりはそう言う事だ・・・

此処までやっても勝てるか分からないが、可能であればクロノの事を聞きだしたい

けれども脳裏に浮かぶのは・・・最悪の姿となったクロノの事ばかりだった

そんな私の想像を嘲笑うかの様に【魔神】は口を開く



「・・・其の、敗北により、この喜劇の、幕を下ろそう。」


そう言って黒い剣を悠然と構える

奴の一挙手一投足の全てに殺気が籠っているかの様に感じ、私も自然と剣を構えた


(これが・・・本当に最後だ・・・。【魔神】を倒して・・・クロノ、貴方に必ず逢いに行くっ!!)


今の私には恐怖は無い

兎に角、クロノに逢いに行くという気持ちだけで今は良い

そう決意を旨にした、文字通りの死闘が始まろうとしていた・・・



いつも有難う御座います!!

「面白い&期待している」という方は★&ブックマークを是非ともお願い致します!!

ご感想やレビューも心よりお待ちしております!!

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