アカノの光と怒り
私がその事に触れると明確に表情が変わる
「・・・風の噂ってやつだ。」
「魔族領にまで?私の噂が?それは光栄ですが・・・その戯言を私が信じるとでも?」
考えれば考える程殺気が滲み出る・・・
恐らくコイツは・・・クロノを知っている
人族と戦争をする際に、クロノから人族の情報を尋問したに違いない
だからこそ私の事を把握しているのだ
「・・・クロノ、クロノ=エンドロールを知ってるわね?」
「・・・言わねぇ。」
「そう・・・その言葉で充分。後は・・・貴方の身体に聞く事にするわ。」
そう告げると同時に魔法を放出し続けていた背中の腕を一本斬り落とす
「?!!!!」
「・・・見えなかったの?」
ただでさえ魔力量の少ない私がエンチャントを施していたのだから魔力は残り僅かだ
けれども・・・それを言い訳によりエンチャントを施さない理由は今は無い
「お・・・お前、い・・・異常だぜ。」
「そう・・・。で?話す気になったかしら?」
「言わねぇっつってんだろうが!!!!」
そう言って背中の片腕で先程の魔法よりも遥かに威力が高そうな炎魔法をこちらに撃ち込んでくる
確かにこの魔法をまともに受ければ私は無事では無いが、こんな単発魔法に当たる程私の速度は遅くない
一瞥した後、再度エンチャントした速度で回り込み魔法を撃ち込んでくる片腕を斬り落とす
「これで魔法は撃てないでしょ?・・・生憎、拷問や尋問なんてした事が無いの。ましてや殺さずに聞きだすなんて難しい事、私には荷が重いわ。四肢が無事なうちに教えて貰えない?」
そう言って威圧すると、先程まで陽気だったのが嘘の様に全身に汗を流して動揺している
恐らく、彼も今からは容赦無く斬り刻まれるのを察しているのだろう
様々な手段を講じているかもしれないが・・・絶対的に逃がす気も、私自身が死ぬ気も無い
「・・・俺は主君に忠誠を誓った身だ。敵に対して何かを伝える事は何も無い。」
「それは貴方の命と天秤に掛けてもですか?」
「ふんっ!俺の命など天秤に掛ける価値も無い。」
「そうですか・・・ではその強がりが何処まで続くか確認してみましょう。言っておきますが、私の弟の命が掛かっておりますので一切の慈悲は有りません。」
そう言って背後からゆっくりと背中に剣を刺す
「ガ、ガアァァァァァァァァァァ!!!」
「尋問をするのはゆっくりと確実に痛みを与える必要があると思っているのですが合っておりますか?」
「ち、調子にっ!!!」
振り向き様に裏拳をこちらに向けてくる
剣を振るよりは素早さは上がるだろうが・・・今の私にはそれすらもどうでも良い
ダンキの拳が動く波紋を読んで容易に避け、そして首筋に蹴りを入れる
「ガァ・・・。」
うめき声を上げながら倒れ込む
(あれ・・・。あのスキルは心静かな状態でないと発動出来ないんじゃなかった?・・・まぁ良いか。)
私が先程発動させた【明鏡止水】は相手の動きが水の波紋が動く様に感じ取れるスキルだ
けれど自分の心が静かな状態でないとそのスキル効果は発動しない筈だった
無理やりこじつけるならば、怒りが強すぎて逆に心が静かな状態なのかもしれない
さて続きを・・・と思いダンキの方へ近づいて行くと、側面後方から魔法弾が撃ち込まれてくる
それも容易に回避し、攻撃された方向へ視線を向けると・・・もう1人の【魔王】が何故か少女になってこちらを睨みつけながら口を開く
「どちらかが全滅するまでが勝負だったんだから、助太刀するのは構わないわよね?」
「・・・えぇ、勿論よ。此方としても聞ける魔族は1人より2人の方が良いわ。ましてや・・・。」
そう言いながら背後から不意打ちで仕掛けてくる女性魔族の攻撃を回避して、剣の柄で腹部を殴打させる
「ぐっ!!!」
「2人よりも3人だったら・・・もっと良いわね。」
そう言いながら3人の魔族を相手に臨戦態勢を取った
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