クロノの達観と諦観
頑張った分だけ報われる世界なら良いのになぁ~…
「可能性、ですか?」
正直、今一つピンと来ていない
そんな僕に対して興奮しながら説明を続ける
「そうだ!君の称号は空欄になっているよね?!もし君が本当に無職であるならば称号に【無職】と記載して然るべきだ!けれど君の称号には何も記載されていないという事は何かが反映されるという事だよ!!」
そう言われても実感がない
今まで無職と言われ続けていたのもそうだし、突然何かの職業になれると言われてもどうなりたいか?が浮かばないのだ
「実感ないんですが…僕は何になれるんでしょうか…?」
「クロノ君それこそが可能性だよ!!君は何にでもなれる!!【勇者】だって【賢者】だって【魔王】にだってなる事が出来るんだよ!いや素晴らしいよ!私は本来生物はそうあるべきだと思っていたからね!!」
当の僕を他所にブロウドさんは興奮している
「【勇者】や【魔王】ですか…やっぱり実感が湧かないですね…」
そう言いながらステータスボードを眺める
「ブロウドさん、そう言えばステータスボードに今まで表示されていない言葉が表れたのですがこれは何でしょう?」
僕はステータスボードに新しく表示された言葉を指さす
「なんだって?!それはもしかすると君の称号に関わる事かもしれないよ!!」
僕が指さした場所には今まで無かった【神ヘノ冒涜】という言葉が表示されていた。
「【神ヘノ冒涜】ですか…私自身初めて聞く名前ですね。」
(ブロウドさんでも聞いた事がないスキル…)
【真祖】たる彼が知らないという事は、もしかすると初めて表れたスキルかもしれないな
「一体どんなスキルなのでしょう?」
「私も分からない以上は起動させてみるしかないね。幸いここは世界とは別空間だ、余程の事がない限り誰にも迷惑は掛からないよ。」
そう言いながら僕にスキル起動を勧めてくる
(多分ブロウドさん…ワクワクしているよね…)
こんなにワクワクしているのに大した事ないスキルだと申し訳ないな等と考えながらスキル起動を念じた
瞬間、目の前に膨大な画面が表示される
1つ1つの文字が丸で囲まれており、丸から丸へ無数に枝分かれされている
それが僕の目線から空へ向かって表示されているのだ
「これは…」
僕はポカーンと見上げる中、隣でブロウドさんは感嘆している
「ブロウドさん、何は分かったんですか…?」
「うむ…【神ヘノ冒涜】というスキル名と照合すると間違いないだろう。」
そう言って僕の方へ身体を向き直した
「クロノ君、先程に私が言った通り君には何でもなれる可能性がある。このボードはそれを指し示すスキルだよ。例えば…ここを見たまえ。」
彼はそう言いながらボードの下部分を指さす
「これは…」
指さされた部分には【勇者】【御使】【覇王】【使徒】【魔王】と表記された丸い部分が点滅されている
「君はこの5つから称号を選ぶんだ。選んだ称号がステータスに反映されるという事だろう。」
「この枝分かれしている部分はなんでしょうか?」
「恐らくだが…この称号が上がっていくんじゃないかな?」
「称号が上がる?」
そんな話は聞いた事がないな…
「そうだよ。例えば称号【剣人】を持った者がいるとする。その者が修行したり強くなると【剣士】になるんだ。」
「え?!」
そんな話は初めて聞いた
「おや?人族では有名な話では無いのかね?」
「そうですね…そんな話は初めて聞きました。」
僕がそう言うと暫し考えてから口を開く
「成程…もしかすると人族は与えられた称号によって相応の生活しか送っていないという事と、人族は他の種族と比べて短命故に事例がないのかもしれないね…」
「成程、確かにそれはそうかもしれません。」
人族は15歳の時に受け取る称号に沿って生活する
【剣人】であればギルドの所属となるがランクの高い依頼を受け取る事がない
そして所属パーティーがA級やB級になれば除名されるのが一般的だ
そして除名される人間も自分の称号が低いという負い目もあり渋々ながらも了承する事が殆どだ
何故なら死んでしまう可能性が高いから
そして人族は他の種族と比べて短命だ
寿命が長い人でも60年位、40年位で亡くなる人も少なくない
であれば人族が称号について知らなくても無理はないかもしれない
(それにしても…)
自分の称号を見ながら思わず呟く
「…僕の称号、上級にも程がありませんか…?
有難う御座います!!
クロノさんは称号から何を選ぶんでしょうね?
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