ロザンワの苦戦と抗戦
相手の苦笑と挑発めいた目を見て苛立つが、当の本人は特に気にする事も無く『氷王の魔弾』に向かって手を翳す
「・・・『夜王の魔衣』。」
彼女がそう魔法を発動させる事により、目の前に真っ黒なカーテンの様なモノが現れて魔弾を吸収し、そして消えていった
その場になければ追尾も何もない・・・
ましてや闇属性と相対するのは光属性だけだ
私の氷属性も通らない訳では無いが・・・結果はこの有様だ
暫し茫然とする私に向かって彼女か口を開く
「お前たちは我々を魔族と一括りにするが、種族により特性が違う。あのデカ物は鬼人族と言って防御と攻撃特化した種族だ。そして私と主は悪魔族と言って・・・。まぁなんだ、物理よりも魔法の方が得意な種族だ。」
・・・物理が得意ではない?
あれだけ・・・人族の中では並みの戦闘職よりも動ける私を圧倒しながら?
確かに彼女の魔力量が高い事は理解していたが・・・ここまでだとは思っていなかった
「先程の超級魔法は中々見事ではあったけどな。主の近衛をしている私には流石に効かない。」
そう答えながら彼女は更に魔力を練り上げてそう答える
逆にここまで突き放された私は、急速に頭が冷静になる
(圧倒的に勝る相手と対峙すると人って冷静になるのね・・・)
今まで感じた事のない自分の感情に驚きながらも、頭の中では分析と算段が始まる
(私の対抗出来る切札はあと2つ。・・・問題は直撃させる状況を作る事だけど。)
私は再度魔力を練りあげ彼女の頭上にファイアジャベリンを複数落とす
彼女はそれを見ると「アイスランス。」と魔法を唱えてファイアジャベリンのぶつけて相殺し、そのついでと言わんばかりにこちらに対し攻撃を仕掛けてくる
「くっ!!!」
間一髪避けながらアースニードルを発動させ、彼女の立っている地に棘を飛び出るが容易く避けられる
そのままファイアランスを連射式に発動してくる為、集中して魔法を発動させる事が出来ずに初級や中級魔法で対抗するしかない
「どうした【勇者】?!!お前の得意な魔法での勝負だぞ?!避けるだけでは先程と何も変わらないではないか?!!」
「む!ちゃ言わないでっ!!くださ・・・いっ!!!」
必死になって応戦するが、彼女は余裕の表情で私の攻撃を相殺させていく
「無茶?そうか・・・お前たち人族にとっては無茶な事を言っているのか・・・。なぁ【勇者】、魔族では【勇者】という者が何と言われているか知っているか?」
「し・・・る訳ない、でしょっ!!」
「教えてやろう。【勇者】とは姑息な奴、卑怯者、自己中心的な我儘な者を指し示す隠語だ。」
「な・・・んですって?!!」
「私も詳しくは知らんがな、一対一も碌に出来ずに多勢で攻め込んできたり、己が世界の中心だと考えている【勇者】が昔は多数居たそうだ。今のお前を見るとそこまでだと思わんが・・・多数で攻め込んで来た上に奇襲まで行おうとする・・・最早人族全体が【勇者】だな。」
そう言いながら止む事無く攻撃魔法を放ち続けてくる
「私たち【勇者】が・・・そこまで貶められるのですか?」
「それはそうだろう?主の主が居ない間に数百に対して数万規模で奇襲をかけてくる様な種族だ・・・。私たちは正々堂々と戦い敗れる事には何も思わない。だが・・・だがだ!!大多数で寝首を掻こうとする者を決して認めないっ!!!」
私は隙を見て、近くにある森林に身を隠す
それを見た彼女の声は怒りが強まっている様に聞こえた
「我々っ!!【魔神連合】はっ!!醜悪な人族を決して許さないっ!!!貴様等【勇者】はっ!!私たちが何もしなければ図に乗り続けるのだっ!!」
森林に隠れながら彼女の様子を窺うと、彼女の周りに更に魔力の高まりが感じ取れる
「お前たち人族など!!唾棄すべき存在だっ!!『夜王の波動』っ!!」
そう言って彼女は超級魔法を放とうとし始めた
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