クロノの予感と予言
「さ、3人?!!人族が3人で【魔王】2人を要する砦を攻略したというのですか?!!」
ルーシャとファーニャは立ち上がりながら声を荒げる
だけど・・・3人の内、1人だけ心当たりは・・・有る
「その3人の外見の特徴は報告されているかな?」
「い、いえ・・・この文書には・・・ただこの文書を持ってきた兵士ならもしかすると・・・」
「悪いけれど・・・その兵士を呼んで貰っても良い?」
「は、はいっ!!直ぐにっ!!」
そう言って彼女は一礼をした後に直ぐに走り出す
そのやり取りをみて2人は何かを聞きたげな表情を浮かべる
「・・・多分、僕が知っている人だよ。・・・多分だけどね。」
その表情を読み取り先に答える
【勇者】を差し置いて国から指名依頼が来ていた・・・
国内最強と言われ、近隣諸国からも一目置かれていた・・・
そして単身で龍をも討伐していた【剣聖】・・・
そんな彼女ならば・・・
「クロノ様・・・」
「旦那様・・・」
2人は心配そうな表情を浮かべ声を掛けてくれる
僕はその表情に笑顔で返すが・・・笑えているだろうか?
「し、失礼いたします!!あ、悪魔族の伝達の任を賜りましたハインです!!」
そう言って彼は跪いて礼をする
「大丈夫だよ、取って食うつもりは無い。」
「は、はいっ!!!」
そう言って僕の顔を見ると非常に驚いた表情を浮かべる
「く、クロノ様・・・仮面を・・・」
そう言われて初めて気づく
回復したばかりで仮面を付ける事を失念していたな・・・
だけど今更仮面を付けるのもなんとなく体裁が良くない
開き直って彼に尋ねる事にした
「ハイン、僕の姿は人族に酷似しているけれど・・・どう思う?勿論本音でいってね?」
「は、はっ!!も、問題無いかと!!我等は【魔王】様に忠誠を誓った身です!!容姿がどうでも我らが【魔王】様であることに変わりは有りません!!」
「じゃあ仮に僕が皆の前で仮面を外しても問題無いかな?」
「・・・はいっ!!少なくとも悪魔族は我が主が忠誠を誓う【魔王】様に刃を向ける事はないと断言致します!!」
「・・・獣人族もそうですよ。」
「勿論妖精霊族もです。・・・鬼人族もそうだと思いますよ?」
「・・・そっか。ごめん話が逸れたね、襲撃してきた人族の容姿を知りたいんだけど分かるかな?」
「は、はいっ!!私もこちらに向かう様指示されるまでは戦場におりましたので・・・人族3名ですが、全員女でした。」
ドクンーーと胸が激しく鼓動する
答え合わせをした先にあるのは絶望だろうか・・・それとも新たな決意だろうか・・・
「1人は魔法に特化した様な女でした。薄紫色の髪で黒いとんがり帽を被り、ローブを纏っておりました。もう1人はテイマーでしょうか・・・?魔獣を従えておりました。オレンジ色の髪で野性的な服装をしていた様に思えます。最後ですが・・・剣士でした。」
「剣士・・・」
「はい、称号は分かりません。長い赤い髪をしており、白銀の鎧を纏っておりました。・・・実質この剣士に敗れたと言っても過言ではないかと。」
「・・・・・・姉さん。」
「は?」
「いや大丈夫だ。・・・有難う、助かったよ。」
そう言って兵士を部屋から下げさせる
・・・最早確信している
その剣士は姉さん、アカノ=エンドロールだと
「クロノ様・・・」
「旦那様・・・」
「・・・・・・大丈夫。もう・・・決めたんだ。もう・・・間違えない。」
その剣士が姉さんだとしても・・・僕は魔族領の皆を選ぶ
姉さんが障害となるとしても・・・僕は姉さんを倒す
「僕は・・・早急に【魔神】化してダンキ達の元へ転移するよ。これ以上・・・皆を傷つけさせない。」
「「・・・はい。」」
そうだ
僕はもう間違えない
僕が姉さんの前に敵として立つ日は・・・もう、目の前だ。
僕は覚悟を持って早急に【魔神】となるべくツリーを開いた
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