クロノと敗戦と開戦
「・・・つまりは魔力枯渇していた僕を助けた後、少しでも魔力に溢れた場所に移動させるためにインフォニアに連れて来たって事か。」
そう確認すると2人とも頷く
だけど表情は未だに照れ照れと言った感じだ
「2人とも本当に有難う。多分、皆が来てくれるのが僅かでも遅ければ僕は死んでいたと思うよ。」
2人の表情を敢えて無視してそう告げる
すると2人とも仕事モードの表情に切り替わった
「因みに今はアンギスはどうなっているの?」
「はい、バルデインが四武の2人と兵士150を連れて首都に向かっております。そこでアンギスがクロノスに敗れた事を宣言すると同時に天使族を奴隷等にはしない旨を通達する手はずとなっております。」
「四武を2人連れて?・・・大丈夫かな?」
そう心配するとファーニャはにこやかに頷く
「大丈夫です。四武2人と言えども、1人は四肢不完全、もう1人も傷を負っている上に精神が弱り切っております。万一も反抗する要素は皆無です。」
・・・彼女が断言する様子を見ると大丈夫だろうと思う
残りの2人は・・・まぁそう言う事だろう
「うん、これまでの流れは凡そ理解したよ。」
「ところでクロノ様、【魔神】には無事になれたのですか?!」
ルーシャが食い気味にそう尋ねてくる
確かに意識を失う直前にツリーが点滅するのを見た気はするけど・・・
そう思い再度ツリーを開き確認する
「・・・うん、。いつでも【魔神】になる事は出来るね。」
間違いなく【魔神】の箇所が点滅されている
それを見ながら感慨深くなるのと同時に、やらかしたという気持ちも湧き出てくる
(【魔王】をあと1人御すれば良いだけだったのに・・・よりにもよって【魔皇帝】と戦う事になったもんなぁ・・・)
やっぱり情報は大事だ
これからはしっかりと確認しておこなっていこうと反省する
「因みに、僕ってどれ位の間寝てた?」
アンギスからインフォニアに戻って来るだけで数日間を要する事を考えれば、かなりの時間を眠っていた事は間違いない
「あの戦争の日から12日が経過しています。」
「じゅ、12日?!!」
「はい、本日で13日目ですね。でも旦那様、魔力が枯渇するというのは本来死んで当然なのですから、寧ろ12日の眠りで回復したと考えるべきかと・・・」
いやまぁ、確かにそうなんだけど・・・
流石にそんなに長い期間眠っていたのは予想外だ
「え、だったら人族領に行った皆は?!」
「ご安心ください。2日前の定期報告では人族領の砦を占拠し、今は駐留中だと報告が御座いましたから。そもそもあの軍勢と【魔王】が2人いる状態で人族がどうこう出来るとは思えません。」
「そう・・・なんだけどね。」
彼女の言う通り、【魔王】が2人と魔族でも精鋭500の軍勢を人族が感嘆にどうこう出来る事はない
それこそ各国の【勇者】を全員投入させるか、人族の各国兵士全員を投入させる以外に・・・
(だけど・・・嫌な予感が拭えない・・・)
アンギスに攻め込む前に覚えた妙な胸騒ぎはまだ収まらない
それが何か?と聞かれれば分からないと答える以外に術は無いのだが・・・
「ファーニャ様っ!!!ファーニャ様大変ですっ!!!」
僕の胸騒ぎを裏付ける様にエルフが部屋に跳び入って来る
その焦りから尋常ではない事態だと把握すると同時に嫌な予感はさらに膨れ上がる・・・
「静まりなさい!!突然なんですか?!」
「も、申し訳御座いませんっ!!で、ですが!!人族領へ攻め込んだ部隊より早急の文書が到着してまいりました!!」
そう言う彼女の顔面は蒼白だ
確実に良い知らせでは無い・・・そう3人とも考えが過っただろう
「・・・今此処で読み上げなさい。」
「は、ハッ!!で、では読み上げます!!『我等、魔神連合は人族相手に・・・は・・・敗走せり。』」
「「「?!!!」」」
有り得ない!!そう思わずにはいられなかった
だけどそう思う僕の頭にサタニックの言葉がよぎる・・・
そして・・・嫌な予感はまだ・・・消えない・・・
「つ、続きが御座いますっ!!『あ、相手兵力は・・・』」
「・・・相手兵力は?」
ファーニャの声も何処か動揺している
【魔王】2人を含めた500もの軍勢を敗北させたのだから何千、若しくは何万という軍勢が攻め込んできたのかと不安なのだろう
(だけど・・・)
「『あ、相手兵力は・・・人族3名!!じ、実際は剣を持った女1人に良いようにされた!!至急救援を求む!』とありますっ!!」
「?!!!」
そう大声で読み上げられルーシャとファーニャは非常に驚いた表情を浮かべていた
いつも有難う御座います!!
「面白い&期待している」という方は★&ブックマークを是非ともお願い致します!!
ご感想やレビューも心よりお待ちしております!!