クロノの目覚めと説明
「・・・ん。」
薄っすらと目を開けると眩しい
「ここ・・・は?」
上半身だけを起こして周りを見渡すと、どこかの誰かの寝室らしい
部屋の中央部に非常に絢爛としたベッドが位置されており、僕はそこに寝かされている
周りの調度品は疎い僕でも分かる高級品が飾られている
「・・・身体は・・・何ともないな。」
手を開いたり閉じたりしても違和感はなかったので、ベッドから出て窓の方へ近づいてみた
「ここは・・・何処だ?」
見慣れない部屋、見慣れない景色を見るとクロノス領では無い事は明白だ
かと言ってアンギスでも無いだろう・・・
外の景色は自然豊かで魔力に満ち溢れている
(魔力に満ち溢れている・・・?)
という事は・・・と考えると外からバタバタバタと複数の足音が聞こえる
「旦那様!!」
「クロノ様!!」
扉がバタンと乱暴に開かれたかと思えば、ルーシャとファーニャが飛び出してくる
「2人とも・・・わっ!!」
そのまま僕の方へ一直線に近づいて来たかと思えば、手前で立ち止まる事なく身体に抱き着いて来た
「旦那様・・・心配いたしました・・・。」
「クロノ様・・・ご無事で、何よりです・・・。」
「うん・・・2人とも、心配かけてごめんね。」
そう言って2人の頭を撫でる
ただ、2人は一向に話してくれる気配すらなく、抱き着きながら「う゛~~。」やら「むぅ~~。」やら言っていた
心配かけたのは紛れもなく僕だ
僕は2人が離れるまで頭を撫でながらこの状況を甘んじて受け入れた・・・
◇
◇
「・・・で、ここはインフォニアで合ってるのかな?」
暫くして落ち着いた彼女達を引き離し、僕は今の状況を確認する
すると2人とも頷き、ファーニャが言葉を返す
「私たちが城内に侵入した時、旦那様が倒れていらっしゃるのを発見したのです。ルーシャさんが鑑定すると魔力が完全に枯渇している事が判明しました。」
「わ、わわ私は不敬だとは思っていたんですよ?!思っていましたが緊急事態でしたものですからっ!!・・・申し訳御座いません。」
シュンとする彼女に向かって首を振って笑いかける
「逆にルーシャのお陰で助かったよ。僕はあの時、本当に死ぬかどうかの境目だっただろうからね。ルーシャ、有難う。」
僕がそう礼を告げると分り易い位に顔を真っ赤にして俯く
そして彼女の横に座っていたファーニャが言葉を挟む
「だ、旦那様?!魔力枯渇から手を施したのは私ですよ!!」
「ファーニャが?!でも魔力枯渇って属性適正とかもあるから人体同士で譲渡したりは出来ないんじゃなかったっけ?」
そう尋ねると得意げな表情を浮かべる
「通常はそうです!!人族にも魔族にも適正が有りますからね!!だけど私たち妖精霊族は魔力を生み出す種族ですからっ!!その場で属性のない、誰にでも適応する魔力を注入する事もできるのです!!」
「へぇ・・・」
何というか・・・凄いなと思う
つまり妖精霊族が傍に居れば極論、魔法を使い放題って訳だ
「でも先日にもお伝えした通り、純血な妖精霊は我が国でももう殆どいませんからね・・・。旦那様、余り無理をなさらないで下さい。」
そう言って彼女の表情が曇る
確かに会談で今や9割がエルフだと言っていたっけ・・・
「ファーニャごめんね。これからは気を付けるよ。それと・・・有難う。」
そう答えるとニコニコした表情を浮かべる
そんな彼女たちを見ていると1つ疑問が湧いて来る
僕が目覚めてから入ってきた彼女たちはこう、何ていうか・・・目覚めている事を確信している感じだった
「・・・ところで2人はどうして僕が起きた事に気が付いたの?」
若干背中に汗を流しながら出来るだけにこやかに尋ねてみる
すると彼女達は凄く良い笑顔で応えてくれる
「「【宝珠】での盗聴です!!」」
その言葉を聞いた僕は・・・うん、軽くチョップしておいた
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