クロノの苦渋の負傷
ただ・・・この状況を切り抜ける為にはもう1つ確信が欲しい点がある
【強欲ナル手】が相手の装備やスキル等を奪うのであれば、どれだけの期間奪われるのか?という事だ
僕の剣は一瞬で奪われたが投擲され、今は地面に突き刺さっている
あの剣を僕が使用すれば再度奪われるのだろうか?
それとも一度放り投げた以上、スキルの効力は切れているのだろうか?
また、ローブを身につけてはいるが身につけている限りは強奪され続けているのだろうか?
スキルは相手を倒しても尚、強奪されるのだろうか?
(くそっ!!分からない事が多すぎる・・・でも1つだけ分かった事が有る。)
心の中で悪態をつきながらも一筋の光明を見つける
ステータスや称号は奪えない、若しくは奪い続ける事が出来ない
何故なら彼女が【魔皇帝】になっているという事は少なくとも2ヶ国を属国、若しくは滅亡させている筈だ
あの防御力、あの攻撃力で【魔王】2人分の力が加算されているとはどうしても考えられない
それに称号を奪う事が出来るのならば散々話していた時に奪ってしまい【魔神】となる事が出来た筈だ
だが結局今は不透明な部分が多い・・・
(でもまぁ・・・1つずつ検証するしかない、か。)
僕は1人で悦に浸っているサタニックを無視して突き刺さっている剣の方へ向かう
「・・・ぬっ!!させんよ!!」
剣の方へ向かう僕に対して手から直接光弾を放出して追撃してくる
(この時点で確定かな?)
一度手放した装備は【強奪ナル手】の支配下には置かれない
そう判断して僕は迷いなく剣の柄を握り締め、向かって来る光弾へ斬りかかる
ーーチュドーーンーー
真っ二つとなった光弾は暴発したかの様に爆発する
そのまま切っ先をサタニックへ向けて挑発する動作をすると先ほどまで笑みを絶やさなかった彼女が苦々しい表情を浮かべる
この時点で彼女が一度手放した装備品は、少なくとも再度強奪出来ない事が確定した
でなければ僕が光弾に斬りかかった状態で再度奪えば僕は間違いなくダメージを負っている
(次はスキルを何処までの期間奪われるかだけど・・・これは検証する価値が無いな。)
1分や2分という事はまずないだろうし、リスクを冒す程検証する価値はない
つまり今判明している事としては装備品は手放すと同時に支配下から離れる
ローブを装備されている現状、物理も攻撃も耐性が付与されていると考えた方が良いということだ
「・・・何をブツブツ言っている?」
「あぁ済まなかった。・・・ローブを奪ったくらいで悦に浸る片翼の【魔皇帝】が滑稽でね。」
軽く挑発すると明らかに不愉快だと言わんばかりの表情を浮かべる
だがそれも数巡の事で、余裕の表情を浮かべだす
「なんと言われ様が手傷を負った物理特化の【魔皇帝】の言う事など負け犬の遠吠えにも等しいわ。」
そう言って手を振り上げ魔力を増幅させていく・・・
「これは先程とは数が違うぞ?シャイニングレインッッ!!!」
サタニックが魔法を発動させたと同時に光は上空に飛び立ち・・・無数に飛散していく
まるで雨の様に無数に小粒の光の攻撃が広範囲に展開されていく
流石に僕に限定せずに広範囲の攻撃を行われてしまうと避ける術はない
「小癪だなっ!!」
そう言って僕は彼女の方へただ一直線に突き進む
ダメージはどうやっても負ってしまうが、それよりも先にサタニックを斬る方が先だ
僕が走っている間も彼女の魔法が身体中に浴びせられる
一発一発は大した事が無いが、それを浴びせられ続けると看過できないダメージを負い出す
彼女は片翼で宙へ回避する事も出来ない
近接戦に持ち込めば有利なのはコチラだ
そう考えて突き進むと、いつの間にか彼女の手には光の鎗が握られている
(流石に突っ立ってくれている訳が無いか・・・)
僕は再度ステップを交えて側面からの攻撃を繰り出す
「がっ?!!!」
だが・・・確実に死角を突いたにも拘らず鋭利な刃物の様なモノで切り裂かれたのは・・・僕だった
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