クロノの憤怒と奮闘
「・・・仕方ないか。」
残念ながら限りある時間で妙案を思い付く事は出来なかった
まぁ、確かに僕はそこまで頭が良い訳じゃない
「いきなり切札を切るつもりは無かったんだけどな・・・」
仕掛けていた手札を切る以外に残念ながら対策は浮かばなかった
僕は無造作に転移マーカーを起動させる
「なっ!!」
彼女は一瞬で視界から消えた僕が居た場所を見て驚愕し、一瞬動揺する
残念ながら僕はその隙を見逃す程お人好しでは無い
上空に転移され、そのまま剣を振りかぶり斬りつけた
「?!!」
ーーーザシューーー
彼女に近づいた瞬間、僕の存在は感づかれてしまい翼で攻撃を受けられる
僕はそのまま地面に着地し、彼女は翼を斬られたからか宙から地面に落ちた
「流石【魔皇帝】の謁見の間に飾ってある剣だな・・・。名剣とは言わないまでも、それなりの強度はあったみたいだ。だけど・・・もう駄目か。」
自分の手に握られた刃こぼれし、剣身にひび割れをおこした武器を眺めて捨てる
サタニックの左側の翼4枚を斬った事により、片膝を付き立ち上がろうとするだけで最早宙を舞う事は出来ないだろう
「やってくれたな・・・」
「それはお互い様だろう?魔力の消耗で言えば僕の方が圧倒的に削られている。」
事実、あの光弾を【暴喰ノ口】で対処するには魔力を削られた
体感で言えば僕の魔力量の半分位は最早無い
対して彼女は、外傷としては翼半分を失い、落下した事によるダメージはあるものの、魔力量は僕程削られてはいなかった
「くくく・・・貴様は物理に頼り、我は魔法に頼るか。互いに得意とするフィールドで戦う訳か。」
「・・・僕は物理がそこまで得意というわけじゃない。」
「抜かせ。・・・それで得意ではないのであれば、貴様のローブにエンチャントでも仕込んでいるのか?」
「そんなんじゃない。・・・コレは貰い物だ。」
そう答えた瞬間、身体中を違和感が走る
「ククク・・・くかかかか!!油断しおって!!」
そう声がした方向に目を向けた瞬間に違和感の正体を理解する
目の前には、僕のローブを羽織ったサタニックが勝利を確信した表情で高笑いをする
「お前・・・」
「馬鹿めっ!!我は【大罪スキル】持ちだと伝えておっただろうが!!」
そう言いながらローブの感触を確かめる
その仕草に思わず歯軋りしてしまう・・・
そんな心情を知ってか知らずか彼女は更に言葉を続けた
「しかしこのローブは素晴らしいな。国宝級・・・いや伝説級の品だな。道理で我のシャイニングエッジを食らっても然程傷を負っていなかった訳だ。」
あのローブは・・・常に僕を守り、僕の恩人から貰った物だ
おいそれと他の者が着て良い筈がない
僕自身、怒りで頭がグツグツと煮え滾る感情とここまでブロウドさんを尊敬していたのかと驚く気持ちが混合する
(だけど、今考えるべきはそれじゃない。)
怒りに我を失い特攻してしまうと返り討ちに合うのは火を見るよりも明らかだ
今考えるべきは、何故僕の剣、仮面、ローブは瞬間的に奪われたかだ・・・
無造作に奪う事が出来るのならば、とうの昔に奪われている筈だ
・・・何かされたか?動作は?口調?攻撃?・・・!!!
サタニックは奪う直前に僕の装備に対して話題を振ってきた
それに対して僕は・・・答えた!!!
そう言えば先程、【暴喰ノ口】に対する話題を僕は無視した
だからなのか【暴喰ノ口】は奪われていない!!
彼女の【大罪スキル】が装備品だけでなくスキルに対しても該当するのであれば脅威以外の何物でもない
「ほう、気付きおったか・・・」
愕然とした表情を浮かべる僕に反して、彼女は得意げな表情を浮かべる
その表情が僕の答えをより強固にした
「お前のスキルは、お前が話題にした事に答えると発動するスキルだな。」
「そう・・・非常に扱いにくく、されど非常に強力とも言えるスキルだろう?バレているなら答えても良いだろう。我がスキルは【強欲ノ手】という【大罪スキル】よ。」
確かに、彼女の言う通り非常にピーキーだが、非常に強力なスキルとも言える
(だけど・・・最悪は脱した。)
僕の【暴喰ノ口】と【怠惰ナ脚】は奪われてはいない
問題は・・・魔力が然程消耗していない状態で僕のローブを身に纏っている彼女をどうすれば倒せるか?
ただその1点だ
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