クロノの戦いの打開
「我らは等しく欲求、欲望を携えて生きておる。それは何故か?それを突き詰めた強力で純粋な欲望こそが他と一線を化す【大罪スキル】よ!!おおっと!!!」
彼女は僕の斬撃を避けた後に空に羽ばたき宙を舞った
だが、それよりも・・・彼女に説明を受けた所で新たな疑問が浮かび上がる
「・・・【大罪スキル】は複数あるんだよな?」
「まぁ、我から避けたのだから答えてやろう。過去の書物や記録を照合すると判明されているのは7つ・・・【怠惰】、【嫉妬】、【色欲】、【暴喰】、【憤怒】、【強欲】、【傲慢】だな。まぁ我からすれば後1つくらいはありそうな気はしておるが。因みに不思議なモノでなぁ・・・その【大罪スキル】は何故か【魔王】からしか顕現された記録しかない。」
「・・・・・・何故?」
「さぁ?それは我にも分からぬ。だがまぁ、【魔王】とは何処までも本能に忠実なモノが多い。それが起因しているやもしれんなぁ。」
僕はそうじゃない!!そう言いかけて言葉を飲み込む
ここでそう告げるのは自分が【大罪スキル】持ちである事を露見してしまうからだ・・・
だが僕の表情を見て彼女はニヤリと笑う
「成程成程・・・どうやら貴様も【大罪スキル】持ちか。7つの【大罪スキル】が揃っているであろう事は有史以来、初めての事ではないか!!」
「・・・・・・」
「ふん、だんまりか・・・。だがもう遅いぞ!!愚か者であったとは言え【大罪スキル】持ちであったブーザルを単身で制し、【魔皇帝】となっているであろう貴様は間違いなく【大罪スキル】持ちよ!!その時点で貴様と我は遅かれ早かれ相見える運命にあったのだ!!!」
そう言った瞬間、彼女の魔力が今までとは比にならない位に跳ね上がる
白かった翼は金色の翼に変容し、翼一枚一枚が異常な魔力を備えられている
「ここからは本気で対峙しよう・・・【黒家クロノス】の【魔王】・・・いや、【魔皇帝】よ!!【天聖国アンギス】の【魔皇帝】である我がその命を奪い去ってくれるわ!!」
「?!!」
「何を驚いている?まさか【魔皇帝】が自分のみだとは露ほども思っておるまい?」
確かに彼女の言う通りだ・・・
言う通りなのだが、ここで【魔皇帝】と出くわすとは思わなかった
先日の会議で報告されていた【魔皇帝】になっているかもしれない国の【魔王】が彼女だったとは・・・
(情報を活かしきれなかった僕のミスだな・・・)
「薄々気付いておるやもしれないが、我も【大罪スキル】持ちだ。同じ【魔皇帝】で【大罪スキル】持ち故、遠慮は要らんぞ?」
「・・・残念ながら遠慮する気は毛頭ないよ。」
「そうか。それは安心したぞっ!!!!」
そう言うと同時に8枚の翼から無数の光弾が僕の方へ放たれる
先程の光の鎗とは違い、1つ1つの威力密度が明らかに強い
「くっ!!」
【暴喰ノ口】を再度発動させて触手で光弾を絡めとる
「ほう・・・先程も見たが我の光弾を絡めとるとは・・・それが貴様の【大罪スキル】で間違いなさそうだ。だが・・・もつかな?」
「?!!」
その言葉と同時に僕の足元に光弾が届く
触手で光弾を絡め取って口で喰らっていっている筈なのに・・・それはつまり触手の数よりも光弾の数の方が多い事を証明している
「あ・・・有り得ない!!!」
「ほん・・・敵国の【魔皇帝】よ、先人の偉大な言葉を教えてやろう。『有り得ない事など有り得ない』のだ!!」
そう言うとより一層光弾を放つ速度が増していく
僕は【暴喰ノ口】をもう1つ発動させ、触手の数を増加させた
「ほう、もう1つ顕現させる事が出来るとはな。・・・貴様が【魔皇帝】になった事による影響か?」
「・・・・・・」
彼女の言葉を無視して打開策を必死に考える
【怠惰ナ脚】を使用して地に落とすか?
・・・駄目だ、そうなると【暴喰ノ口】が消えてしまい光弾をまともに喰らう
前進して直接斬りつけるか?
・・・駄目だ、彼女の元へ辿り着く前に光弾をまともに喰らう
僕は限りあるこの僅かな時間で必死に思考を巡らせた
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