クロノと真祖の真相
このお話をお読み頂くまでに気付いて頂いた方は鋭い方だと思います!!
「ブロウドさんが…この世界の神様だったんですか?!」
僕が素っ頓狂な声で問いかけると、彼は苦笑する
「この世界の神は少し言い過ぎだな。僕は飽くまでも僕の姿に近しい種族の【真祖】に過ぎないよ。神だと思うつもりもないし、神になりたいとも思わない。」
そう言いながら足を組みなおす
「まぁ…僕から生まれた種族がこの世界に多いという事は事実だけどね。彼らの言ったとおりだったのかな?」
「彼ら、ですか…?」
何か次元の違う話を聞いている気がするが興味が尽きない
歴史学者がこの話を聞くと興奮しすぎて倒れるんじゃないかな…
「まぁ、余り良い思い出ではないから深く話すつもりはないが【真祖】は僕以外にもいるって事さ。さ、僕の事はそれなりに話したから次はクロノ君の番だね。」
「僕の事ですか?」
ブロウドさんが聞いて面白い話等あるだろうか?とも思うけど、さっき大笑いされたし聞く立場が違えば面白いものなのかもしれないな等考えていた
「うん…クロノ君、私は君の意思とは関係なく魔族にしてしまった。これに関しては謝罪をしたいと思う。」
「いえ!僕も後で納得した事ですから!!」
ブロウドさんに頭を下げられる事なんて何1つない
結果的に生きる事を選んだのは僕なのだから
「私はね、魔族を癒したり再生させたりすることは容易なんだが…人族やその他の種族を癒す事は出来ないんだ。それこそ魔族にしない限りね。」
「そうだったんですか?」
「うん…私が本当に神ならば容易だろうが万能ではないということだよ。」
そう告げる彼の声が少し落ち込んでいる
僕自身はそれに対して憤りはないが、彼自身は思う事があるんだろう
(でも【真祖】なのに魔族しか癒せないという事は…)
「その通りだよ。」
僕の心でも読めるのか?等と考えると笑いながら
「まぁ、例の屋敷で僕の願いを瞬時に理解した君が考える事だからね、ある程度は分かるさ。」と言いながら続けた
「君たち人族は初めから人族だった訳ではないよ。魔族、より細分化すればヴァンパイア族から派生して分類化されたのが人族だ。」
ハハッと笑いながら説明される内容は正直、現実味がなくてよく分からない…
「えっと…僕らの根源はヴァンパイア族だったという認識で良いですか…?」
「うん、それで合っているよ。でもそれは人族だけではないよ。獣人族や鳥人族、ドワーフ族や僕に似た容姿の種族は様々な形で分類化されたんだ。獣人族は身体的強化を求めたヴァンパイアから派生されたし、鳥人族は空を飛び続ける事を求めた者から派生された。ドワーフ族は地中に楽園の可能性を見出した者からだね。でだ…人族は何を求めた者から派生されたと思う?」
そう言われてもよく分からない
人族は他の種族と比べて力が強くもなく、特殊能力がある訳でもない
知識に関しては他の種族を知らないので何とも言えないが…
「えっと…知識とかですか?」
そう聞くと横に首を振る
「違うよ。まぁ他の種族と比べて平均知能は高いかもしれないがね…実は人族は力が弱かったヴァンパイアから派生されたんだ。」
つまりは他の種族と比べて特徴のない者から今の人族が出来たのか…
(少し複雑な心情だな…)等と考えてしまう
それを見たブロウドさんは話を続ける
「ただね、彼らは個人の力ではなく集団の力で生きようとした者たちだったんだ。」
それを聞いた僕は成る程と納得する
確かに人族は他の種族と比べて集団行動が多い
依頼に関してもパーティーで組んで進むし、人族の集まりが社会となっている今の現状を見ると納得のいく事だった
「面白いものだね。当時最も力が弱かった者たちが集団となり、今や世界でも最も数が多い種族だ。当時の私は直ぐに絶滅すると考えていたんだけどねぇ~。」
そう言いながら可笑しそうにカップに口をつける
「まぁ、小難しい授業はこれ位にしておこう。僕が君に謝罪する所から話も大分逸れたしね…」
そう言いながら僕の顔をじっと見つめた
「いえ、先程も言った通りに僕も納得している事ですから!!」
僕はとんでもない!!という風に両手をブンブン振り回す
「そうだね。でもだからこそ私は違和感を拭えないんだよ…」
ブロウドさんのその目は真剣そのものだった
「違和感…ですか…?」
「そうだ。クロノ君、確認なのだけど…君には大切な人はいるのかい?」
ブロウドさんは不思議な事を僕に聞く
そんな事は決まっている
「僕には大切な人なんていませんよ。」
このお話で以前の伏線を幾つか回収しております
少しずつ風呂敷広げては回収出来る所はしていきたいと思います!!
「伏線??簡単な所しかなかったわ!!」という方は★を
「そんな細かい所読んでるか!!」という方はブックマークをお願い致します!!
いつも本当にありがとうございます!!