クロノの根源と根底
「がっっ!!」
覚悟していても痛いものは痛いな・・・
そんな事を考える余裕があるのだからまだ良い方だろう
流石ブロウドさんから貰ったローブなだけあり、【魔王】レベルの攻撃も貫通はしないみたいだ
まぁ、貫通すれば尋常じゃないダメージを受けるだろうからそこはあの人を信頼しての策なんだけど・・・
やっぱり僕としては好みの戦法じゃないな
「ほう・・・伊達で【魔王】では無いという事か。では再度同じ攻撃を行えばどうなるのだ?」
僕がそんな事を考えながら【暴喰ノ口】を発動させたと同時に再度光の鎗を顕現させこちらに投擲してくる
「流石に同じ手を食らう程のモノじゃないよ。」
そう言って触手を発動させ光の鎗に纏わりつかせて口に喰わせる
その様子を見たサタニックは少し驚いた表情を浮かべる
「ほう・・・【大罪スキル】か。ブーザルの奴も【大罪スキル】を保持していると噂されていたが・・・それは奴のスキルか?」
「答える程愚かでもお人好しでも無い、だろう?」
そう言って触手をサタニック本体へ嗾ける
だが触手を前にしても薄っすら笑みを浮かべ「確かにな。」と呟く
それと同時に再度光の鎗を顕現させたかと思えば球状に回転させて触手の攻撃を凌いでいく
(このままだと魔力消費の無駄だな・・・)
そう判断し触手を止めると、同時に彼女も槍を止める
「小手調べとは言え中々やるでないか?」
彼女の称賛を無視して僕は以前から知りたかった質問を彼女にぶつける
正直どうしても知りたいとまでは思わないが、自分の使っているスキルの事くらいは知っておきたい
「ブーザルも言っていたな・・・【大罪スキル】とはなんの事だ?」
そう言うと暫し思案した後に宙を舞っていた槍を一本手にしてこちらへ向かって来る
僕はそれの攻撃を避け、謁見の間に陳列されていた甲冑から剣を抜き応戦する
「教えても良いがなっ!!ただ話すだけでは興ざめよ。このまま打ち合っている間だけ答えてやるとするか!!くれぐれも私を殺すな・・・よっ!!」
「くっ!!」
ガン!!ギィン!!と金属音が鳴り響く
正直、近接戦闘であれば僕の方が圧倒的に有利だ
容易に殺せるとまでは言わないが所々打ち込む隙は見つける事が出来る
(このまま倒してしまうか・・・)
そう考えてしまうが・・・
「おっと!!私を殺気が漏れておるぞ?」
僕の殺気を感じているのであれば、倒しに行ったところで距離を取られる事は明白だ
みすみす倒せず情報も引き出せないよりはこのまま剣戟に付き合う事に決めた
「ふむ、殊勝な心掛けだな。【大罪スキル】が何かだったな。おっと!!【大罪スキル】とは【原始のスキル】とも言われておる。」
「【原始のスキル】・・・」
「うむ。問うがスキルとは何だと思う?」
「・・・称号により得られる技能。」
「うむ。では何故、称号により得る事が出来る?」
「・・・・・・」
「うぉ!!因みに、称号とはそぐわないスキルを得る事が出来る事は知っているか?剣士が商人スキルを得る事が出来る様に・・・なっ!!」
「・・・初めて聞いた。」
こんなやり取りの合間でも剣戟は飛び交う
どうしても近接戦闘は僕に分がある為に手加減するのが難しい
しかし・・・剣士が商人スキルを得る事が出来る?そんな話は初めて聞いた
「無論、商人がスキルを得る事よりも多大な努力と時間を要するがなっ!!詰まりスキルとは人族魔族に関係無く知能が有り、感情がある者が渇望した欲求だ。」
何となく彼女の言わんとする事が分かった・・・
剣士がより強くなる為に求めた技能、商人がより儲かる為に求める技能・・・思えば無職の僕でも初級の回復魔法や初級の剣技を得る事は出来た
余りにも不自然で有るが故に見落としていた事実だった・・・
動揺する僕に彼女は襲い掛かりながらも言葉を続ける
「【大罪スキル】、いや【原始のスキル】とはな・・・その欲求を突き詰めた根源にあるスキルよ。」
「・・・欲望の・・・根源・・・。」
僕はその言葉にただ黙る事しか出来なかった・・・
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