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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
Ⅹ章【クロイセカイ】
225/640

ルーシャの人形と同調


「へぇ・・・別のモノねぇ。魔族が強さ以外の何かを渇望して、そんなアンタを兵士たちは認めているとは変わった国だねぇ~。」


そんな呑気な声を発しながらも彼女は戦闘を中断しない

その間にも兵士達が彼女の凶刃により徐々に減っている

今の所、クロノス側、天使族側共に120人という所だが・・・、

先程のバインド時にラザアルを倒せなかったのは思いの外に痛い


「後方部隊!的と兵士を分断せよ!!的には全方位から一斉攻撃!!」


私の言葉にラザアルとその他の天使族兵士に割り込む様に動き、彼女を孤立させる


「ラザアル様っ!!」


「狼狽えるんじゃないよ!!あんた等はサッサと敵兵を倒しちまいな!!」


彼女が友軍の士気を揚げようとした瞬間を見逃すほどお人好しじゃない

間髪入れずに私は叫び出す


「今です!!例の物を!!」


「はっ!!」


そう言って兵士たちが丸い玉を地面に叩きつける

その瞬間、地面から大量の煙が立ち上がる

それと同時に私は宝物庫にあった【宝珠】を使用した


「なんだいこりゃ?!!」


「毒ですか?!!」


「落ち着きな!!このタイミングで毒なんて散布すりゃ敵さんのお仲間もお陀仏だ!!取り敢えず煙で姿が見えないんだから目の前の人影だけをぶっ倒すんだよっ!!」


そう言いながら彼女は煙から薄っすら見える人影を斬り刻む

彼女の斬撃によって煙はくゆり、少しずつ薄くなり、()()()()獣人族兵士を視認すると尚も斬り刻んでいった



「お見事です・・・」


眼前で獣人族兵士に囲まれ、ただ1人立ち尽くす彼女に思わず畏敬の念を抱き声を掛けてしまう

その言葉を聞いて「ははっ」と笑いながら睨みつけてくる


「それは皮肉かい?それとも嫌がらせかい?」


「いいえ、単純な尊敬の念です。まさか・・・たった1人で約300の泥人形を斬られるとは思っておりませんでした。」


「はっ・・・こんな張りぼてを一千斬ったとしても自慢にゃならないよ。」


そう言った彼女が明らかに息が上がっており、疲労の色が隠せていない

負傷こそ余り無いもののスキルを使用しながら動き回っていた彼女が今から攻撃してくる獣人兵130人をただ1人で倒しきる事は不可能だろう


「・・・最初から想定していたのかい?」


「相手が誰であれ、私たちは侵攻する側です。待ち構える側の兵量が多い事は間違いないでしょうから。ただ・・・1人ですべて斬られる事は流石に想定外でした。」


そう、私が先程指示した煙は相手に攻撃を加える事を考えていない

煙により周囲が見渡せなくなる事を目的とした策だった

彼女が周りを確認出来ない状態で【宝珠】、【デッドマッドドール】を使用するのを見られない為だった

【デッドマッドドール】の効果は広範囲に及ぼす【宝珠】だ

指定した範囲の兵士と同じ姿形をした泥人形を複製し念じた場所に随時出現させる事が出来る

只の泥人形であるが故に相手に対して攻撃もしないし襲い掛かりもしないただ立っているだけの泥人形だ

ただ見た目や質量は本体と同等の物が泥で出来ているが故に異常に密度が高く防御力も高い

そんな泥人形300を彼女はひたすらに斬り刻んでいたのだから疲労は相当なものだろう・・・

まぁ、私も【宝珠】を使用した反動で体力を消耗し疲労困憊ではあるのだけれど・・・


「で・・・私にこいつらの相手を差せている間に兵士たちに私の部下を襲わせたって訳かい。」


「えぇ、貴女以外の兵の質ではこちらの方が勝っておりました。煙により動揺した貴女の部下と、事前に知っていた我が兵での戦いであれば元々知っていた上に質でも勝っている我が兵が圧倒的に有利です。」


「後はこの通り・・・って訳かい。」


そう言ってラザアルは周りを見渡し、今にも襲い掛からんとするクロノス兵を見て呟く

天使族兵士の殆どは襲撃によって敗れ去り、最後には逃げ出す者も居た様な状態だ


「・・・投降して頂けませんか?」


不意に私の口がそんな言葉を紡ぐ

予想外の言葉を聞いて驚いた表情をしている彼女は兎も角、言葉を発した自分でも自分の発言に驚いてしまう

多分私は、自分が思っている以上に彼女に親近感を抱いているのだ・・・

同じ落ちこぼれと蔑まれながら生きてきた彼女に・・・

だが彼女は一瞬呆けた顔をした後、ニヤリと笑いながら言い放った


「残念だけど・・・それはお断りだな!!」と・・・


いつも有難う御座います!!

「面白い&期待している」という方は★&ブックマークを是非ともお願い致します!!

ご感想やレビューも心よりお待ちしております!!

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