ファーニャの魔王の魔法
「そ、創造?!!魔力を創造ってどういう事よ?!!」
あらあら、このおチビちゃんはあまり頭が良くないのかしら?
私が伝えてあげたのに理解できないのはお世辞にも・・・
「言葉の通りですよ?純粋な妖精霊族は周りに大気から魔力を創造する事が出来るのです。だから私の魔力保有量が少なくても即座に保有を一杯にできるという訳です。」
「そ・・・そんなの無限に魔力を持っているのと同じじゃない・・・」
「その通りです。四武か何かは知りませんがその程度の魔力保有量では・・・話になりませんね。」
どの国であっても【魔王】とは特別な存在、そんな基本的な事をこのおチビちゃんは知らないのかしら?
ロキフェルさんもダンキさんも見せた事も無いだけで・・・隠し玉は持っているのでしょう
今度お茶会でも開いてお話でもしようかしら?
「ふ、ふん!!幾ら魔力保有量が無限でも攻撃できなければ意味がないわ!!知っているわよ!!妖精霊族って攻撃魔法を使えないんでしょ?!!だったらこのまま膠着状態に持ち込んで援軍と共にアンタを殺せば良いだけよ!!」
「あら、少しはご存知なのね?」
そう、私たちは属性魔法を使えない
大気から魔力を創造する私たちに火や風等と分別できる能力は無い
分別できても面倒過ぎてやってないでしょうけど・・・
「でもね、おチビちゃん。妖精霊族は属性付きの攻撃魔法だけではなく防御魔法も使えないのよ。」
「?!!アンタ何言ってるの。さっき防御魔法使ったじゃない?!」
「あれも属性は付いてないの。そうねぇ・・・強いて言うなら無属性かしら。」
そう言うと同時に私の周りに大気から取り出した魔力を使い12の大きな棘を顕現させる
「ちなみにこれも無属性よ。無属性には相性なんてない純粋な魔力・・・これをおチビちゃんにプレゼントするわ。」
「い、いやいやいやいや!!!私は強いの!!特別なの!!倒されたりなんかしないの!!!」
そう癇癪を起すと同時に光の玉を乱発してこちらに投げつけてきた
(容姿も子供なら性格も子供ね・・・)
辟易しながらも大気の魔力を補完して障壁を創造すると、障壁に光の玉が当たりズシュンズシュンと音を出し霧散する
その様子を見ておチビちゃんの顔色は蒼白といった様だ
まぁ、他国では実力上位者であろうが【魔王】と戦うとなればこの程度の実力差があると、この娘も痛感した事だろう
(まぁ次は無いですけど、ね。)
私は心の中で自分で自分の上げ足を取って苦笑する
「じゃあね、おチビちゃん。今度生まれ変わるのならもう少し謙虚に生きなさいね。」
「い、いやいやいやいや!!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
今になってそんなに泣きわめいても残念ながら気は変わらない
残念ながら【魔王】とは優しい存在などではないのだから
「駄目よおチビちゃん。攻撃して来ておいて攻撃しないでと懇願するのは・・・道理に合わないわ。」
そう言って12の棘を一斉に発射させると、シューーーンと風切り音を奏でておチビちゃんに襲い掛かっていく
「い゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!ごめ゛ん゛な゛ざぁ゛ーーーーい!!!!」
その叫び声と同時に棘はシュパッ、シュパッと彼女に突き刺さっていった
・・・
・・・・・・
「やれやれ・・・私も甘くなったものだわ。これも旦那様の影響かしら?」
目の前で私の攻撃で貫かれている姿を見て自分でも呆れかえる
12の棘は、彼女の四肢、羽に襲い掛かかり地面に固定はされ重傷ではあるものの命には別条がない
おチビちゃんは余りにショックだったのか、意識は飛んでいないものの目を見開き口は開きっぱなしの状態で言葉を紡ぐ事もしない
そんな彼女に近づき、彼女の耳元で私はそっと口を開く
「良い?今回はこの程度で許してあげる。この戦争が終わるまでその状態で生きていたなら・・・生かしてあげるわ。もしも死んでいたなら・・・【魔王】にたてついた代償として諦めなさい。」
そう言うと彼女は何も告げず、代わりに涙を流す
その姿を確認すると私はルーシャさんの元へ向かいながら思う
あぁ・・・私は本当に甘くなった・・・
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