クロノの兵団と決断
「ノスフェラトゥですが、一言で申しますと厄介な国というイメージですね。」
思い出す素振りをしながらファーニャさんが告げ、その言葉にロキフェルが頷きながら言葉を繋げる
「お兄さん、ノスフェラトゥはヴァンパイア族が住む国なんだ。僕等魔族の【真祖】がヴァンパイアという説が濃厚だろ?それでアイツ等は【真祖】と同種族であり、選ばれた種族としてやたら高圧的なんだよねぇ・・・」
「そんな高圧的で選民意識が強いヴァンパイアが他国に共闘を投げかけるのか・・・」
僕がそう呟くとダンキが顎を触りながら僕の呟きに答える
「そう考えると他国全体が同調するかは疑問ですな。奴らは何につけてもプライドが高い。恐らく共闘してやるから付いて来いという様な物言いで他国に投げよるでしょう。」
「ですが、他国からすればクロノスを含めたこの勢力が脅威なのもまた事実です。ヴァンパイア族は不遜だが叩くべきだと考える国も確実の存在するのでは・・・?」
確かにどちらも有り得る・・・
用心する事にこした事は無いが、用心し過ぎて他に手が回らなければ本末転倒だ
うんうん唸る皆を見ながら僕は声を上げる
「ポセイランが言うには、ノスフェラトゥはまだ他国に声を掛けている段階だそうだから明日明後日に侵攻してくる訳でもない。まずは目の前の人族との戦争、僕が【魔神】となる為に侵攻する国を決める事に注力しよう。ルーシャ、めぼしの付いた国は決まったかな?」
「申し訳御座いません。昨日から精査を行っておりますので・・・明日までには必ず。」
そう言って心底申し訳なさそうな表情をする彼女に慌てて手を振る
これでは部下に無理難題をいう上司みたいで居心地が悪い
「い、いや正確さが第一だから!!早さも必要だけど正確さを第一にお願いね!!」
慌ててそう告げるも、彼女の表情は晴れない
これ以上何かを言っても気休め所か、さらに圧迫させると考えて話題を変える
「じゃ、じゃあ次に人族との戦争についてだけど・・・宣戦布告を正式に行うのは確か明日の予定だよね?」
「はい。人族全体の王族、それに連なるモノを対象に精霊に文を届ける手筈にしておりますわ。」
「だとすると明日、明後日には人族全域に宣戦布告が伝わる訳だ。人族領には約30カ国あるから・・・早急に話し合いの場が設けられるとして7日後には会議がされるかな?そこからどう出てくるかだけど・・・10日後に取り敢えず一度侵攻してみようか。」
「10日後とは・・・主、些か相手に猶予を与え過ぎなのでは?」
確かに魔族からすればそうかもしれない
彼らの性格は差異はあれども即断即決、しかも全体的に好戦的でもある
ダンキなんか手紙を送ったら反対に攻め込んできたから理解できなくもない
「確かに猶予はかなり与えているとは思うけど、昨日も言った様に不意打ちだと思われない為には相手に待ち構えて貰う必要があるしね。逆に攻め込んで来てくれれば僕等としても都合がいい。まぁ・・・優柔不断で責任の所在をたらい回しにする人族に限ってはそうはならないだろうけど・・・」
僕がそう言ってもやはり今一つ理解できないみたいだ
環境が変われば思考も常識も変わる
彼らに人族の在り方を理解させようとは微塵も思わない
「兎に角、移動距離を考慮して8日後には出兵できる様にしよう。その上で2日以内に異動する事が可能で、欲を言えば侵攻後に砦として構える事が出来る場所を精査しようか。」
そう提案すると全員が頷く
皆の表情を見渡すと、高揚している者、楽しみにしている者、決意している者、微笑んでいる者・・・様々な表情を読み取る事が出来る
「皆・・・10日後からは時代が動くよ。魔族領と人族領との史上初めての複数国を含めた戦争だ。・・・導火線に火を点けたのは人族だ。だから僕らは・・・盛大に爆発してやろう。」
「「「おおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」」」
その叫び声を聞きながら僕は決意をより固める
後悔するだろう
懺悔もするだろう
涙も流すだろう
でもこの決断は揺るがない
あわよくば姉さんと父さんを保護したいとは思うが・・・それが全てではない
僕はまさに今、人族と戦争をする事を本当に意味で決断した
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