クロノの会議と介入
ポセイランがこの国を発った次の日、僕はまた皆を召集し会議を執り行った
「昨日に【魔海皇国ポセイドニス】と同盟を締結したよ。これによって貿易が可能となり他国から仕入れたい商品があればそれを後ほど教えて欲しい。ルーシャ、この商品の取り仕切り役をお願い出来るかな?」
そう尋ねると嬉しそうな表情で頷いてくれる
「じゃあ商品に関してはルーシャに報告してね。それとここからが本題となるんだけど・・・ポセイドニスの【魔王】から情報を得る事が出来た。【黒家クロノス】と皆の国に対して戦争を起こそうとする国があるみたいだ。」
「ほう・・・」
そう言って存外嬉しそうな表情をするのはダンキだ
彼はなんだかんだ言っても戦闘を好むのだろう
「だが主、言っては何だがクロノスも我々も纏めて相手に出来る国があるとは思えんのだが。」
「デカ物の言う通りだね。お兄さんだけでも魔族領内では1、2を争う実力があるのにお兄さんと僕等を纏めて相手にしようとするのは自殺行為だよ。」
「おいおいおい!!誰がデカ物だチビ?!!こっち向いてもう一回言ってみろや?」
「あ、デカ物の自覚があるんだね?脳筋だと思ってたけど考える力も多少あるみたいだし・・・悪かったねデカ物。」
ロキフェルにそう言われ、ダンキが怒りの表情を浮かべて徐に立ち上がる
「・・・上等だ。弟を殺された事を恨んじゃいねぇが、割り切ってる訳でもねぇんだ。」
「それはこっちの台詞だよ。国民の命を奪ったお前たちを許した訳でも無いんだよ?」
その言葉を受けて今度はロキフェルが魔力を放出しながらダンキを睨みつける
互いが一触即発の雰囲気を醸し出しながら睨みつけ、いつお互いがお互いを襲い掛かってもおかしくない雰囲気だ
「2人とも止めろ。」
そう言うと同時に僕は魔力を一部開放する
「!!!」
「?!!!」
すると2人の動きはピタリと止まり、こちらを見つめてくる
流石に会議中に流血沙汰になるのは避けたいし・・・出来れば互いに遺恨なく僕と共に戦ってほしい
「2人とも・・・過去には敵対関係にあったし、大切なモノを互いに失った事も理解しているよ。でも・・・それを持ち出して争うというのなら、僕は君たちを必要としない。」
僕がそう言うと2人とも驚いた表情で動揺する
冷たい言い方かもしれないけれど、互いに足を引っ張る存在であるのならば不要だ
作戦に支障が出るし、空気も悪くなる
仮に2人が抜けた事により【魔王】に称号がダウンしても取れる対策は幾つかあるのだ
「・・・ダンキ、挑発する様な言い方をして悪かったよ。」
「いや・・・元はと言えばこちらが火の粉を振りまいた様なものだ。こちらこそ済まなかった。」
だが2人には良い薬だった様で互いに謝罪をしてくれる
表情には出さないけれどかなり安堵した気持ちだった
僕はそんな心境を悟られない様にか無意識に手をパンッと鳴らしていた
「じゃあ話を戻すけれど相手の国なんだけれど【真国ノスフェラトゥ】という国らしいよ。しかもどうやらノスフェラトゥは他国に対して共闘を呼び掛けているらしい。」
「「「?!!!」」」
僕がそう言うと全員が驚愕の表情を浮かべる
「そ、それはどれくらいの規模なのでしょうか?」
「分からない。けれど最悪の事態を想定すると魔族領13カ国あった中で僕等を除いた8カ国、いやポセイドニスを除いた7カ国が相手だと考えても良いかもしれない。」
「・・・いえ旦那様、最悪を想定しても【ズファイオ魔帝国】は間違いなく参戦いたしません。彼の国は【魔王】の存在も規模も不明な状況、更に歴史上にも自国から戦争を仕掛けた記録は一度も有りませんから。」
「今回が初めてそうなる事はないかな?」
「あり得ません。ノスフェラトゥが要請したくとも要請先すらも確かではありませんから。・・・過去に同盟や属国に志願する使者を送った国もありましたが、そのどれもが戻って来た記録は有りません。要請したくとも出来ないのが現状なのです。」
「成程。であれば相手は6カ国が同盟を組んで攻め込んで来る可能性を考慮した方がよさそうだね。因みに【真国ノスフェラトゥ】ってどんな国なの?」
僕がそう尋ねると、全員が苦虫を潰した様な表情を浮かべた
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