クロノと商人の承認
人族領と他国の魔族の情報は僕としても国としても喉から手が出る程欲しい
(だけど・・・)
そう思案し出す僕に対してポセイランはにこやかに言葉を続ける
「ですが公平を期すためにお伝えしますが、他国よりクロノスの情報を求められました場合も勿論お受けしますよ?情報も売買ですからね。」
そうなのだ・・・こちらが情報を得る事が出来ると言う事は、反面相手も情報を得る事が出来る
「其の、情報を、規制す事は、可能か?」
そう尋ねると感心した表情を浮かべる
「そうきましたか・・・いえ、他意は御座いませんよ?今までの同盟国の方々にそこを尋ねられた事がございませんでしてね。そうですね・・・それは可能です。規制に対しても売買契約を行いたい所ですね。」
「【魔王】様、ここより先は私にお任せください。」
僕が分かったと告げようとした瞬間にルーシャが口を挟む
本来であれば【魔王】同士の会話に口を挟むのは不敬であると言われる行為だが・・・
「【魔王】様、【魔王】ポセイラン様、お聞きしておりますと今までの会話は【魔王】同士の会話ではなく商売の取引についての会話だと判断しました。であれば商取引は宰相である私の役目かと。」
そう言って彼女が一歩前に出てくる
「・・・是。」
「有難う御座います。」
僕はそう言って彼女に託すというジェスチャーを行う
僕が認めたからにはポセイランからは何も言えないのだろう
少し眉が上がったがそのまま何も言わなかった
「ポセイラン様、ここからのお話は私がお受けします。先程からお話をお伺いしておりましたが・・・貴国は情報の売り買いだけでなく、情報規制も売り買いもなさるとか?」
「えぇ、情報にはそれだけの価値が有りますから。一部情報の有用さを理解していない国もありますが。」
「仰る通りです。だからこそ逆に問いたいのです。貴国と情報規制の売買契約を行ったとしましょう、けれども敵対国がその情報を得ているとするならば貴国はどう判断されるのですか?」
「それは他国も諜報する魔族もいるでしょうから、そこから漏れたのでは?」
「その可能性も勿論あるでしょう・・・ですが我々はこうも考えます。『金だけチョロまかして情報を規制しない鼠がいる。』と・・・」
ルーシャからは聞いた事のない高圧的且つ不遜な物言いに僕が驚く
対面の【魔王】の顔にも若干怒りの表情が汲み取られる
「・・・我が国が商売の契約を反故にすると?」
「えぇ、先程貴方は『規制を求められた事が無い』と仰いましたよね?と言う事は取り扱った事が無いという事です。貴方ではなく、貴方の国民がそれを流さないシステムは構築されおりませんよね?そしてそれを今から作り上げると仰られても我々は信用できませんよね?」
「・・・・・・信頼がないという訳ですか。」
「仰る通りです。貴国とクロノスは今初めて邂逅したばかりの関係です。初めての取引相手に裏付けも実績も無く売買を要求し漏洩されれば他国の諜報の所為だと仰るのは些か不誠実ではないでしょうか?」
「・・・・・・」
「加えて、武具や防具の様に品質を見て判断するものに対しての金額は判断基準が御座います。けれども情報という形が無く、正確さも不確かなものに対する金額設定はどの様にされておりますか?」
「・・・こちらから提示する対価となります。」
「貴国がその情報がどこまで深くまで把握していらっしゃるか聞くまで分からない状態で言い値というのは些か暴利では?重ねて申し上げますが・・・我々はまだ初対面ですよ?」
ルーシャがそこまで告げるとポセイランは椅子に身体全体を預けて俯く
「・・・仰ることは理解致しました。ではどの様にすれば宜しいでしょうか?」
ポセイランがそう言うとルーシャが良い笑顔で返答する
その良い笑顔が・・・少しだけ怖いかったのは彼女に秘密だ・・・
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