クロノの貿易と交易
「失礼いたします。」
僕の前に居るルーシャがノックして扉を開き一礼しする
「【魔海皇国ポセイドニス】の【魔王】でしょうか?私はこの国で宰相を務めさせて頂いておりますルーシャ=サンドラと申します。」
「これはご丁寧に有難う御座います。私、【魔海皇国ポセイドニス】の【魔王】を務めております【ポセイラン=ヌイ=スーラ】と申します。」
そう言いながら立ち上がり、ルーシャに向かって一礼する
(こんな低姿勢な【魔王】もいるんだな・・・)
そう内心で驚きを隠せない
だがそれはルーシャも同様だった様だ
非常に困惑した様子を焦った表情が居て取れた
「こ、これは【魔王】に礼をして頂けるとは・・・恐縮です。え、えっとこちらは【黒家クロノス】の【魔王】様であらせられます。」
「我が【クロノ=エンドロール】也。我が国まで、単身で出向きし事、大義也。」
そう告げると一瞬キョトンとした表情を浮かべた後に笑顔をこちらに向ける
「これはこれは・・・事前に知らせていないにも拘らず【魔王】に接見できるとは思いませんでしたよ。こちらこそお忙しい中わざわざ謁見の機会を頂き恐縮です。」
そう言って手を差し伸べてきたので、僕もその手を握る
「して、其が、我が国に出向くは、如何なる理由か?」
「えぇ、それなのですが・・・単刀直入にお伝えいたします。我が国と同盟を締結して頂きたいのです。」
「同盟・・・ですか?」
僕の代わりにルーシャが疑問を投げかける
「その属国になれ等ではなく、同盟をご希望なのでしょうか?」
彼女がそう言うとにこりと笑いその疑問に答える
「仰る通り同盟です。そもそも・・・クロノスに属国になれ等と命知らずな発言は冗談でもいえませんよ。」
そう言いながら飲み物を口にする
「宰相殿はご存知かもしれませんが・・・この国【黒家クロノス】が建国する前、魔王領には十三の国がありました。それがこの数ヶ月で1国は滅亡し、三国はクロノスの属国となっております。その時点で最早この国は大国と言って差支えがありません。そして伝説の通りであれば・・・【魔王】は【魔皇帝】と化している筈です。このまま戦争となれば勝てない事は火を見るよりも明らかです。」
「・・・同盟の、内訳は、どの様にす?」
「はい、必ず名言して頂きたい点が不侵攻と貿易許可の2点です。同盟締結の上でこの2点は名文して頂かなければこちらに旨味は有りません。」
その言葉を聞いてピンとくる
「其の国は、貿易国家故か・・・?」
「えぇそうです。私の国【魔海皇国ポセイドニス】はどの国とも属国関係を締結しておらず、どの国の下にも上にもおりません。その代わりほぼ、全ての国と同盟関係を締結しております。あまり大きな声では言えませんが・・・人族領の一部の国とも商売関係を行わせて頂いております。」
「其が優位な点は、情報、経済か・・・」
僕がそう答えると少し驚いた表情を浮かべる
「【魔王】でそこに行きついた方は初めてですね・・・そうです、私はその2点で以って魔族領を裏から支配する国として成り立たせたいと思っております。」
人族領と比べて全体的な自給自足が高いのが魔族領ではあるが、やはりその国その国で優れた武具や魔道具、食べ物があるのはある意味必然だ
互いに敵対している国であってもポセイドニスを介して手に入れる事が出来るという訳か・・・
「我等の益は、何処にある・・・」
僕がそう尋ねるとにこやかな笑顔を崩す事なくそれに答えてくる
「そちらの利益は人族、魔族の情報と他国の武具防具類が入手できる点ですね。・・・例えば、人族に戦争を仕掛けている国からすれば人族の情報は必須でしょうし、魔族領の他国の動きも気になる所ではありませんか?」
「・・・・・・」
この【魔王】はある意味で最も厄介であると思わずに入らなかった
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