クロノと決意と決断
「クロノ様!!」
「旦那様!!」
「我が盟主!!」
「お兄さん!!」
「あ、主?!!」
僕が会議室に入った事により皆が声を掛けてくれる
その声を聞きながら視線だけを彼らの方へ投げかけ僕の席へ向かう
席の脇にはバルデインが申し訳なさそうな表情を浮かべていた
「クロノ様・・・」
「バルデイン、有難う・・・僕はこの道を選ぶよ勿論、見捨てる気も無いけどね。」
そう彼の耳元で囁き席に腰かける
「さて・・・皆、集まってくれて有難う。僕の事を話すのと同時に人族との戦争について話し合いたいと思うのだけど・・・良いかな?」
僕はそう言って辺りを見回す
「ま、待ってくれ!!いや下さい!!あ、貴方が我が主なのか?!いやですか?」
ダンキがそう言って立ち上がる
確かに彼にはまだ素顔を晒していなかったな・・・
「そうだよ。詳しい話は会議後にするけれど・・・僕は元人族であって今は魔族だ。それだけを覚えてくれたら良い。」
「りょ、了解した。いやしました。」
ダンキがそう言って腰を下ろすと同時に僕は全員を見ながら一言だけ呟く
「・・・・・・僕の記憶が戻った。」
そう言ったと同時にこの会議にいるほぼ全員が驚いている
ダンキは良く分かっておらず、バルデインとルーシャは何となく分かっていたのだろう・・・神妙な表情を浮かべる
「僕にとって人族の記憶が戻った事は一部を除いて、そう大したことじゃない。問題は一部の部分である大切な家族の存在を思い出した事だけだ。」
「・・・・・・」
全員が僕の言葉を聞いて一言も発しない
「僕は・・・昨夜までその事で混乱していた。皆や国民達の事も勿論大切に思っているし、人族領に残した家族の事も思っている。そんな僕がこのまま魔族領で人族と戦争ができるのか?とね・・・自分から宣戦布告したのに・・・笑っちゃうよね。」
僕がそう言っても誰も笑わないがそれはそうだろうなと心内で苦笑してしまう
「バルデインに昨夜アドバイスを貰ってね・・・頭を冷やしてきた。僕は皆と皆の国と共に戦い、自分達の力を過信し、不可侵を警告したにも拘らず戦争を仕掛けてきた人族を叩く!!!・・・皆、力を貸してほしい。」
そう言って頭を下げると・・・
「「おおおおおーーーーーー!!!!」」
会議室内に決起の咆哮が鳴り響いた
うん、どうやら皆も力を貸してくれる様で本当に有り難い
その咆哮を聞きながら非常に心強く感じた
◇
◇
◇
会議室の熱が冷めやらぬ中、ファーニャが手を挙げる
「旦那様、戦に関しましては属国である我が国も勿論参戦させて頂きますが・・・直ぐに攻められますか?」
「いや、勝ち負けで言えば速効性は有用だろうけれども、強さに比重が大きい魔族領では寝首を掻いた様な戦い方は好まれないだろう?だから正式に人族に対して宣戦布告する。今だと魔族の1人が叫びながら喧嘩を売った様にしか伝わっていないだろうからね。」
「成程、では【黒家クロノス】として宣戦布告を?」
ルーシャの言葉に僕は首を横に振る
「それだと弱いかな?相手は人族領全体だ。それに対して1国相手だと思われると舐められるし・・・人族領に居る勘の良い彼女達に気取られこちらに向かって来る可能性がある。・・・自分勝手かもしれないけどね、家族と皆を出来るだけ戦わせたくないんだ。」
「盟主・・・では【魔族連合】等は如何でしょう?」
「サラエラ、大分板に付いてきたね。【魔族連合】か・・・良いかもしれないね。」
「お兄さん、ここは【魔王連合】にしようよ!!!此処には【魔王】が3名と【魔皇帝】がいるんだからね!!」
「いやいや!!であるならば【魔皇帝連合】はどうだ?!主の旗本に我々は集っているのだからな!!」
そう言われてピンときた
「・・・【魔神連合】にしようか。」
僕がそう言った瞬間、全員が驚愕の表情を浮かべる
その表情を見渡しながら僕は言葉続ける
「僕は・・・【魔神】になるよ。」
そう周りにも自分にも言い聞かせる様に再度言葉を繰り返した
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