【間章】真祖と真相と神相
「ソテルアス、突然押しかけて済まないね。けれど先日に君も我が家に突然押しかけて来たんだから許してくれよ?」
私はにこやかに対面に座する【龍の真祖】である【ソテルアス】に話しかける
だがそんな私の表情とは対照的にムスっとした表情で彼は私を睨みつける
「あの時はファスミーヤに呼ばれたから行ったに過ぎん。」
「そうは言っても君とファスが私の所に来たのは事実だろう?あぁ確か・・・僕は飲み物を振舞ったかなぁ?喉が渇いたねぇ~。」
そう言って揶揄うとソテルアスは益々不機嫌な表情を浮かべる
けれどそんな表情を浮かべるだけで飲み物を用意しようとしないのが彼らしいが・・・
「さっさと本題を話せ。・・・貴様がこの場所に訪れた理由はなんだ?言っておくが、件の【魔王】には何もしておらんぞ。」
「いやいや、素朴な疑問があるから訪れただけさ。・・・ねぇソテルアス、龍族は強いねぇ~。」
私がそう答えると表情がピクリと動く
「人魔族、精霊族、龍族、大きく分けるとこの3つの何れかに分類される訳だけど・・・ハッキリ言って龍族の強さって異常だよね?」
「・・・それは馬鹿にしているのか?先日人族に敗れた我が子等を知らぬ訳があるまい。」
「いやいや、【剣神】が【龍王】に辛勝だよ?同格の【剣王】だったら相手にもなっていないさ。もう1組も【勇者】という人族の固有称号持ちが【魔術師】相手に奥の手を切って、他の獣の手を借りての辛勝だ。・・・ハッキリ言って同格、いや1つ上の称号持ち程度じゃ龍族には勝てないよね?」
「・・・何が言いたい?」
「私は昔からそれが疑問だったんだよ。君と私を比較してもステータス上では君の方が圧倒的に強いしね。その手掛かりを得たのが先日だよ。」
「・・・・・・」
「君の子はこう言ったんだよ。『龍は自分の主に名付けられる事しか許さぬ』とね・・・ねぇソテルアス、君は誰に名付けられたんだい?」
私はそう言ったと同時に魔力を纏いつかせる
そんな私を見て、意外にも彼は臨戦態勢を取らない
「・・・聞いていたのか。」
「あぁ、彼女も私のお気に入りでね。見れる時は見ているのさ・・・いつパーティーが始まるかが分からないからね。・・・野暮な監視者にはご退場願いたいのさ。」
「・・・・・・」
「ここからは私の推測でしかないけれど・・・君は主に忠誠を誓う代わりに、君と君の子たちである龍族に対して異常なステータスを施している。・・・違うかい?」
「・・・・・・」
「そもそも昔、2人がかりで私に敗北したにも拘らず、私を認めない君にホンの違和感を持っていなかった訳じゃないけど・・・君は既に主から命を受けていたんだね?」
「・・・これ以上は止めて置け。」
そう言って彼は初めて魔力を高める
「誇り高き龍族・・・その【真祖】が実は餌に尻尾をふる忠犬だったんだね?」
「止めろ。」
「やれやれ・・・子供に託したと見せかけて・・・子離れできない親と、忠犬の様な子供か。」
「止めろと言っている!!!」
「図星を突かれたからと言って怒るなよ。そりゃ君は安寧な世界を望むだろうね・・・子供に進化なんてしてほしくないんだろ?いや・・・龍族だけでなく、人魔族、精霊族もかな?」
「これ以上言うと・・・知らんぞ?」
「そうだね。流石の私も君と君の主を相手に勝てる気はしないよ。これ以上は止めておこうかな・・・君が答えを言ってくれた様なものだし、ね。」
そう言って私は席を立つ
ここに最早用事は無い、そう考え去っていく私にソテルアスから声がかかる
「ブロウド・・・貴様は一体何をしたいのだ?」
その質問は余りにも抽象的だ
だがそれでも、彼が何を意図しているのかは私だけは察する事が出来る
「私がしたい事は非常にシンプルさ。親離れして独り立ちした世界を見たいんだ。じゃあ・・・子離れできない神に宜しく行っといてよ。」
「貴さっ」
そう言うと同時に転移を開始する私に彼は何か言いかけるが・・・どうでも良い
転移した先には私の仮住まいの1つである城が聳え立っている
「さて、クロノ君。・・・君がこの場所に来る事を心から望んでいるよ。」
そう呟いて私は自分の根城に向かって歩き出した
これにてⅨ章は終了と相成ります。
次回からはクロノの方へ移行致します。
今回で200話に到達致しました!!
これだけ続いたのも皆さまのお陰と心より思っております。
今後もアカノクロノを何卒宜しくお願い致します!!
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