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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
Ⅸ章【カジツノセイジュク】
197/640

アカノの先入と潜入


「ではな小娘。・・・いやアカノ、生き延びて顔を出すんじゃぞ。」


次の日、赤龍の屋敷前で赤龍とその眷属に見送られる

昨日に龍酒という治癒を促進させるという酒を飲ませて貰い、身体も魔力も大分回復した

回復はしたが・・・酒が強すぎて全員が倒れ込んでしまった

それにしても・・・初めて赤龍から名前を呼ばれたが存外気持ち良いな

初めて赤龍に認められた様な気分になるが・・・


「有難う御座います、弟と出逢った後には必ずお邪魔します。・・・今更なのですが、赤龍様にはお名前は無いのですか?」


そう言うと「今更じゃな!!」と言いながら豪快に笑う


「儂ら龍には名前は無く、強いて言うならば位が名前じゃ。儂ではあれば赤龍、横に居るコイツが火龍といった様にのぉ!!あの炎龍はべべと名付けられたがのぉ・・・本来、龍に名は不要なのじゃよ、龍は自らの主にしか名付けられる事を許さぬ。」


「そうだったんですね。」


「まぁ、我らの長い命の前では名などは不要な代物よ。何ならお主が儂の主になり名付けてくれても良いんじゃぞ?」


そう悪戯を思い付いた様な表情でとんでもない爆弾を放り投げてくる

後ろに居る赤龍の眷属たちからの視線が痛く感じる


「・・・残念ですが、私には荷が重すぎます。」


そう私が辞退すると「残念じゃのぉ~。」と言いながらニヤニヤした表情に軽く殺意を覚えた

だけど命の危険はあったものの、結果だけを顧みれば龍族領に入った事は私たちにとっても人族全体にとっても有意義であった事には間違いない


「それでは赤龍様、皆さま、お世話になりました!!」


そう言って私たちは龍族領を後にした



「これは・・・?」


私たちは話し合った末に龍族領から直接魔族領に降り立った

数日間と言う時間を龍族領にいた為に魔族領の情報を今私たちは持っていない

それに今ならば万が一魔族に見つかったとしても、余程の事が無い限りは切り抜ける事が出来るだろう

私たちはそう判断した


それから魔族領に入り、ローブで身を隠しながら町や村を探す

今自分が居る場所が魔族領である事以外は国の名も何もわかっていない為に情報収集が必須だ

念には念を入れ、もし魔族領に宿や食事処が有っても利用しない事に決め、歩き出す事数時間後の日も傾き始めた頃に小さな村を見つける


草場から村の様子を観察すると・・・あれはレイスだろうか?

レイスと獣人、悪魔たちが酒盛りをしている


「ねぇアカのん、魔族って種族での諍いってないのかな?」


「・・・分からない。だが仲が悪そうには見えないわね。」


「そんな事より2人とも・・・あの魔族たちって私たちが今までに相手してきた魔族よりも、明らかに強い・・・わよね?」


私とカラミトルはロザンワのその声に頷く

そうなのだ・・・人族国境付近で相手をしてきた魔族よりも明らかに強い

しかも殆どの魔族が、だ

人族の常識では5、6人いれば魔族と対等と言われているが・・・今眼前に見える彼ら1人を相手取るのに人族10人は最低必要だ


「赤龍様が仰っていた人族付近に現れる魔族は弱いというお話は真実なのでしょうね・・・」


その言葉に私は無言で頷く

こんな小さな村に特別強い魔族が居る筈がない

しかも警戒もせずに酒盛りしている筈がないのだから・・・真実だと言わざるを得ないだろう・・・


そんな事を考えていると魔族たちの騒ぎ声が木霊する


「いやあ~!!前哨戦は大成功だったそうだったらしいな!!!」


「流石は【魔王】様、いや【魔神】様だな!!!」


「あぁ、あの御方は凄すぎるぜ!!ある日俺たち獣人族の【魔王】様になったかと思えば数日で【トリクトリロ】と同盟を結ぶんだからな!!」


「しかもその後に俺たちレイスの前【魔王】を抹殺して下さり、俺たちを救って下さった!!」


「そっからもスゲェよなぁ・・・ドンドンドンドン想像すらしていなかった事をなさって今やこの国は大国だぜ!!」


「昨日の人族に対する前哨戦も大勝利だったらしいしな!!」


「まぁ昨日は【魔神】様は出撃されていらっしゃらなかったらしいが・・・【魔神】様の采配なのは間違いないな!!!」


「間違いない!!かんぱ~い!!!」


「かんぱ~い!!!【魔神連合国家】万歳!!!!」


「【魔神】様に栄光あれ!!かんぱ~い!!!」


そう言っている魔族たちの言葉に思わずゾワリとした


いつも有難う御座います!!

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