アカノと獄炎と黒炎
『小娘、待たせたのぉ。先程にお主が所望した龍となったが・・・蹂躙される覚悟は出来たか?』
その姿は圧巻の一言だった・・・
空の全てを覆わん限りの巨躰と目視できる出鱈目な魔力量、そして先程以上の殺気を全方位にまき散らしている
近接攻撃がまず届かない程の高さで羽ばたくその龍は正に龍の王に相応しいいで立ちだった
「あ、アカのん!!」
『お、親方様!!それは流石に大人気ないかと!!』
余りにも圧倒的な存在が顕現し、先程迄ハラハラしながらも声を掛けて来なかったカラミトルやべべも思わず声を上げる
だが、赤龍はその声を無視して私に視線を投げる
『小娘、外が騒がしいが止めておくか?お主が契約を諦め、謝罪するならば矛を収めても良いぞ?』
「・・・ご冗談を。」
身体は先程よりも震えだし、肌が殺気でちりつく・・・
少しでも気を抜けば心は簡単に折れてしまう様な圧倒的な存在
その様な存在を前にしても尚・・・クロノと出逢う可能性が上がるならば天秤にかけるまでもない
そう思える自分が何処か誇らしく感じながら私は口を開く
「私には崇高で広大な目的が有ります。その目的を達成する可能性をあげる為には・・・貴方が相手でも退く事は出来ませんから。」
そう言って剣を構える
『その意気や良し・・・では、な。小手調べ等と猪口才な事はせずに全力で向かってやろう!!触れると死ぬるぞ?【獄炎】。』
そう言うと同時に口から炎を吐き出しできた
「?!!」
炎の攻撃をバックステップで躱すが、尚も炎の追撃が止まない
反撃を試みようとも、相手は遥か上空で羽ばたいている為に攻撃が届かない
(炎が消えない?!!!)
赤龍が初動時に繰り出してきた炎が地面に着火してからも一向に消える気配が無い
それどころか・・・赤龍の炎全てが消える様子も無くそこで燃え続けている
『【獄炎】は儂以外は解除できぬ炎じゃ。触れれば骨になっても燃え続けるぞ?』
そう挑発されながらも私は避け続けながら対策を考える
(このままでは逃げ場が無くなる・・・私が今できる事は・・・)
1つは斬撃を飛ばす事だが近接と比べて威力は低い・・・エンチャントさせた今なら威力は跳ね上がっているが赤龍の防御力も当然上がっているだろう
(試してみるか・・・)
「ソニックブレイドショット!!!」
数十の斬撃が赤龍に襲い掛かる
エンチャントしていない私であれば威力は勿論、射程範囲も届く事は無かっただろう・・・が
『【黒炎】』
「なっ?!!」
極大の黒い炎が私のスキルを打ち破って尚、こちらに襲い掛かって来た
まき散らされた砂埃が晴れてくると・・・先程の攻撃によって闘技場に広大な穴が開いている
「・・・・・・」
『これが儂の最大攻撃スキル【黒炎】じゃ。さあ、周りは【獄炎】飛べば【黒炎】の中で如何様にして悶える?』
赤龍の余裕を見る限り、候補の対策であった魔力切れを待つ事も不可能・・・
ある意味で絶体絶命とも捉えることも充分に出来る
けれども・・・
「フフフ・・・フフフフフフフ・・・」
どうしても笑みが止まらない
今までの攻防を顧みれば・・・父さんの言っていた事を思い出せば・・・対策は自ずと現れてくる
『・・・気でも触れたか?』
「フフフ・・・えぇ、貴方の言う通りかもしれません。ただ気が触れても貴方には負ける気がしませんが。」
『どうやら正常ではないらしいのぉ・・・よかろう、この絶対絶命を切り抜けてみぃ!!』
そう言って赤龍の周りに数十の火の玉が現れ、そして私に襲い掛かってくる
「フフフフフフフ!!!」
だが火の玉もサークルエンドを発動させている私からすれば何処から襲い掛かって来るか容易に解る為、脅威には成りえない
「フフフ・・・どうしたのですか?そんな玩具ですと私を殺す事は出来ませんよ?!」
そう言いながら避けることすらせず、赤龍の攻撃を捌く私に赤龍は苛立った様子を見せ始めた
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