アカノの攻撃と焦撃
「確かに・・・遥か格上を相手に手を隠すのは失礼ですよね。」
「まあ、お前ら人族基準で言やあ【剣聖】の方が【龍王】よりも称号的には上なんじゃがな?」
「・・・にも拘らず私の方が苦戦している。これが称号は自己形成の一部という理由ですね。」
「カカカカッ!そう言う事じゃ。」
称号上で言えば確かに【剣聖】の方が【龍王】よりも稀少で格上と言われている
剣の称号だと、【剣士】【剣師】【剣豪】【剣王】【剣聖】【剣神】と言う順番で称号の位が変わっていく
人族の常識としてはより高位の称号を持つ者は優遇され、低位の称号を持つ者は高位からの差別区別を甘んじて受け入れていた
だが唯一の例外として【勇者】だけはその限りでは無く、特別な称号として世界を救う称号と認知され世界中から一目置かれる称号となっている
だが・・・目前の【龍王】、更に言うならば【剣豪】である父さんによって、そんな私の常識は脆くも崩れていた
「ほれ、さっさと玩具を晒さんかい。何もせんなら・・・世から去らすぞ?」
「そう殺気だたなくても手札を切りますよ。・・・攻撃力付与『ハイアタックアップ』、素早さ付与『ハイスピードアップ』、【赤炎】エンチャント・・・」
魔法を唱えながら次々と自分に能力を付与していく
「ほう!!小娘がアタックアップではなく、その上を付与させるか。魔力量が少ないにも拘らず、よぉやるの~!!」
「修行と、この武器のお陰ですよ。魔力消費を抑える事が出来ますので・・・ねっ!!!」
「うぉっ?!!!」
攻撃力、素早さに加え、【赤炎】の付与により一気に赤龍の懐に潜り込み刺突する
突然能力が大幅に上昇した事により赤龍は動揺したのか、私の攻撃はわき腹を掠めて鮮血される
「『ダブルファング』!!『ソニックファング』!!」
「ぬおぉぉぉぉ!!!」
【赤炎】で付与された私のスキルは威力、範囲ともに上昇して赤龍に容赦なく傷を負わせる
(通じる!!龍族の王に私の攻撃は通じる!!)
「調子に・・・乗るなぁーーー!!!」
「遅いっ!!ダンシングエッジッ!!!」
赤龍の死角からの攻撃を避け、素早さを付与したダンシングエッジで身体中を斬り刻む
(背後を取った!!)
スキルの合間に赤龍の背後を取る事に成功し、ダブルファングを発動させようとする
「がああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!」
「なっ?!!!」
だが、赤龍の叫び声と共に放たれた全方向の衝撃波に邪魔され攻撃を加える事が出来ない
私は一旦距離を取り、次に攻撃を仕掛けるチャンスを待つ体勢に切り替えた
「クククク・・・クククク・・・ガァッーハハハハハハハハハハハ!!!」
だが、赤龍はそんな私を嘲笑うかの様に隙だらけの体勢で笑い声をあげる
(今がチャンスだ!!!)
心ではそう確信しているにも拘らず、身体が警告を発して動いてくれない・・・
「ハハハハハァ・・・小娘、よぉもここまで好き放題斬り刻んでくれたものよのぉ・・・」
笑い声が止んだかと思えば・・・強烈な殺気をこちらに浴びせてくる
身体の警告がより強くなり、心なしか戦いの最中にも拘らず震えが襲い掛かってきた
「・・・何を。それが貴方の望みでは無かったですか?」
「応よ。だがなぁ・・・ここまでやられちまえば苛立ちも起こるってなもんじゃろ?小娘、儂ぁ今から大人げなく本気だすんで宜しくのぉ。」
そう言うや否や、赤龍の周り全体に濃密な魔力が纏わりついていく
(これは・・・不味い!!!)
「『インフェルノ・イーター』!!!」
危険を察知し、炎の大波で赤龍を攻撃するも・・・なんの足止めになっていないかの様に魔力の膨張は止まらない
(私は馬鹿か?!!!火の龍に火属性が効く訳無いじゃないか?!!)
焦って斬り込みに向かうとするが・・・
「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
赤龍はこの世界全てに聞こえるかの様な叫び声をあげると同時に・・・龍へと顕現した
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