アカノと剣聖の形成
私が戦う姿勢を見せると赤龍はニヤリと笑う
「その意気や良し。そうよ、契約とは互いが納得して初めて成り立つ。それ故に小娘は儂に強さと誇りを儂に見せつけよ。」
赤龍がそう言った瞬間、纏っていた闘気?とは別の殺気が私の肌に纏わりつく
「・・・赤龍、武器は要らないのですか?」
「フンッ!!武器を持つのは己に自信がないモノのみよ。儂ほどになると武器を持つ事自体が足枷となる。」
そう言って両手両足に魔力を込める様子を見ると決してハッタリではないと理解できる
嫌な汗が背筋から流れてくる
「そうですか、それでは武器を持った人族の意地を見せてあげましょう!!!」
そう叫ぶと同時に赤龍に斬りかかる
「おっ?!!!はぁーー!!!」
私の上段斬りを寸前の所で避けると同時に殴りつけてきた
その拳戟を上半身を逸らして回避し、一旦距離を置く
「ほう・・・以前のままならば避けられない程度の速さにしたつもりじゃが。小娘、以前よりも強くなったのではないか?」
「えぇ・・・幸い、私の周りには化物が沢山おりまして、ね。良いのか悪いのか分かりませんが・・・強くはなりましたよ。それより、貴女は龍にならないのですか?」
そう言うと顎に蓄えた髭を撫でながらニヤリと笑う
「龍になっても良いんじゃが・・・そうなると一方的な殲滅となってしまうじゃろ?骨も残らんとなると申し訳が立たんからのぉ!!!」
そう言うが否や拳を振り上げる
一瞬、何をしているか理解できなかったが・・・それは闘技場の地面を抉りながら襲い掛かってくるウインドカッターの様な波動の攻撃を見て瞬時に理解する
(速い?!!!)
しかもその攻撃速度は速く、呆けていた一瞬で私のすぐ傍まで襲い掛かってきた
「ほれほれほれほれっ!!!!」
間一髪で避けるも、次々と襲い掛かって来る攻撃をその都度避け、反撃する隙も与えられない
「くっ!!」
苦し紛れに上空に飛び「ソニックブレイドショット!!!」と叫びながらスキルを発動させるが、
「ほれほれほれほれ!!!」
私の斬撃は赤龍の波動の様な攻撃の前に脆くも砕け散ってしまう
「ああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
赤龍の攻撃を食らってしまい、受け身をまともに取る事も出来ず上空から叩きつけられる
「おいおい・・・ただの攻撃でそこまで傷を負うやつがおるか。さっさと立てい。」
私はそう発破を掛けられて立ち上がる
「・・・今のは、スキルですか?」
「いんや?この姿で鍛えとる内に出来る様になっただけじゃ。」
「・・・貴方は【龍王】ではなく、【拳王】だと言われても信じますよ。」
私がそう言うと、一瞬キョトンとした表情を浮かべるも、直ぐに豪快に笑い出す
「カカカカッ!!」小娘、お主は愚かじゃのぉ!!称号なんざ、己を形成しとる一部分でしかないわい。」
「称号は一部、ですか・・・」
「うぬ。まぁ、寿命の短い人族ではそうはいかんかもしれんが、称号は飽くまで称号じゃ。それで全てが形成されとる訳では無いわい。ほれっ!!!」
「サークルエンド!!!」
そう言うと同時に先程と同じ攻撃を繰り出してくるのに反応し、私は直接その攻撃を斬り伏せる
「ほれほれほれほれっ!!!」
次々と襲い掛かって来る波動の様な攻撃を次々と斬り伏せる
「そう、それじゃ!スキルを発動させても修練無くば身体は動かぬ。スキルや称号に使われるのではない、自己研鑽の上でスキルや称号を使いこなす。・・・それこそが己を形成しておるという事じゃ。」
赤龍のその言葉が父さんに言われた事と重なる
称号やスキルに胡坐をかいてしまうと本当の強者の前では勝負にすらならない
父さんに聞いて理解していた様で理解できていなかった・・・
「それより小娘、今はお主の方が劣勢じゃぞ?さっさと本気を出して来い。」
赤龍にそう促され、私は微笑む事を止められなかった
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