ロザンワの事実と真実
「物言わぬ人形?!死ぬ?!」
「うぬ。【禁呪】とは意思を持つが故に使用者を精査する。だからこそいつの時代も【禁呪】とは触れてはいけない魔法とされているのじゃ。世界に影響を与える事も勿論じゃが、その威力を数百人も使えた時代が無いのはそれが理由じゃな・・・」
「・・・今、ロザンワは何を?」
「恐らく【禁呪】から試練を与えられておる。【禁呪】は直接頭の中に語り掛けるらしいからのぉ・・・」
「・・・・・・」
そんな赤龍との会話の間も、ロザンワは絶え間なく悲鳴に近い叫び声をあげ、傷付いていく
ただ何が起こっているか分からない私は・・・
「ロザンワ、頑張れ!!ロザンワ、頑張れ!!」
そう横で叫び続ける事しか出来なかった
◇
◇
◇
「どうしたの、私。そんな様じゃこの先の戦争も貴女は役立たずよ?大人しくここで死んだ方が良いんじゃない?」
そう言って私と対峙する私が挑発してくる
「そんなこと出来る訳ないでしょ!!私は【勇者】!!人族を救うのが私の使命なの!!」
私はそう叫びながらファイアボールを連発する
だが、もう1人の私はファイアボールにアイスボールを放ち相殺させる
「何?その詰まらない答え・・・貴方は元々、世界も【勇者】も興味が無かったじゃない。」
「っ?!!何故?!!」
「そんな事知っていない筈ないじゃない?私は貴女、貴女は私よ?」
「黙れ!!!ハンドレッドウインド!!」
そう言って上級風魔法を放つも・・・
「ふふっ、図星でしょ?ガイアウォール。」
眼前に広大な土の壁が現れ、私の魔法を防ぐ
「動作に滑らかさがないわよ、私?アースニードル。」
「あああぁぁぁぁぁ!!!」
地面から複数の棘が飛び出してきて私を突き刺す
致命傷は与えられなかったが・・・確実にダメージは蓄積している
「私は元々魔法に憧れていただけの少女だった。教会に行くまでは【魔導士】になりたいと考えていただけのあどけない少女、それが私。」
「黙れっ!!!!」
そう叫びながら、相手の地面にアースニードルを仕掛けるも容易に避けられる
そして彼女は避けながらも笑顔を崩さず言葉を続ける
「私は世界なんて興味も無かったし、救いたい人も居なかった。家族も友達も恋人も・・・」
「そんな事ないっ!!!」
私の追撃も軽々と避け、サンダーボルトを放って来る
「あああぁぁぁぁぁーーーーー!!!」
「私が話してるのだから静かに聞きなさいよ、私?貴女にとっては魔法の憧れが全て。それ以外の何もかもが貴女にとってはくだらない物だったわよね?」
「・・・・・・」
「皮肉なものよね?人族に興味がない貴女が【勇者】の称号を授けられるのですもの・・・そして傑作だったのは私の周りの人達よね?」
「・・・・・・」
「貴女が魔法に憧れ、周りに興味を示さなかった理由、過剰に魔法に憧れる貴女を友人は馬鹿にし、家族は煙たがる・・・そんな周りが【勇者】の称号を得ただけでチヤホヤしだすんだもん。」
「周りが貴女をチヤホヤする程に、貴女は周りを疎ましく思う。まぁそれはそうよね?アイツ等が見ているのは私では無い、【勇者】という称号ですものね。」
「・・・えぇ、そうよ。」
そう答えて、彼女の頭上にファイアランスを降り注ぐが、当然の様に避けられる・・・
バックステップした先に再度アースニードルで襲い掛かる
「おっ?!」
だがその攻撃も彼女のアンチマジックによって棘は消去されてしまった
「私は魔法を求める私を拒否した誰もに対して興味はないわ・・・」
「でしょ?貴女の魔法好きは最早病的ですもの。まぁそう言う意味では【勇者】になっても魔法が使えるスキルを得たのは良かったわね!!」
「えぇ、全くだわ・・・因みに貴女、私が魔法を使えない称号だった場合はどうするつもりだったか知ってる?」
「えぇ勿論、貴女は私だもの。もし私が魔法を使えない称号を得た場合は・・・」
「「死んで来世で魔法を求める。」」
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