カラミトルの究極と終局
龍が放った衝撃波により巻き散っていた砂煙が徐々に晴れてくる
「カラミトル?!!」
砂煙が晴れると・・・パパと、覆い被さる様にカラミトルが横たわっていた
「我がスキルを受けて尚、原形を留めていると天晴よ。流石は人族の【勇者】というべきか・・・」
そう言う龍に対して剣を抜こうとするが赤龍によって鞘を抑えられる
「小娘、これは死合だ・・・互いに死ぬ事を承諾の上で行ったもんだ。その結果が納得できずに剣を抜く事は・・・許せんぞ?」
「・・・・・・」
赤龍の言葉に私は剣を握る力を抜く
そうだ・・・カラミトルが自分で選んだ道だ・・・
赤龍も龍も、こちらの我儘に応えてくれたに過ぎない
そう理解しつつも目から涙が溢れてくる
「それに、だ・・・死合はまだ終わってない様じゃしな。」
そう言われて視線を彼女に戻すと・・・確かにカラミトルはもぞもぞと動いている
「カラミトル!!!!」
私の声が聞こえたか否かは定かでないが、彼女は首を上げた
「・・・・・・」
「・・・カラミトル?」
「い」
「・・・い?」
「痛っっっっったーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!痛い痛い痛---------い!!!!」
そう言いながら闘技場をゴロゴロと悶えながら動く
その声を聞いてか、パパも耳を動かした後にゆっくりと身体を起こし出した
「カラミトル!!!パパ!!!」
再度そう叫ぶとカラミトルの動きはピタッと停止し、こちらに視線を向ける
「アカのん、何泣いてんの?」
「ば、馬鹿ぁ!!死んだと思ったじゃないか!!」
「うん!!実は私もそう思った!!」
そう言いながら満面の笑顔で私に答える
それに驚いた表情を浮かべたのは私だけではない様だ
「なんと・・・」
龍も驚愕の表情を浮かべ、カラミトルを見つめていた
奴からすれば追撃のチャンスに他ならないが、魔力の消費が激しいのか、驚きが勝っているのか分からないが立ち尽くしているだけだ
その間にカラミトルは立ち上がり、パパを傍らに従える
「龍ってやっぱり強いんだね~!!私ももう一発受けたら死んじゃうし・・・お出でピピ!!!」
彼女が地面から召喚したのは・・・パパよりも一回り以上大きい黒い虎であるピピだった
「パパ、ピピ!!あの龍を倒すよ~!!あ、絶対に殺しちゃダメだからね!!」
「グガゥ!!」
「ゴォウ!!」
2匹はそう吼えてカラミトルの両脇に付き従う
「あの虎も普通の魔物ではないのぉ。」
「えぇ、あの虎も聖獣です。あの2匹とカラミトルのとっておきが出れば・・・」
赤龍とそう話している間にも、彼女は魔力を高める
その魔力の高まりで我に返ったのか、今度は龍が再度魔力を高める
「【勇者】よ・・・我が最強スキルをよくぞ耐えた。再度、我が渾身のスキルを耐えて見せれば、貴様には強さと誇りがある事を認めてやろう。」
「じゃあ、私があんたに勝ったら、あんたの名前はべべにするね!!」
「ほざけ!!!喰らうが良い『龍震』!!!」
そう言って龍がスキルを発動させると同時にカラミトルもスキルを発動させる
「パパ、ピピ行くよ!!『心技一体』!!!」
彼女がスキルを発動させると同時に、カラミトルとパパ、ピピは光に包まれる
そして光が消えたと同時にカラミトル1人だけになっていた
その姿は変わらないが軽装だった足には神々しい光沢を放つ足鎧が装着されており、両手には黒色で光沢を放つかぎ爪が装着されていた
「ほう・・・従者を装備品にするのか。」
「えぇ、彼女の契約した魔物に限定されますが・・・」
彼女自体は【勇者】としては強くない
けれども彼女が契約した魔物と一体化した時には、その魔物の最大の特徴を武具化し使用する事が出来る
しかも・・・彼女が武具化した事による付与も施される
「愚か者め!!今更どう足掻こうが『龍震』は止まらんぞ!!」
龍のその言葉を聞いてカラミトルはニヤリと笑い上へ飛び跳ねる
「なっっ?!!!!」
上空で飛び跳ねた彼女は衝撃波を楽に避け、跳ねただけで龍の眼前まで辿り着いた
驚愕する龍を見てカラミトルは口を開く
「今日から君はべべだよ!!宜しくね、べべ!!」
そう言うと同時にかぎ爪で龍の身体を引き裂きだした
「ぐ・・・グガァアアアアァァァァ!!!!」
「よ~いしょっと!!」
ズガガガーーーーーーーーーーン!!!!!!
身体中を引き裂かれ痛みで暴れる龍を、足鎧で思い切り蹴り付けて・・・龍は闘技場に落された
その姿を見た瞬間、
「それまで!!!勝者、人族の【勇者】!!!!」
赤龍は高らかにカラミトルの勝利を宣言したのだった
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