カラミトルの死合と仕合
赤龍の眷属である龍が開始早々にカラミトルへ口から炎を吹き出す
その威力を見て思わずカラミトルの名を呼んだのだが・・・炎が放たれた場所には彼女はいなかった
「消し炭となったか・・・親方様、死合にすらはなりませんで申し訳なく。」
龍はそう初めて口を開いたが、その言葉を聞いて赤龍はニマニマと笑っているだけだった
その理由は徐に別方向からする声によって答えられる
「フーーーっ!!パパ、すっごい炎だったね!!」
「な?!」
私と龍が声のする龍の後方へ視線を向けると、そこには非常に大きな狼に跨ったカラミトルが狼を撫でていた
「き、貴様・・・我が炎を避けたのか?!!こ、答えろ!!!」
龍は動揺しながらカラミトルに対して恫喝する
が、何処までもマイペースな彼女は龍の恫喝に対しても恐れる事もなく「そうだよ~。」と答える
「まぁ、私じゃなくてパパのお陰なんだけどね~。パパの力は私の力、私の力はパパとピピの力だからね~。」
「ならばこれはどうだ?!!『フレア・シューター』!!!」
龍が魔法を唱えると同時に極大の火の玉が八方からカラミトルへ襲い掛かる
だがそれに彼女は焦る素振りも無くパパに声を掛けている様だった
「パパ、あれ避ける事できる?」
「ガウン。」
パパはそう返事がするが否や、カラミトルを乗せたまま動き降りかかる火の玉を事もなげに避けていく
「なんだと?!!!」
驚愕する龍を眺めながら、赤龍が口を開き尋ねてくる
「ほう・・・あの狼、ただの狼ではなさそうじゃのぉ。それに魔物という訳でもなさそうじゃが・・・」
「えぇ、あの狼は人族の中では聖獣や幻獣と呼ばれる特殊な魔物です。」
「そんな聖獣が何故女子に付き従っておる?言っては何だが、あの女子自身にはそこまで力が有る様に見られんだが・・・」
「私もあまり詳しくは無いのですが・・・彼女は赤子の時に捨てられていたそうです。」
「捨て子か・・・」
「えぇ、そこに偶然、あの狼ともう1匹、別の魔物が居るのですがその2匹が出くわし・・・」
「育てられた、と・・・しかし人族に捨てられた赤子が【勇者】だったとは・・・因果なモノよ。」
「えぇ、全く。でも・・・」
そう言いながら彼女に目を向ける
カラミトルは狼に跨り避ける場所を指示している
その顔は死が直ぐ傍にあるにも拘らず、相棒を信じ、活路を見出さそうと躍起になっている
「でも、それでも【勇者】である彼女を私は尊敬してます。」
「ふん。・・・気持ちは分からんでもない。」
そんな会話を続けている私たちを尻目に戦いはより激化する
龍もかなり苛ついているのだろうか?攻撃がワンパターン化していた
「ちょろちょろと鬱陶しいぞ!!」
「へ~、龍もイライラするんだね~。攻撃が荒いからパパにお願いしやすいよ~。」
「!!!貴様ぁ・・・」
そう言った龍は魔力を大幅に使用する素振りを見せる
「これでも喰らえ!!!『龍震』!!!!」
龍がスキルを発動したした瞬間、地面全体に衝撃波が走る
それと同時にあの広大な闘技場の地面が龍を中心に地割れを起こし出した
「これは?!」
私が赤龍の方を向き尋ねると、赤龍は薄ら笑いを消していた
「龍族固有スキル『龍震』じゃ。術者を中心に地面に膨大な衝撃波を与える切札とも言えるスキルじゃよ。・・・水面に石を投じた波紋が衝撃波だとでも思えばよい。」
「それって回避不能スキルではないのですか?!」
「無論その通り。空を翔ける龍ならではのスキルじゃな。だがその分、消耗も激しいがな。」
「?!カラミトル!!」
そう言って闘技場を見ると、龍の放った衝撃波が彼女を襲おうとしている
「これは不味いなぁ~・・・パパ、これ避ける事できる?」
「グゥン・・・」
「だよね~・・・仕方ない。タイミング良く上空に飛んで少しでもダメージを減らそう!!」
そう言ってカラミトルとパパは衝撃波に立ち向かって行った
そしてその直後・・・
ズガアァァァァァァァァァァァァンーーー!!!!
という激しい炸裂音が辺り一面に鳴り響いた
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