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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
Ⅰ章【チモシタタルオトメ】
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アカノの願いと誓い

第Ⅰ章「チモシタタルオトメ」最終話です!!


「アカノさんどうされたのですか?!」

ギルドに戻った私を受付嬢は大声で聞いてくる

それはそうだろう、身体中がモンスターとの戦闘で返り血を浴びている状態なのだから…


本当は一度家に帰り身体を洗った方が良かったかもしれないが、内容が内容だけに一刻も早くルナエラに報告すべきだと考えた

(しかし…やはり家に戻るべきだったか…)

そんな事を考えながら受付嬢に返答をする

「あぁ、これはモンスターの返り血だから問題ないです。それよりギルドマスターはいますか?緊急で報告したい事があるのですが。」


「ぜ、全部モンスターの返り血ですか…どれだけ狩ってきたんですか…」

受付嬢は小声でぼやく


「ギルドマスターは執務室にいらっしゃると思います。一度確認して参りますので少々お待ちください。」

そう言ってパタパタと走り去る


暫く椅子に座って待つと先程の受付嬢が戻って来た。

息も絶え絶えという様子を見て、どれだけ急いだんだろうと苦笑してしまった

そんな私を見て、バツが悪そうな表情で息を整えて

「ギルドマスターがお会いになるそうですので、こちらへどうぞ。」と誘導してくれた


前回にも連れられた執務室の中に入るとルナエラが怪訝な顔でこちらを見る

「アカノ…緊急を要する報告だとは聞いたが、その血だらけの恰好は女性としてはどうなのだ?」


「私はギルド所属として報告に来ただけで周りに女性として見られたいとは思わない。」

まぁ、少し気持ち悪いからこそ一度家に帰るか悩んだのだが…

私がそう言うとため息をつきソファーへ誘導する


ルナエラは先程の受付嬢が飲み物を持って来て、テーブルに置いて立ち去った事を皮切りに声を掛けてくる

「…で?緊急の報告とはなんじゃ?お前の事だ、【嘆きの森】に向かったのじゃろう?」

そう言われて私は頷く


「で?お前も【真祖】に出くわしたか?」


「いや…」

私は首を横に振りながら報告をする

【真祖】の屋敷は無く原野だった事、クロノが襲われた場所は特定したものの死体も肉片も無かった事、ライアに襲われた事、ライア以外にローエルもヴァリアも魔族と手を組んでいる事、ライアが【造られた宝珠】で半魔族化していた事、ライアを倒した事…全てをありのままに報告した


「………」

話し終えた時、彼女はソファーに身を任せて目を閉じ思案していた

報告を加味しているのであろうから私は何も言わずに飲み物を飲んで待つ


「…一大事じゃな。」

彼女は目を開き、天井に向かってボソッと呟く


「そうだな。」

私が返答すると視線をこちらに戻して続ける


「まず【真祖】が立ち去った事は喜ばしい。【嘆きの森】はC級素材が獲得できる狩場でもあったからな。

【真祖】がいない事が判明した今、封鎖は解けるだろう。だが…」

彼女は渋い顔をする


「ライア、ローエル、ヴァリアの事は最悪じゃな…城に使いを出して逃亡の事実確認を行うが、よりによって魔族と手を組むか。しかもライアは半魔族化していたか…これは残り2人も…」


「そうだな。ライアの言葉を信じるとすると魔族と手を組んで、力を得る代わりに私を襲う契約をした様だった。」


「それが【造られた宝珠】か…愚かな手段を選んだのぉ…ライアじゃが…どれ位強くなっておった?」


私は彼女との戦闘を思い出しながら返答する

「以前のライアなら、良くてA級という所だったが…今回は最低S級、もう少し理性があればSS級でもおかしくはない。」


「とすれば、ローエル、ヴァリアは更に強くなっている可能性があるのぉ…やつらはライアよりも強かったじゃろ?」


確かにローエルはS級、ヴァリアはS級~A級位だった。それを考えるとSS級以上の強さを持って現れてもおかしくない

私自身もその点は考慮している

「ルナエラ…私は旅に出ようと思っている。」


「な?!」

驚く彼女を手で制して続ける


「今後、ローエル、ヴァリアは私を襲う為に動くだろう。君の言った通り強くなっている可能性も高い。だったら私は修行しながら魔族の元に向かう。…それに。」


そう、ここからが本音だ

「それに、クロノに関してだが、死体は愚か、それらしき残骸も無かった。希望的観測であるかもしれないが、私はクロノを探しに行きたい。」

私は一気にそう伝える

私が辛うじて冷静でいられるのは『クロノは生きているのではないか?』という可能性に縋っているからだ

もし、あの場所にクロノの亡骸があったなら…私は間違いなく狂っていただろう…


「このギルドの為に、私の友として残ってくれんか?…とは野暮じゃな。」

ルナエラは私の目を見て引き留めるのを止めたみたいだ

私自身としても無理やり出ていくよりも見送って貰える方が気が楽だ


「まぁ、分かった。国は焦るだろうが、そこは上手く伝える様にしておく。【嘆きの森】からで考えると向かう先は【サンドール商業国】か?」


私は頷きながら返答する

「そうだ、ローエル達に殺されかけたクロノがこの国に戻る事はないだろう。私自身が国の依頼でいつ戻るかも分からなかったのだからな。となると【嘆きの森】反対側にあるサンドールにまず向かうべきだ。」


「分かった、それではサンドール行きの護衛依頼を受けていけ。そしてそのまま向こうのギルドマスターへ会いに行け。お前の力になってくれるやもしれん。」

そう言いながら紹介状を作ってくれる彼女に、素直に私は礼を言う


(必ずクロノに逢う)

願いにも近い誓いを胸に秘めて、私は旅立った


という訳でアカノさんは旅に出ます。

第Ⅰ章を読了頂きまして誠に有難う御座います!!!


間章を挟みⅡ章へ向かいます

「さっさとⅡ章行けや!!」という方は★を、「間章増やせや!!」という方はブックマークをお願い致します!!





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