アカノの口調と不調
「ア、アカのん魔族領に行くの?!!」
私は頷きながら答える
「えぇ、クロノが魔族領に居るみたいだから、ね。」
「えぇ?!!く、クロノん魔族領に居て、ほ、本当に大丈夫なの?!!」
彼女の驚きも至極当然だ
私は再度頷いて彼女に答える
「えぇ大丈夫。深く話す事は出来ないけど・・・大丈夫な理由があるの。」
私は【真祖】に話を聞いた後にくれぐれも口外しない様に念を押されている為に告げる事は出来ないが・・・
「そっか~じゃあ安心?なのかな?じゃあ【勇者会議】が終わったら魔族領に行くつもりなの?」
「それは会議内容によるわ。【勇者会議】での情報収集部隊に無事に任命されるのなら参加するし、その他の事で魔族領に向かえない様だったら・・・抜けざるを得ないわね。」
「ふ~ん・・・じゃあ私も情報収集部隊に立候補しよっかな!!」
私の話を聞いてカラミトルは唐突にそう告げてくる
「えっ?!!」
「だって魔族領だったら、パパとピピよりも強いお友達が出来るかもしれないじゃない?私も【勇者】として実力を底上げする為には強いお友達は最優先だからね!!」
確かに彼女の場合は、相棒となるモノの実力は無視できない
人族領も魔族領の方が強い生物が居る可能性は確かに高い
そして彼女の相棒の力を借りられるのであればそれはそれで非常に助かるだろう
「じゃあ明日の会議次第にはなるけれど・・・基本的には魔族領に赴く所に志願する形で良い?」
「うん!!あと最後の質問なんだけど・・・」
そういうと上目遣いにこちらを見つめてくる
「?」
「アカのんって・・・1年前と比べて言葉が女性っぽくなったよね。・・・良い人が出来たの?」
そう言われて顔が赤面する
「ち、違う!!良い人などいない!!いないぞ!!!」
「え~?!でも口調が女性っぽくなってるよ!以前は他の冒険者に舐められない様な口調してたよね?」
「う・・・そ、それは・・・」
「それは?」
「ひ、秘密だ!!!」
そう・・・確かに私は父さんと会ってから口調を女性っぽく戻す様に努力している
父さんと再会した日の夜に食事を一緒に取った時の事だ・・・
◇
◇
「アカノ、クロノが居ない今に聞くのも野暮かもしれないが・・・」
「?どうしたの父さん。」
飲み物を口に含みながら父さんの言葉の続きを待つ
父さんと食事を取ったのはギルドと併設された酒屋だった
折角だからもっと良い所をと思ってたのだが・・・「冒険者だった時を思い出す。」という父さんの言葉で食事を取っていた
「クロノとは恋仲になったの「ブーーーーーーーーッ!!!!!!!!!」」
思わず盛大に吹き出し咽てしまう
この人は何を言うんだ?!という気持ちが抑えきれない
だが・・・
「とととととと父さん?!なな何を言っているんだ?!!」
動揺し過ぎてか上手く呂律が回らない
父さんはそんな私を呆れた顔で見ながら口を開く
「お前まさか・・・バレていないとでも思っていたのか?傍目から見ればバレバレと言うか・・・あからさまだったぞ?」
あからさま?バレバレ?
私自身が本当の意味で自覚したのはクロノが居なくなってからだと言うのに・・・
「だがまぁ、クロノもお前に好意を抱いていたが、それが異性としてなのか家族としてなのかは分からん。お前がクロノに意識して欲しいのなら・・・そうだな、その男っぽい口調を直してはどうだ?」
「く、口調?」
「あぁ、男の冒険者に舐められない様にしているんだろうが・・・ソロでSSS級の【剣聖】を舐める奴もいないだろうし、クロノも再会した時に変化に胸が高鳴るだろうよ。」
「そう、かな・・・?」
「男ってやつはギャップに弱いもんだ。俺もお前の母親に・・・」
そう言いながら今は亡き母親とののろけ話に没頭し出す事はいつも通りだ
(クロノは・・・私を異性として見れくれるだろうか?)
その言葉をきっかけに不慣れながら女性の口調を意識して話す様にした
いつも有難う御座います!!
「面白い&期待している」という方は★&ブックマークを是非とも宜しくお願い致します!!
ご感想やレビューも心よりお待ちしております!!