アカノと決闘の決行
「はぁ・・・」
目の前でニヤニヤしながら斧を振り回す【勇者】ギンズカンを見ると思わずため息が零れる
あれからハートンホールは渋ったが、ギンズカンの押しと【勇者】ではない者の力量を確認したいのか周りの声もあり闘技場でギンズカンと試合を行う事となった
「おい【剣聖】!!俺様に認められるには俺様に勝つしか無いぞ?!【勇者】に【剣聖】が勝てるとでも思っているのか?!」
「・・・既に一度【勇者】には勝っている。」
「はっ!!その話は聞いているぜ?!大方不意打ちに近い形で勝ったんだろ?!」
「・・・・・・」
確かに怒りの余り勢いの任せて斬りつけたので、不意打ちと言われれば不意打ちかもしれない
無言でいる私を見て満足そうに嘲る
「やはり不意打ちか?!!まあ、それにやられた【勇者】も弱っちいが・・・俺様が勝ったら追い出してやるからそのつもりでな!!」
そう言いたい事を言って満足そうな表情を浮かべて開始線へ戻って行く
「アカの~ん!!!頑張れよ~!!」
不意にカラミトルの呑気な叫び声が聞こえ、私は声の方へ視線を向けて手を振った
私としては声援に対するお礼のつもりだったのだが・・・
「余裕じゃねぇか【剣聖】・・・」
ギンズカンとしては舐められていると感じたのか、血管が浮かび上がり怒りの形相でこちらを睨みつける
「そんなつもりは無いが・・・だがまぁ、私が負ける事はないだろう。」
私がそう答えるとより獰猛な表情を浮かべた
「それでは【勇者】ギンズカン=バズグンと【剣聖】アカノ=エンドロールの模擬試合を始める!騎士道精神に則り、正々堂々と戦う事とする!!本模擬試合は武器有、スキル・魔法有、殺害無の形式となる!!相手側からの敗北宣言、又は私がこれ以上は無理だと判断した時点で勝敗は決せられる事とする!!それでは・・・始め!!」
ハートンホールがそう宣言したと同時にギンズカンは攻めてくるかと考えていたが、意外にも攻めてくる事は無かった
その代わり、敵意を剝き出しにした視線でこちらを睨みつけてくる
「おい【剣聖】・・・さっさと敗北を宣言しろ。こちとらかなり苛ついてんだ。動き出せば・・・止まらないぞ?」
「ふん・・・」
その言葉に思わず鼻で笑ってしまった
その気がないならこの場に立たない
そんな事は相手も百も承知だと思い込んでいた自分を思わず卑下してしまう
「この場に立ってそれは通用しないだろう?ここに【魔王】がいようと【魔神】がいようと・・・【真祖】はいようと、だ。」
私がそう言った事が開戦の合図だったらしい
ギンズカンの斧に魔力が充満し、地面へ斧を叩きつける
「アースクエイク!!!」
ギンズカンが斧を叩きつけた箇所から闘技場はひびが割れ足場を失くしていく
「足場が無けりゃ踏ん張りが効かねぇ!!そうなりゃ【剣聖】なんざ関係ねぇんだ!!食らえライジングハンマー!!」
私の頭上に大型の雷を纏った魔法が複数襲い掛かって来るが、多少大きいとは言え10にも満たない魔法等足場が崩れていようが避ける程度造作もない
「ちょこまかと避けやがって・・・これは避けられまい!!トールハンマー!!」
「ほう・・・」
闘技場の半分を覆う様な特大の魔法弾が私を中心に襲い掛かって来る
「ガハハハッ!!幾らすばしっこかろうが避けれんだろう!!」
「いや、効果範囲は確かに広いが・・・速度が遅いっ!!」
そう言うと同時にギンズカンの方へ一気に駆け、斬りつける
「なっ?!!」
どうやら自分が襲われる事は想定していなかったらしく、一瞬同様するも私の斬撃を斧で受け止めた
「て、手前ぇ・・・」
「瞬時に受け止めるとは、伊達で【勇者】を名乗っていないな。だがっ!!」
私は下へ潜り込みながら斧の柄を剣でかちあげる
するとギンズカンは斧を手放したらしく、空中でクルクルと円を描いていた
「・・・私は【魔王】と対峙した事がある。」
ギンズカンの喉元に剣を付きつけながらそう口にするとギンズカンも周りの【勇者】も驚いた表情を浮かべていた
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