アカノの追求と追究
「本っ当にすまん!!私も精一杯反対したのじゃよ?!!けれどじゃあ【勇者】を出せと言われても現在称号【勇者】はこの国では確認できておらん・・・」
「お話し中に失礼。」
父さんはそう言ってルナエラの言葉を遮る
「今のお話ですと、国は兵士と【勇者】を派遣すると・・・因みに開戦を決めたギルドは如何されるのですかな?」
「・・・先程から気にはなっておったのじゃが、この御仁は?」
「私とクロノの父だ。」
「アカノたちの父か?!!噂では他国のS級に所属しておったそうじゃのぉ・・・只者ではない気配を醸しておったが・・・」
「私の事は後ほど。ギルドとしては如何されるのかをお教え頂きたい。」
「う、うむ。無論ギルドとしても何もしない訳にはいかない。S級以上は余程の事が無い限り緊急依頼を発令させ出兵、A級、B級は志願制とした。C級以下は所属国の依頼を受け続けて貰う形じゃ。」
その言葉を聞いて「そうだろうな。」と頷き私の方を見る
「アカノ、詰まりはお前はどちらにせよ出兵させられていた可能性が高い。出兵拒否しようにもクロノ捜索は余程の理由に該当される事は無かっただろう・・・であれば逆に考えるべきだ。」
「・・・逆?」
父さんは頷きながら言葉を続ける
「そうだ。【勇者】と同格扱いで出兵すれば作戦の中枢に坐する事は間違いない。それで出兵する側に回れば大義名分を以って魔族領に入る事が出来る。」
「!!」
「魔族領に入った後は・・・クロノを探す事を最優先に動けばいい。」
「ちょ、ちょっと待て待て待て!!クロノ?!クロノが魔族領にいるのか?!」
父さんとの話についていけないルナエラは頭が混乱している様に狼狽える
だが父さんはその質問に答えずに私の代わりにルナエラに対し言葉を発する
「ギルドマスター、娘はそのギルド及び国からの依頼を受けるでしょう。可能であれば娘が侵攻する側に配属される様手を回して頂けると有難いが・・・」
「ルナエラ、私が【勇者】と共に出兵する条件だが、魔族領に立ち入る事を認めるのならば受けると伝えておいてくれ。」
立て続けにそう告げると何に混乱しているのか分からない様子で混乱している
どうやら頭を捻りながら口にする言葉を考えているみたいだ
「・・・分かった。確約は出来んがお前が攻撃隊配属に配置される様に精一杯手を回そう。それよりも、クロノの事じゃ・・・クロノは魔族領に居るのか?」
そう言いながら真面目な顔をする
ルナエラからしても私を介してだがクロノは良い話相手だったから心配してくれたんだろう
「確定では無いが、限りなく可能性が高い。ある御方が事の顛末を知っていて説明してくれた。」
「生きておるのか?」
「ほぼ間違いなく生きているそうだ。」
「その御方は何でも知っておるのぉ・・・クロノは魔族領でどうしてる?」
「流石に全ては知らないそうだが・・・私は無事ならばそれで良い。」
「そうか・・・」
そう言って黙り込む
なんだろう・・・先程とは雰囲気が違う
「ルナエラ・・・何か気になる事があるのか?」
「・・・・・・」
その沈黙に対して何かあったのか焦ってしまう
ルナエラの方でもクロノの情報は探してくれていたから何かに引っかかったのかもしれない
「ルナエラ、何か情報を掴んだのか?頼む、些細な事でも良いから教えてくれないか?」
「ギルドマスター、私からもお願いする。私たちに取って魔族との戦争は二の次であり、最優先するのはクロノの安否なのだ。・・・正直、クロノを探す術としてギルドを利用していると言っても過言ではない。」
私と父さんがそう頼み込むと渋々という形で重い口を開いた
「飽くまで噂じゃぞ?そしてそれがクロノであるという確証もない・・・それを胸に刻み話を聞いてくれ。」
その言葉に2人して頷き、次の彼女が発した言葉に目を見開き驚愕してしまう
「【ダイン帝国】を滅ぼした【魔王】じゃがな・・・どうやら黒髪黒目だったそうじゃ・・・」
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