【間章】ギルドの裁決と採決
バルザスがゴスガンを睨みつけながら言葉を挟む
「おい馬鹿、馬鹿に教えてやろう。もし件の国と戦争になった場合、その国に加えて属国2国の計3国は最低相手どらなきゃならん。・・・加えて【ダイン帝国】はな、35,000人の兵士が【魔王】相手に20.000人が殺された。それも数十分で、だ。加えて【ダイン帝国】内が壊滅したのも【魔王】1人によって・・・だ、他の魔族が【魔王】程ではないにしてもそれでもどう考えても楽観視できる状況じゃねぇ
。馬鹿なお前に聞いてやる、魔族領魔族が最低3国相手で、【魔王】は1国を簡単に滅亡させ得る相手、戦力不明、人員不明、強襲先不明のこの状況でどう戦争に勝つんだ?」
「ぐっ・・・」
その言葉にゴスガンは何も言い返せない
最早精神論でどうこう出来る事態ではない
文字通り、人族世界全体の危機といっても決して過言ではない
「まずは人族領防衛に専念するという事ではどうかしら?」
そう口にするのは【ラインハルト騎士国】のギルドマスターであるシュティアだ
彼女は私と違って色気も有り、男受けもある、そしてやはり有能なギルドマスターだ
個人的にはライバル視している事は自覚している
「それはやはり魔族と戦争を起こすという事ですか?」
ギランは値踏みをする様な目でシュティアを見ながら尋ねる
「えぇ、まず仮に和平交渉を持ちかけて相手が了承したとしましょう。それでも撃鉄を引いたのは人族であるには変わりない。そうなると私たち人族がどうなるか・・・それは想像できるわよね?」
・・・落ち度はコチラにある以上、無茶な要求にもある程度応えなければならない
「相手は人族の根絶やしを宣言する魔族よ。和平を持ちかけても人族は奴隷扱いになる立ち位置なのは間違いないでしょう。」
確かに・・・
「そうなるとこちらは相手に力を示さなければ立ち位置を確保できないわ。魔族は実力主義だと聞いた事くらいはあるでしょう?だから相手に人族の実力を見せつける必要があるの。」
「それは分かるのじゃが・・・防衛とは?」
「人族と魔族の接する境界は意外と広大よ。何処から攻めてくるか分からないのにこちらから攻撃を仕掛ける事は出来ない・・・であれば相手から攻めさせてその隙に魔族領に侵攻するか、攻めて来た箇所に人族を集めるのよ。人族の数を最大限に有効利用するのよ。」
「成程な・・・」
グラマスは暫し考え込みながら同意の言葉を放つ
「確かに人族の今後を考えると戦争は避けられん、か・・・その作戦自体も悪くは無いと思う。だが、だ・・・防衛する人族、侵攻する人族はどう人選する?各国兵士は勿論召集させる様に進言するが・・・」
「あら?それなら簡単ですよグラマス。各国にはいるじゃないですか?各国ご自慢の【勇者】が・・・それに冒険者も流石に派遣しないと体裁が悪いですわ。」
その言葉に私の背筋にゾッとしたモノが走る・・・
「特にどっかの国には今【勇者】がいないそうですから、ご自慢の【剣聖】を【勇者】の代わりにギルド推薦という形で派遣してもらいましょう。彼女はどうやら複数国の【名誉騎士】にもなっているみたいですし・・・箔としては充分かと。」
「い、いかん!いかんぞ!!【剣聖】は弟を探す為に旅に出ておる!!冒険者とは縛られる職業ではない筈じゃ!!」
思わず机に乗り出し反対の意を示すが、シュティアは手を横にヒラヒラさせながら
「あのねぇ・・・人族の世界が滅亡危機なのにそんなの通る訳ないじゃない?それに彼女は【名誉騎士】でもあるのよ?その意味を知らない訳じゃないでしょう?」
「ぐっ・・・」
「彼女だって、もしかすると弟さんに有益な情報を得る事が出来るかもしれないじゃない?何たって人族の国全体から兵士たちが派遣される訳なんだから、ね。」
その彼女の言葉が決定打だった・・・
最後まで反対したが、グラマスの意見は【剣聖】の派遣を容認する事
この会議によって人族は魔族と対立する事で合意
【勇者】と【剣聖】で特別チームを構成させる事が決まった
後は各国の王族たちに報告するとの事だが・・・この案に反対する国は出ないだろう・・・
私はこの会議で友人を死地とも言うべき場所に送り出すという最悪な結果となってしまった
いつも有難う御座います!!
これにてⅧ章は簡潔となります!!
Ⅸ章もどうぞ宜しくお願い致します!!
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