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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
Ⅷ章【クロイケムリガタチノボルトキ】
160/640

クロノの渇望と絶望


「・・・・・・。」


気が付くと僕は瓦礫の上で佇んでいた

辺りを見渡すと瓦礫の山がそこらかしこにあり、崩れかけている家や屋敷も多々ある

舗装された様な道路も無く正に廃墟という言葉がピッタリだ

人族の死体もそこら辺に横たわっている


「僕、は・・・うぅぅぅーーー!!!」


意識を働かせた瞬間、脳裏に様々な情報が流れ込む

まるで思い出のシーンがゆっくり流れてくる様な感覚だ


「!!!!!!」


思い・・・出した・・・


「姉、さん・・・うぅ・・・おぉぉ・・・」


何故忘れていた?!

僕が魔族化したって忘れてはいけない人の顔を、声を、思い出を忘れてしまっていた

その事実が僕の胸を締め付け嗚咽させ、無意識に涙を零させる


姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん姉さん



あの時の女性はやはり姉さんだった!!

今すぐ逢いたい

逢って・・・話をしたい・・・

だがそれと同時に絶望する・・・


僕が姉さんの傍に寄ると姉さんににとって害でしかないという事実・・・

人族の有象無象はどうでも良い

けれど自分の所為で姉さんが傷つく事だけは・・・

逢いたいという渇望と逢うべきではない絶望が僕の心中でせめぎ合った


「き、貴様!!!何者だ?!!!!」


渇望と絶望の淵にいる僕に誰かが無遠慮に叫び出す

視線を声する方へ向けると兵士の恰好をした男が槍を携えてコチラを睨む


「こっ、この惨状はき、貴様がやったのか?!!」


こいつからすれば僕は瓦礫の山で虚ろな目で泣きわめく正体不明な男だろう

だけど僕は今、彼に対して何かを思う程、心に余裕がない


「こ、答えろ!!!貴様がやったんだろう?!!」


その言葉にフラっと立ち上がり彼の元へ近づく


「止まれ!!止まるんだ!!でないと刺すぞ!!」


その言葉を無視して彼に近づくと


「う、うああああああーーーー!!!」


そう叫びながら槍で僕を突いてくる・・・が、ローブに阻害され僕自身に傷はない

いや・・・ローブを着ていなくとも傷は無いだろう・・・

その現実が僕をより陰鬱にさせる


「ハハッ・・・やっぱり僕は・・・人族じゃないんだな・・・」


理解はしている

納得もしている

後悔もない

だけど・・・少しだけ哀しい

そんな気分だった


僕は徐に懐から仮面を取り出す

自己修復が付与されているだけ有って仮面もローブも既に修復が終わっている

仮面を被り、目の前の兵士に告げる


「其等は、羽虫故、我に害無くば、見逃そう・・・近隣諸国に、逃げ惑うが、良い。刮目して、焼きつけ、囀れ・・・我は【黒家クロノス】、【魔王】・・・其等人族を、忌み、怨み、見限り蹂躙し根絶やすモノ也。」


そう言って無造作に魔法弾を撃ち込む


「ひ、ひぃぃぃぃーーーーーー!!!!」


「我はこれより、街を、村を、この国を根絶やす・・・逃避したくば、逃避するが良い・・・」


その言葉を聞くと同時に兵士は脱兎のごとく逃げ出す

その姿を確認しながら【宝珠】を使用し、魔法弾を四方八方に撃ち込む


「我は【黒家クロノス】、【魔王】也・・・其等の国は、今を以て、我が国土となる・・・其等は、逃げ惑い、近隣諸国に囀るが、良い・・・我は【黒家クロノス】、【魔王】也・・・」


言葉を街全体に聞こえる様に話続け、そこら辺に魔法を撃ち込み続けた


(これでクロノスに侵攻してくる国も躊躇する筈だ。)


この国の国民だった者には良い喧伝者になって貰わなければならない

そんな打算も勿論ある


だがそれ以上に・・・このやりきれない気持ちをぶつける場所を僕は何処か探していた・・・


いつも有難う御座います!!

本章は一先ず終了です。

間章を挟んで次章に移行しますので今後も宜しくお願い致します


「面白い&期待している」という方は★&ブックマークを是非とも宜しくお願い致します!!

ご感想やレビューも心よりお待ちしております!!

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