グーガの終了と修羅
「街への門はなんとしても死守せよ!!!ここが落ちると【魔王】様に顔向け出来ぬぞ!!!」
俺はそう言ってあらん限り声を張り上げる
「グーガ副長!!!相手の攻撃は凄まじくこのままでは遅かれ早かれ門はこじ開けられてしまいます!!!」
「遅かれ早かれであれば1秒でも長く死守するんだ!!!【魔王】様は今こちらに向かってきてくださっている!!!【魔王】様がお戻りになればあの様な人族や魔族もどき等塵芥に過ぎぬ!!」
「「はっ!!」」
そう返事をすると兵士たちは自分の持ち場へ戻っていく
その姿を見届けた後、門の上から下を思わず見下ろす
「・・・ったく。あの魔族もどきはなんなんだ。」
昨日の早朝、突如唸り声が聞こえたかと思うと数万人の軍勢がこちらに向かって襲い掛かってきた
ただでさえその様な大群を【魔王】様、バルデイン隊長を含む精鋭部隊が不在時に守り切るのは困難であるというのに、明らかに人族ではない、とは言っても魔族の様な姿形もしていない異質な化物が数百人が襲い掛かって来た
魔族もどきは明らかに人族よりも強敵でドンドン攻め込んでくる
空から飛んでくる魔族もどきもいたが、それは一部待機していたトリクトリロの悪魔族兵士が対抗してくれている
「【魔王】様・・・早く来てくれねぇかなぁ・・・」
そんな事を思わず呟いた俺を責める者はいないだろう
トリクトリロの兵士3人を伝令という形で派遣させた
1人は【妖精霊国インフォニア】へ救援依頼
1人はレイス族のいる領地へ
1人は【魔王】様への伝令を
だが・・・どの伝令も今となれば絶望的だ・・・
【妖精霊国インフォニア】からの救援も準備期間を考えると早くとも明日の到着だろう
レイス領には姫様やマリトナに決して戻って来るなという伝令を伝えた為に救援は見込めない
【魔王】様は今現在、【鬼人国ソウトウキ】を攻略中だろう
「けど・・・指揮官が希望を捨てちゃあ駄目だわな。」
指揮官は兵士たちに国の為に死ね、家族の為に死ねと言う事が責務だ
国の為に、家族の為に死のうとしている兵士に、お前らが死んでも誰も助からないとは口が裂けても言えない
「しっかし・・・人族が戦争を仕掛けてくるなんざ初めての事じゃねぇか?」
階下を見下ろしながら思わずぼやく
歴史には詳しくないが、そんな話は俺自身聞いた事が無い
基本的には互いに不可侵な領域だと考えていたのだが・・・
「そう思っていたのはこちら側だけって事か・・・グルバ!!!」
「はっ!!」
「俺は今から戦に出る・・・今からはお前が指揮官だ。」
「?!!ふ、副長お待ちください!!であれば自分が!!」
「バ~カ!お前が俺の代わりになれるのは指揮官だけだ。戦場ではまだまだお前は俺にかなわねぇぞ?」
そう言ってニッと笑うとグルバは泣きそうな表情をしてくる
・・・泣かないだけ褒めてやるがな
「ふく、ちょうぅ・・・」
そう言いながらボロボロと涙をこぼし出す
折角誉めてやろうと思ったのによぉ、まだまだだな
「バ~カ!俺は死にに行くんじゃねぇぞ?あいつらを追い払ってクロノスの英雄になりに行くんだ。・・・この戦場が終わったら俺は隊長になっている筈だからちゃんと敬うんだぞ?」
「ふくちょうぉぉ・・・」
これ位が俺らしくて、良い
「おっと、ちょっとゆっくりし過ぎたな・・・じゃあな!!」
そう言うと同時に門下に飛び降りがてら下にいた魔族もどきの頭に向かって拳を打ち込んどいた
「ハッハー!!【黒家クロノス】騎士団副長グーガ!!!お前らを八つ裂きにする者だ!!!」
そう言いながらいながら敵兵に拳を片っ端から打ち込んだ
「おい!誉れ高きクロノスの兵士がポカーンとしてんじゃねぇ!!この門を守るために兎に角殴りつけろ!!」
「「は、ハッ!!」」
どことなく生気が戻った兵士が同じ様に魔族もどきに攻撃を繰り出し始める
その光景を見ると自然に口角が持ち上がる
「さあ!!俺は今から修羅に入るぞ!!命が惜しくない奴だけ掛かって来い!!!」
そう言いながら拳を固く握りしめた
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