クロノの覚めぬ悪夢
ダンキとの戦った次の日、僕は彼らと戦った場所の上座に鎮座させられている
「我が主、無事に【鬼人国ソウトウキ】を落城させました事、お慶び申し上げます。」
「「おめでとうございます!!」」
そう言って鬼人たちは膝を折って両手をついて頭を下げてくる
どうやら彼らなりの最上級の礼らしい
いや・・・君たち落城された側だよね?と思わずにはいられない
「【鬼人国ソウトウキ】は最早、主の国です。【黒家クロノス】の一部として併吞して頂きましても、属国として頂きましても構いません。主の言の下にすぐさま取り計らいましょうぞ!!」
そう言われて少し考えるが、これは属国一択だろう・・・
間に【妖精霊国インフォニア】が入るし飛び土地の管理なんてとても出来る気がしない
「其等は、属国とし、我に応えよ。」
「「ハハーーーー!!!」」
そうなると属国とするならば・・・
「ダンキよ・・・」
「ハッ!!」
「其は、この国を、管理せよ。我の、願いを、反意にするな。」
「ハッ!!身命を賭し、主のご期待に応えて見せます!!」
昨日の戦いは僕の勝利で幕を閉じた
だが、流石鬼人というべきだろうか?
僕の渾身の一撃を受けたにも拘らずダンキは辛うじて生き延びていた
それから敗けを認めたので回復してやった次第だ
すると敗北した方が悪いとされているらしい鬼人国で回復して貰った事に感激したらしく、この国の主になってくれと懇願されて今に至る
正直、戦争を嗾けたのは僕だし、僕自身は彼らに恨みも抱いていない
それに竹を割った様な性格の彼らに好感を持っているのも事実だ
ブーザルと違い、この国は勝者が正しいという事が浸透しており、国民が無意味に苦しい思いもしていないしな・・・と考えてそれを受け入れた
(獣王国に降り立ってから2ヶ月と少しで3ヵ国の属国と1ヵ国を滅亡させたのは・・・)
冷静に考えると・・・どう考えてもハイペースが過ぎると思う
ここら辺で足元を固める為にも国内に目を向けても良いかもしれないなぁ
そんな事を考えていると
「お兄さん!!!!」
ロキフェルが扉を乱暴に開けてこちらに入って来た
顔には焦りが浮かび、顔色も悪い、どう考えても尋常ではない雰囲気を感じる
「貴様!主の御「五月蠅い!!黙れっ!!!!!」」
そう言ってズカズカとこちらに近づいて来る
目は若干潤んでいる様にすら見える
しかも・・・少し震えているのか?
「お兄さん・・・落ち着いて聞いてよ・・・人族が、人族が数日前に宣戦布告を行った。」
その言葉を聞いた瞬間に嫌な予感がグンと高まる
「待て。」
「宣戦布告した人族は1国だけらしいけど・・・直ぐに魔族領に入ったらしい・・・その魔族領なんだけど・・・」
「待て。」
「【黒家クロノス】なんだ・・・クロノスなんだよ!!!」
胸がドクンと動き、黒い何かが身体中に駆け巡る
頭が働かず、けれども冴えている様な不思議な感覚に襲われる
「・・・さん!お兄さん!!!」
ハッとするとロキフェルが必死に僕の身体を揺さぶる
僕は震える手で仮面を外し、ロキフェルの目を見つめた
鬼人たちは驚いている様だが、正直今はそれ所じゃない
「・・・大丈夫だ。直ぐに転移して助けに行く。」
そう言って転移を発動させる、が
「転移・・・しない??」
何故かクロノスへの転移が発動しない
「何故だ?!!何故転移が発動しない?!!行け!行けよ!!!」
何度も転移を試みるもどれだけ試してみても発動される事が出来ない
「お、落ち着いてお兄さん!!!インフォニアは?!インフォニアだったら転移できる?!」
ロキフェルに言われた通り、インフォニアのファーニャさんの私室に転移を開始させる
「行ける!!!」
転移できる事を確認すると直ぐに発動させる
「落ち着いてお兄さん!!!相手はまだ攻めて来て1に」
そこで転移は開始された
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