ロキフェルの抵抗と諦観
「ありゃりゃ、兄者に対して防戦一方じゃねぇか。ガキ、お前の主はじきに死ぬなぁ・・・」
対面で向かい合う因縁ともいえる相手、ソウキは僕から視線を切って眺めながら話しかける
「五月蠅い・・・お兄さんはスロースターターだからね、直ぐに追い抜かすさ。それよりも僕から視線を外して良いのか、な!!!」
言うが否や顕現した悪魔と共に魔法弾を一斉放火させる
「ホラホラホラホラ!!!!」
相手がどうなっているか視認もせずにひたすら魔法を放つ
そのまま数分間を放ち続け、一泡吹かせる事は出来ただろうと考え、相手の様子を確認する
「おいおいおい、もう終わりか?」
煙が晴れるとソウキは大斧を盾にして僕の攻撃を防いでいた
「ふん、僕の攻撃に対して防ぐの精一杯だった奴がよく大口叩けたね。」
「強がんなよ、今の攻防は俺の勝ちだ。お前は魔力を多く消耗した、俺は斧に多少の傷が入った程度だ。どう考えてもお前の方が不利だ。」
確かに悪魔族は魔力を多く保有しているとは言え、失った魔力と見合った効果を発揮したとは言えない
僕は無意識のうちに奥歯を噛みしめていた
「【魔王】がこれじゃあ、死んで逝った国民も可哀想になぁ。」
「・・・お前がそれを言うな。」
「いいや言うさ。あれは30年前か?俺が強さを求めてお前の国へ行ったのは?」
「・・・34年前だ。」
「そうそう、流石に良く覚えているじゃねえか。」
そう・・・僕はこいつに国も民も僕のプライドも粉々にされた
あれからあの時の屈辱を忘れた事は無い
「俺がお前の国に入った瞬間に兵士たちが攻撃してきたんだよ。だから片っ端から潰して壊してたんだよな。」
「・・・いきなり他種族が武器を持って入国してきたら攻撃するのは当然だ。その片っ端で僕が到着するまでに村2つと街1つを壊滅させ、国民1,056人の命を奪ってたな。」
「まあ、魔族なんざ多かれ少なかれそんなもんだろ?で、お前が俺に突っかかって来たんだよなぁ?」
「・・・あんな光景を見て怒り狂わない奴は【魔王】なんかじゃない。」
「まぁ、【魔王】だけあってお前の国の中ではお前が一番強かったがな。怒り狂っていたとは言え・・・まぁ雑魚だったな。」
「・・・・・・・」
「分かってるだろ?お前を追い詰めなかったのは俺の気まぐれだ。前より強くなって復讐しに来てくれたらラッキー位は思っていたがな。」
「・・・お前の望み通りになった訳だ。」
口元から血が一筋流れるのが分かる
そんな僕を見てソウキは首を横に振る
「いやそうは上手くいかねぇな。復讐には来てくれたが・・・お前強くなってねぇからな。」
ーープチンーー
頭の中で何かが切れる音がする
「お前ぇぇぇぇぇーーーー!!!」
顕現した悪魔と共に一斉にソウキに襲い掛かる
「・・・ほらな。直情的で闘争の駆け引きも出来ねぇガキのままだ。」
そう言って斧を振りかぶり・・・
「があああ!!!」
僕を含めた5体を力任せに横一文字で斬りつけてきた
受けた攻撃によって顕現した悪魔たちは消え、僕は右腹部に軽くないダメージを受ける
「ほら、な。多少実力は上がっているのかもしれねぇが、俺もその分強くなってる。煽り耐性にも低いままじゃあ差は開く一方だろ?俺も闘争を味わいたかったんだが・・・お前じゃ無理か。」
肩で息をして腹部を抑える僕を冷めた目で見て呟く
「はぁ・・・はぁ・・・」
「熟成させた酒は美味くなるのが相場だが・・・お前は失敗だな。もう良いわ、死ねよ!!!」
そう言って大斧を持っているとは思えないスピードで迫って来る
(?!!もう・・・無理か・・・)
ある意味諦観の念が湧き出てくる
僕は呆気ないながらも精一杯やった・・・
もうこれ以上は無理だ
そう思った瞬間に斧の斬撃が迫って来る
ドゴーーーンーーー!!
「ちっ・・・こんなんじゃ全然足らねぇ・・・」
前方からそんな声が聞こえた
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