クロノの軽快と警戒
「闘争・・・と?」
僕がそう尋ねるとダンキはニヤッと笑う
「そう、闘争だ。一方的な虐殺は闘争じゃねぇ。相手の実力を出させず行う奇襲も闘争じゃねぇ。互いが互いを視認し、互いが互いの命に届くギリギリのやり取り、それこそが闘争だ!!」
先程の気怠そうな表情はそこには無く、ギラギラとした目でこちらを見つめてくる
「だが・・・最悪な事に俺様は【魔王】だ。俺様と闘争をかませる奴なんざ、そうそうお目にかかれねぇ。なのに今回は俺様とそれが出来るお前がわざわざ遊びに来たんだ!!遊んでもねぇのに敗北宣言は出来ねぇわな。」
「其は、魔帝国と、事を構える、腹積もりと?」
「あぁ、更に最悪な事に俺様は【魔王】の中でも強い。妖精霊の様な軟弱魔王じゃ相手にならねぇし、そこのガキ魔王も弟に後れを取る様な雑魚だ。となりゃ禁忌扱いされてるあそこに行きゃあ楽しめるだろ?」
こいつの話で合点がいった
ダンキは魔族統一という様な野望を持っていない
【妖精霊国インフォニア】が隣接された国にも関わらず何故いつまでも攻め込まれなかったのか?
理由は単純で、弱いから・・・
それよりは直ぐ近くに禁忌とされる魔帝国がある
魔帝国の【魔王】、いや【魔神】というべきだろうか?
それと闘争を行い続ける事こそが彼の望みなのだ
(それより・・・)
チラッとロキフェルの方へ視線を投げると、今まで見た事も無い形相でダンキを睨む
「おいダンキ・・・僕に対して随分ないいようだね?弟の前に、お前を潰しても良いんだぞ?」
「ハッ!!一丁前に挑発するんじゃねぇ雑魚が。お前を狩るのは弟に任せてるんだ。万が一お前が弟に勝てたら遊んでやるよ。」
「じゃあ、僕はお前と遊べる事はなさそうだな・・・お前はお兄さんに狩られるだろうしな。」
ロキフェルがそう挑発を返すとダンキの視線が鋭くなる
「兄者、このガキは俺の獲物だ。手は出すなよ。」
そう言ってトウキがダンキを止める
「ああ・・・悪かった。さて、と・・・そろそろしゃべくるのも飽きた所だ。闘争は口では無く、戦いの中にあるべきだ。仮面、準備は良いか?」
そう言いながら脇に置いてあった大剣の柄を掴む
「是。其は、我の礎と、なり果てるが、良い・・・」
そう言って僕は剣を取りながら【暴喰ノ口】を発動させ両手にくっつける
「ガキ、お前は俺がまた遊んでやる。前みたいに呆気ない終わり方はするなよ?」
ソウキはそう言って大斧を無造作に持ち上げる
「いつまでも過去の栄光に縋りつく・・・弱者って嫌だねぇ~。」
そう言いながらロキフェルは翼を広げて悪魔4体を顕現させる
僕はダンキとロキフェルはソウキと互いに対峙する
ダンキは徐に構えを解きニイィと笑う
「この緊張感も悪かねぇが、互いに全力を出してこそだろ?勿体ぶらずに最初から全力でイかせて貰うわ。」
そう言った瞬間、ダンキの魔力の質が変わり、魔力の放出量が跳ね上がる
その瞬間、ダンキの背中の部分から4本の腕が飛び出してくる
「これが俺様の本気、【傲慢ナル腕】だ。こいつは中々対処しにくい・・・ぞ!!!」
そう言った瞬間、大剣を振りかぶりこちらに向かって来る
(速い?!!)
今までの鬼人たちとは比較にならない素早さだった
獣人よりも速く、初見の動揺もあり躱すので精一杯だった
「おいおいおい!!!遅いんじゃねぇか?!!!」
そう言いながら振り下ろした大剣の軌道を変え、こちらを再度追撃してくる
更に迫りくる攻撃を紙一重で再度躱しつつ、バックステップで距離を取る
「無難な対処だなぁ?!!!炎豪球!!!!」
新たに生えてきた腕に魔力が溜まり、僕の身体が収まるくらいの火の玉が迫って来る
「【暴喰ノ口】。」
左手を火の玉に向けて【暴喰ノ口】に喰わせる
「まぁ何かの対策はしてるだろうけど、な!!!」
後ろから声がして背筋がゾクリと震える
(ヤバい!!!!)
咄嗟に前方に身を翻し、ダンキの斬撃を間一髪避けた
「ほう・・・初見でここまで避けた奴は初めてかもな。・・・褒めてやるぜ。」
そう言いながら無造作に剣を構える
(こいつは・・・ヤバい・・・!!!!)
僕の頭の中で突如警戒を表わす音が大音量で鳴り響いた
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