クロノと鬼人の行進
「クロノ様・・・そろそろ参ります。」
横で緊張した表情でファーニャさんが告げてくる
「・・・是。其等は、遠距離にて、稚拙に、奮闘せよ。我が、有象無象を、塵芥とす。」
「はい。」
彼女がそう言うと同時に「おおおおおおおおおおおーーーーー!!!」と咆哮が響く
【妖精霊国インフォニア】がクロノスの属国となった日、彼女から説明を受けた隣国、【鬼人国ソウトウキ】の説明を受け、例によっていつも通り文を送る
すると3日後に返事が来た
内容は至ってシンプルに一文が記入されていた
『指定日にこちらから攻め込むから首を洗っとけ!!』そう記載されていた
彼女が言うにはソウトウキの【魔王】は良くも悪くも非常に好戦的で話し合いではまず納得しない
政治、貿易、生活の全てが実力の上で成り立ち相手を黙らせるにはまず実力を示さなければならない
そんな事もあり、【妖精霊国インフォニア】と【鬼人国ソウトウキ】は隣接しているにも関わらず互いに不干渉だったそうだ
そんな好戦的な国ならば侵略されてもおかしくなかったと思うが、それは彼らが魔帝国を潰す事を目的としており、インフォニアには目もくれなったからだそうだ。
実際、ソウトウキがインフォニアに攻め入れば瞬く間に制圧されていただろうと彼女は予想している
そんな鬼人たちが我先にとこちらへ向かって来る
僕は国境沿いに立ち、彼らを眺める
成程、誰も彼もが笑みを浮かべて目を血走らせて武器を持ちこちらへ突進してくる
数は・・・凡そ300というところか・・・
「【魔王】様、我らの準備も万全です。」
「お兄さん、今回は僕も参戦するからね!!期待してていいよ!!」
そう言って後方から声を掛けてくるのはバルデインとロキフェルだ
バルデイン含む混合小隊を20組とロキフェルの単体戦力となる
本当は混合小隊は様子を見極めて採用したかったが、ルーシャやバルデインに「少しでも戦力を!」という事で即時採用となった
ロキフェルは僕ばかりが戦っていて面白くないらしい・・・
今回は参戦すると言って聞かなかった
マリトナには事後報告すると笑って言っていたが大丈夫だろうか?
「我が、正面にて、先陣を切る・・・其等は、両翼から、奮闘せよ。」
「はっ!!」
「了~解~!!」
先ずはエルフの遠距離で相手を少しでも負傷させ、正面から僕が敵将を狙って突破する
両脇に流れた鬼人を混合小隊とロキフェルで叩くという寸法だ
バランスを重視して、小隊14、ロキフェルと小隊6で組み分けた
「エルフ隊!!!弓矢を射出せよ!!」
城門から掛け声と共に一斉に矢が射出される
「ギャ!!」
「グァ!!」
鬼人たちに命中し負傷させるものの、数はあまり減らせていない
(防御力が高いのか・・・)
遠距離攻撃では並みの威力では手傷は与えても致命傷になっている者は少ない
突撃してくる鬼人の武器を見ると大剣や斧等、大型の武器を扱う様だから力も強いんだろう・・・
「我が、羽虫を、払いのけよう・・・」
尚も怯む事無く突撃してくる鬼人たちの正面に立ち、バルデインとロキフェルにそう告げる
「は!!【魔王】様、ご健勝を!!!」
「お兄さん、僕の分も残しといてよ?」
そんなエールを背中で聞きながら【暴喰ノ口】を発動させ、ゆっくりと彼らに近づいて行く
「おい!!誰か単身でこちらに来るぞ!!!」
「構わねぇ!!やっちまえ!!!」
「おおおおおおおおおおおーーーーー!!!」
刹那、【暴喰ノ口】の触手が無数に相手に襲い掛かり鬼人たちを拘束する
「うぉ?!!」
「この黒いの拘束魔法か?!!!」
「おいおいおい!拘束されると引きずられるぞ?!!」
鬼人たちは拘束されても踏ん張りながら喰われまいと必死に抵抗する
「「ふん!!!」」
「?!」
鬼人の大多数は拘束を力づくで解いていった
(やれやれ・・・鬼人は中々厄介だな・・・)
その様子を見て思わず仮面の内側でぼやいてしまった
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