クロノの苦悩と苦労
「本日はこの様な国までご足労頂き、誠に有難う御座いました。」
ファーニャさんの私室に転移マーカーを付与させて貰い見送られる
形上、婚約者とはなるけれども突然私室に招かれ思う所がない訳じゃないけれど、それだけ信頼して貰えていると考える事にしよう・・・
「いえ、こちらこそ貴重なお話を有難う御座いました。それでは3日後にクロノスでお待ちしております。」
そう、【妖精霊国インフォニア】が【黒家クロノス】の属国になる宣言を行いに向かって来ることになった
こちらから出向こうか確認したが、上に立つ者が出向いていくのは体裁的に良くないらしい
人族でもそうだったけど、それが出来れば直ぐに次の国へ向かえたのになぁと思ってしまう
そんな事を考えているとファーニャさんはまた悪戯っぽく微笑む
「あら?3日後と言わず、転移で明日にこちらに向かって頂いても良いのですよ?それなりの準備をしてお待ちしておりますから。」
「・・・3日後にお待ちしております。」
「あらつれないですね。まぁ逢えない時間が愛を育むとも言いますし、3日間我慢いたしましょう。」
駄目だ・・・
彼女には今後一度たりとも勝てる気がしない
「では僕はこれで・・・本日は有難う御座いました。」
そう言って転移を開始した
◇
◇
「ふぅ・・・」
転移の自分の私室に到着した僕は疲労でベッドに仰向けになってしまう
ブーザルの時とは違い精神的な疲れと今後を想像してちょっとした気苦労を負ってしまう
「ただまぁ、悪い【魔王】じゃないんだよなぁ・・・」
そう、彼女は決して悪い人柄ではない
ルーシャが従順な娘である事を考えるとファーニャさんは振り回すタイプだろう
ルーシャが犬でファーニャさんは猫かな?・・・まぁルーシャは狐だけど
暫しボーっとした後に誰かに無事に帰還した事を報告しなければならないと思い仮面を被って私室を出る
(この城も少しだけ綺麗になったなぁ・・・誰かが補修してくれているんだなぁ・・・)
他国から進行されていた面影は徐々に薄れつつある城内を俯瞰的に見ながら歩いていく
歩いていく途中に犬?狼?のメイドと会ったので無事に戻った事を家臣たちに伝える様に言づけまた歩き出した
「【魔王】様お戻りになりましたか!!ご無事で何よりです!!」
後方から声が聞こえたので振り返るとグーガが駆けつけてきた
すると軽い口調だったにも関わらず僕の手前で臣下の礼を行って来る
「【魔王】様、ご無事にお戻り頂き安堵しております。」
「是、グーガよ。【妖精霊国インフォニア】は、我が属国と、相成った。」
そう告げると顔をバッと上げ敬意ある目を向けてくる
「【魔王】様であれば当然の事かと・・・ですがお慶び申し上げます。」
「是、3日の後、【魔王】がクロノスへ、赴いて、来る。其は、手配を回せ。」
「はっ!!」
そう言って直ぐに行こうとする彼を再度呼び止め、後ほど私室に来る様に伝えた
(城内の事もしっかり確認しないとな・・・)
それから僕は城内、庭、会議室、食堂等を眺めていった
まぁ、食堂で働いていた獣人には凄く驚かれたけど・・・
◇
◇
「ガハハハハハ!!!!」
僕の私室で馬鹿笑いをしているグーガを少し睨みつける
その視線を感じるも尚も彼は笑い続ける
「いやすいません!!でもクロノ様、それじゃあ属国の勧誘に行ったのか嫁を見つけに行ったのか分かりませんよ?!」
「・・・分かってるよ。」
そう言いながらため息をつく
「あちらの【魔王】からすれば属国になるのはオマケで、嫁に来るのが主な目的な気がしますね。」
「飽くまで婚約者だから・・・」
「いやいやいや!!このままだとなし崩し的に夫婦になるだろうって事くらいはクロノ様も薄々気付いていますよね?!」
「・・・気付いてるよ。はぁ・・・ルーシャになんて言えば良いんだか・・・」
僕がそう呟くとグーガはキョトンとした顔をした後、ニヤニヤした表情に変わる
「クロノ様そんなの簡単ですよ。どちらも嫁にしたら良いんです。」
・・・そう言い放った時の彼の顔は悪い意味で生涯忘れる気がしなかった
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