クロノの紹介と招待
会議が終わった次の日、僕は早速【死国ブーザル】、いや元【死国ブーザル】へと赴いた
ルーシャとマリトナには数500の兵士を率いらせる事にして、僕だけは転移でブーザルに赴く事にした
元々ブーザルが居た部屋に転移されると、数人のレイスが待機している
「「【魔王】様、お帰りなさいませ。」」
そう恭しく礼をして敬意を示してくる
正直、あからさまな敵対をされる事は無いと考えていたが、ここまで恭しくされるのは誤算だった
「戻った。其等は、此処に?」
そう尋ねると1人の女性が前に一歩出てくる
「はい。【魔王】様がこちらに転移マーカーを施されたのが分かりましたので、いつ戻られても良い様に交代制で複数人待機しておりました。」
その女性は赤い髪を生やし、緑の目をこちらに向けて静かに話しかけてくる
(赤い髪・・・グッ!!)
頭の中であの人族の女性を思い出し、頭痛が僕を襲う
「ま、【魔王】様?!」
「どうされました?!」
「サラエラ?!何かしたのか?!」
おろおろするレイス達を手で制する
「無用、疲労故に気を病むな。」
そういうと全員が安堵の表情を浮かべて礼をしてくる
頭の痛みはまだ良くはなっていないがこれ以上心配をかけるのもどうかと思い隠す事にする
しかし・・・仮にも前【魔王】を殺した僕に対して、この気遣いはどうなんだろう?
やはり、ブーザルの政策は良くなかったのだろうか?
「其等は、ブーザルを殺めた我に、憎しみは無いのか?」
そう尋ねると赤い髪のサラエラと呼ばれたレイスが答えてくれる
「御座いません。私どもは強い【魔王】様に従う事を使命としております。前【魔王】に勝利した貴方様こそが我らの主に相応しいかと。それに・・・」
「告げよ。」
「はい。それに前【魔王】は【魔王】であること以外尊敬できる点が御座いませんでした。重税だけではなく、前【魔王】の気持ち次第でいつ殺されてもおかしくなく、又、近隣諸国の【魔王】に対しても人望が無く舐められる始末でした。それに比べて【魔王】様は侵攻の時も必要以上に私たちを殺すことなく、こうして対話して頂けます。正直、今この国で【魔王】様を憎む同胞はいないでしょう・・・」
・・・如何にブーザルに人望が無いかが分かる回答だった
僕はその様にならない様、自分を律しようと改めて身を引き締めた
「2日のち、我が軍500がこの国へ入る。其等は、代表を決め、我が軍の者と、合議するが、良い。」
「「ハッ!!」」
「其等は、【黒家クロノス】の同胞と、なり得る。異存はあるまいか?」
「御座いません。我らレイス種族は【黒家クロノス】の民となれる事を誇りに思っております。」
その言葉を聞いて、少し考えてから仮面を外す
すると眼前のレイス達は目に見えて驚いた表情を浮かべる
「僕は人族の様な姿をしているけれど、れっきとした魔族だ。どの国の中心人物にも姿を見せている様にしているから深い意味はない。」
「ま、【魔王】様は新参者の私たちにもご尊顔を許して頂けるのですか?」
「まぁ顔が売れるのは喜ばしいことじゃないけど。片方が何かを隠していては信頼関係は構築されないと思っているからね。さっきの続きだけどクロノスからはルーシャ、トリクトリロからはマリトナという代表者が来るから彼女たちと今後の政策を話し合ってくれ。彼女たちも分かっているけれど、君たちレイスを奴隷にする気は全くないからそのつもりで。じゃあ後は頼んだよ。」
そう言って転移を開始しようとする僕にサラエラが慌てた様子で声を掛ける
「お、お待ちください!我らは奴隷にはならないのですか?!」
「うん、そこら辺はルーシャに聞いてね。」
「さ、最後に不敬ながら【魔王】様の御名をお聞きしても宜しいでしょうか?」
「あ、言ってないよね?僕はクロノ、クロノ=エンドロールだよ。」
そう言った瞬間に転移が開始され、クロノスの私室に到着した。
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