アカノの真祖と親交
視界がボンヤリと霞んで見える
意識は朦朧としているが見慣れない豪華絢爛な天井と照明が目に映った
「・・・ハッ!!グッ!!」
意識がハッキリし身体を飛び起きらせるも身体の節々が鈍痛が走る
その痛みにより徐々に思考が現実に戻り始めた
「私は【真祖】と・・・そうだクロノ!!クロノは?!!」
身体が痛みで悲鳴を上げるがそれすらも無視して寝かされていたベッドを出て部屋を出る
「ここは・・・あの屋敷なのか・・・?」
扉を出るとこれでもかという高級な装飾品や上質な絨毯が見える
だがそれよりも・・・
「【真祖】は何処・・・」
辺りを見渡すも気配が一切しない
右前方に玄関の扉らしきものが見える
身体に鞭を打って玄関へ近づき扉を開けると・・・
「やぁ、目が覚めたかい?」
そこには初めて会った時と同じ様にテーブルセットで飲み物を飲んでいる【真祖】がいた
「・・・・・・」
先程まで殺し合いをした相手にも関わらず、気安い感じで声を掛けてくる彼に戸惑いをうけるが、彼は殺し合いをしたつもりは無いのだろうと考えて軽く会釈した
「その身体で立っているのも辛いだろう、此処に座りなさい。」
そう言って先程と同じ様に向かいの椅子に誘導された
私がまだ死んでいないという事は彼は私を殺す気が今の所は無いと判断し素直に腰かける
「先程に君が見せた戦いは見事だったよ。」
私に飲み物を煎れながらそう呟く
これは皮肉なのだろうか?
「傷1つ付ける事が出来ませんでしたが・・・」
「まさか!君は私を買い被り過ぎだよ。ほらここを見てごらん?」
そう言いながら両手をこちらに見せてくる
掌を見ると幾つかの小さい切傷に血が滲んでいるのが見える
「君に見せたくてまだ回復していなかったからね。君の攻撃はちゃんと私に届いていたよ。」
その言葉を聞いてハハッと乾いた笑い声が漏れる
「意識を失う程に全てを込めた攻撃が掌の切傷ですか・・・」
「まぁ今の君だとそうなんだろうね。けれど【剣聖】とはいえ【真祖】に傷を負わせたんだから大したものだと私は思うよ。それより君はクロノ君の事を聞きに来たんだろう?」
「そ、そうです!!!クロノは今どこに?!!」
その言葉に身体が痛むのも一瞬忘れて身を乗り出す
「先程は私の回答が悪かったみたいで君を怒らせたからね・・・今からちゃんと話すけれども聞き終わるまでは剣を振り上げないでくれると助かるよ。」
「・・・すいませんでした。」
そう言われて自分の顔が赤面するのが分かる
そんな私の表情を見てフッと笑いながら言葉を続ける
「じゃあ順を追って話すけれど、クロノ君は男1人と女2人の人族と一緒に私の屋敷へやって来たんだ。」
それから【真祖】はゆっくりと事のあらましを教えてくれた・・・
クロノが唯一【真祖】に立ち向かった事
クロノがローエル達に暴行を受け死んでしまった事
【真祖】が偶然それを見つけて変生させた事
変性した後遺症で私を・・・忘れた事・・・
それらをゆっくりと噛みしめる様に説明してくれた
「という訳で、彼は今魔族領にいると思う。」
「・・・良く分かりました。早合点してしまい申し訳御座いませんでした。」
仮にも弟の命の恩人に対して敵わなかったとは言え斬りかかったのだ
話を聞き終えた私は恥ずかしさで一杯だった
「いやいや、畏まらなくても良いよ。そこでで確認なのだけど・・・君は魔族領に赴くのかな?」
「えぇ、弟がそこにいる可能性がある以上、私が行かないという選択肢は有りません。」
そういうと彼は腕を組んで暫し思案すしてから口を開く
「君は魔族たちが人族よりも遥かに強いという事は知っているね?」
「えぇ、勿論です。」
「だったら少しの間、ここで鍛えていくと良い。君の力は人族からすれば間違いなく化物の類だが・・・魔族で言うと、強いけれども強すぎないという程度のレベルでしかない・・・そんな状態で魔族領でクロノ君と逢えるとは思えないんだ。」
その申出に躊躇する
確かに力は付けるべきなのだろうが、一刻も早く逢いたいという気持ちも強い
そんな私の心情を察したのか、【真祖】は微笑みながら
「大丈夫、現実の時間は殆ど取らずに強くなる秘策があるんだ!」
そう告げてきた。
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