アカノの脅威と驚異
「アカノ=エンドロール・・・クロノ君の姉君か?!!」
カッと目を見開きそう叫ぶ
クロノ君・・・その言葉で弟の生存率はぐんと高まる
死んでいる、若しくは血袋にされているのであれば名前を憶えられている事は無いだろう
それだけで私の心は歓喜で満たされていった
「ご、ご存知なのですか?!!」
「あぁ勿論。少しばかり威圧してしまい済まないね、ここに座り給え。」
そう言いながら向かいの椅子に誘導されと同時に彼から発せられる威圧感も消え、息苦しさも無くなった
私は促された通り向かいの椅子に腰を掛けると飲み物を注がれる
「この飲み物は彼の1番お気に入りだったものでね。これも虫の知らせというヤツかもしれないね。」
注がれた飲み物に口を付けると一瞬苦みが出るがその直後に芳醇な味が口に広がる
「美味しい、です。」
そう言うと【真祖】は微笑む
「そうかい、それは良かったよ。あぁ、名乗ってなかったね私の名は【ブロウド=グランニュー】、ヴァンパイアだけでなく人族と大体の魔族の【真祖】だよ。」
「・・・・・・え?」
ヴァンパイアの【真祖】だと思っている私に唐突な自己紹介が入る
「まぁ人族と似た様な容姿をしている魔族は私が【真祖】だと思えば良いさ。」
「では貴方が・・・我々の神と?」
「まぁ厳密に言うならば【真祖】と神は異なる存在なのだけど・・・そこら辺は良いかな?」
「はぁ・・・」
思考が定まらずに飲み物に口を付ける
苦みが幾分か思考を戻してくれる事を願った無意識な動作かもしれないが・・・
「さて、自己紹介は済んだ所で本題に入ろうか?アカノ?アカノ君?アカノさん?何でも良いか・・・君はこの場所までクロノ君を探しに来たのかな?」
そう言われてハッとする
内容が衝撃過ぎて現実逃避を行っていたがそれ以上に大切な事を問い質さなければならない
「そうです!!私の弟、クロノ=エンドロールをご存知の様子ですが彼は今どこに?!!」
私がそう告げると彼は手で私の言葉を制する
そして身体を椅子に預けて目を閉じ、何かを思考している様だった
「・・・まずは単刀直入に結論を告げようか。彼はここにはいない。そしてクロノ=エンドロールという君の知る人族は死んだ。」
死んだ
その言葉を聞くと同時に【赤炎】を抜き【真祖】に斬りつける
「おいおいおい・・・せっかちだなぁ。まぁ此処まで探しに来たんだから切羽詰まっているのかね。」
彼は座っていた体勢から斬りつけたにも拘らず私の後方に立っている
「クロノを・・・クロノを殺したのか?!!」
涙が頬に伝うがその涙すらエンチャントされた炎により蒸発された
「ほう・・・その剣中々面白いね。称号は【剣王】、いや【剣聖】までいってるのかな?」
私はその言葉を聞き入れず、最大限の攻撃態勢を整える
「攻撃力付与『アタックアップ』、素早さ付与『スピードアップ』、【赤炎】エンチャント・・・」
剣を介して行う攻撃力、スピードの上昇は以前とは比べるまもなく増加している
控えめにいって【剣神】を超えているのではないかと思う力が備わっている
にも拘わらず、前方の【真祖】はただ感心している様子なだけだった
「ほう・・・人族がここまで研鑽するとはね。面白い!少し聞く耳を持たせようかな。」
彼がそう言った瞬間、あの威圧感が私に襲い掛かるが、エンチャントしているからか先程よりは威圧感も薄く感じられる
「あああああああああああーーーー!!!!」
私は突進しながら無数の刃を降りかからせる
だが、それをエンチャントし炎を纏った部分も加味して避けてくる
「・・・っつ!!『ダブルファング』!!!!」
スキルを発動させ、下から炎を纏った剣でかちあげると同時に頭上から炎を纏った剣戟を振り下ろす
「上下からの攻撃であれば横に避ければ問題無いよ。」
そう言いながら事もなげに横へ避ける
「ならばっ!!『ソニックファング』!!」
今度は横へ両端に剣戟を繰り広げる
「であれば後ろに避ければ態勢も崩れないよねぇ・・・」
そう言いながら後方へ移動されてしまう
(・・・強い。)
分かってはいたが異常に強い・・・
私は疲労とは違う戦慄の汗が背中を流れた
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