アカノと性能の成功
「剣聖様この5日間大変お待たせしました。この国での商談は何とか纏まりました。」
「いえいえ、私としては非常に実入りのある街でしたのでお気になさらず。」
商人がそう私に謝罪してくるが、私としては新たな自分の剣を手に入れる機会が出来、逆に感謝したいくらいだった
ゴーガンさんに剣作製の依頼をしてからの私と言えば、より強くなる為にギルドの依頼を意欲的に受けていた
成果は余り無かったが、ほんの僅かでも以前に戻れるならと実践のカンを取り戻すためにスキルを使用せずに依頼をこなし、ギランさんにギルドの鍛錬室を借りスキルの研鑽の方も行った
そんな事をしていると3日もあっという間に過ぎ去った気がする
「さて、準備が出来次第にこの街を出ようと思いますが剣聖様はご準備宜しいでしょうか?」
「すいません、1件鍛冶屋に寄りたいのですが可能でしょうか?」
「えぇ結構ですよ。準備には約1時間程時間を要しますのでそれ位にお戻り頂ければ。」
「畏まりました。それでは鍛冶屋での要件が終わり次第直ぐに戻る様に致します。」
商人にそう断りを入れて私は『ゴーガン鍛冶屋』へ赴いていった
◇
◇
「・・・来たか。」
相変わらず第一声は無愛想だなと思いながら苦笑してしまう
「はい、予定通り本日にこの街を出る事になりましたのでご挨拶と「分かってる。」」
私の言葉を遮り、ゴーガンさんは布にくるまれた武器を無造作にカウンターの上へ置く
「嬢ちゃんのお陰で俺ぁ今から爆睡だ・・・この3日間店を閉めて籠ってたからな。代金にはその分も乗せさせてもらうぜ。」
そう言いながら大げさに欠伸を嚙み殺す
だが・・・肌のツヤや髪や衣服の具合を見ると本当に不眠不休で取り組んでくれた事が分かった
「えぇ勿論です。・・・武器を見ても?」
私がそう告げると手で開けてみろとジェスチャーを出してくる
カウンターに向かい、ジェスチャーの指示に従って布を剥いでいく
「・・・・・・」
そこには芸術品の様な剣が置かれていた
剣身は眩い銀の色をしており、剣の中心部には金色の装飾と赤い色の小さい宝珠が組み込まれている
鍔の部分は艶やかな金の色をしておりこちらも赤い石で装飾されている
「今の俺が出来る全てを込めたつもりだ・・・嬢ちゃんの要望のサイズと重さに炎のエンチャントを施した。だが俺の持つ技術の全てを付与しといたぞ。」
「付与、ですか?」
そう尋ねると腕を組んで得意げに語りだす
「あぁ、まずは剣身には超銀、いやオリハルコンを混ぜてある。それにより剣が受けた衝撃を散らしながらも耐久性が上がる。これで単属性エンチャントの耐久力の減少分を超え大幅に丈夫になっているぞ。オリハルコンと一緒に混ぜているのは黒鉄、純度の高い鉄だ。オリハルコンの伸縮性と黒鉄の重厚感が上手く合わさった逸品だ。」
そう言われて剣身を見つめると確かに眩い銀の剣身に加えて幾層にも重なった厚みが分かる
「更にエンチャントだが・・・この剣には魔力消費を軽減させてねぇ。」
「え?!」
それは希望と違うと言いかけた私にゴーガンさんは手で言葉を制する
「言わんとせん事は分かる。が、嬢ちゃんは通常の人族よりも魔力量が少ないな?他の人族が10の魔力量なら嬢ちゃんは精々5から6いかねぇ位だ。」
確かに私の魔力量が少ない事は自覚しているがだからと言って納得は出来ない
そんな私の表情を読んだのかゴーガンさんは言葉を続ける
「となると通常よりも削減出来る数値が低い。だからよ・・・魔力量が削減出来ない代わりに放出量を底上げさせて貰った。」
そう言いながらニヤリと笑う
「放出量、ですか?」
「おう、嬢ちゃんはこれから魔族とやりあうんだから中途半端な威力じゃ意味がねぇ。だからよ、嬢ちゃんが今までに使う魔力量が5の内1を使用するとするならば・・・放出威力は10だ!!」
その言葉に私は目を見開く
私が今までに使用していた炎系の全てが大々的に底上げされたのだから・・・
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