アカノの強制と要請
あの大きな商店で説明を受けた後、私はその店を後にした
彼女に悪意は無いかもしれないが所々説明されながら心にダメージを受け続ける・・・
商品も見せて貰ったが今の時流は複合エンチャントが主流のようで炎系統にしか適正がない私には余りそぐわなかった
◇
◇
「はーーー・・・なかなか無いものだな・・・」
私はあれから様々な店舗を巡っては見たもののこれと言った武具い出逢う事が出来なかった
炎系統のみをエンチャントされた剣も有るには有るが、どうしても剣そのものの質で言うならば今持っている剣の方が明らかに優れている
魔力量の消耗を抑えられるのは魅力的だがそれで剣そのものが劣ってしまえば意味がない
気付けば私は商店街の端から端まで歩き終えてしまったみたいだ
「ん・・・?」
ふと商店街を外れた先に看板の掛かった石造りの小屋を見つけた
商店街から外れているが何かの店だろうか?と思い訝しみながら建物に近づくと看板には『ゴーガン鍛冶屋』と書かれていた
「鍛冶屋か・・・これだ!!」
看板を見てハッとする
希望の商品が売られていないのなら作って貰えば良い
幸い予算はある程度潤沢にある
オーダーメイドでエンチャント武具でも良いかもしれない
私はそう考え鍛冶屋に足を踏み入れた
「らっしゃい。」
中に入ると直ぐにカウンターに年配の男性が待機している
50代と言ったところだろうか?気難しそうな表情をしていた
「エンチャントされた武具を考えているのだが品物を見ても良いだろうか?」
「そこらに飾ってるのが俺が打ったもんだ。お眼鏡に適ったら声掛けてくれや。」
そう一言だけ言って、こちらには興味がないのか入口の方へ視線を向ける
とは言うものの私としてはゆっくり見る事が出来るのでそちらの方が有難い
折角なのだからじっくり品物を見せて貰おうと思い店内の剣を物色し始めた
「・・・・・・」
飾ってあった剣は正直、どれも素晴らしかった
一目見ただけで名剣と言っても差し支えないレベルである事が分かる
「手に取ってみても良いだろうか?」
私がそう尋ねると視線をこちらに向ける事なく手をヒラヒラさせてくる
数ある剣の内、1つを手に取って確認してみると、重すぎず軽すぎず手に馴染む様な吸い付きがある
私の使っていた剣もかなり良い物の筈だが、それよりも格段に馴染む
「主人、この剣は何かエンチャントされているのだろうか?」
私がそう尋ねると初めて視線をこちらへ向ける
「あぁ?うちは今エンチャントした武器なんざ1つも扱っていねぇよ・・・」
「1つも?この国では魔道国なのに珍しいな。」
「今はつったろ?前はエンチャントした武器も扱ってはいたさ。けど今は扱ってねぇ。」
そう言いながら苦々しい表情を浮かべている
「主人、オーダーメイドで頼んだ場合にエンチャントは可能だろうか?正直、武器としての質はこの鍛冶屋の剣が他の店と比べても圧倒的に良い。できれば主人の剣にエンチャントを組み込んで欲しいのだが・・・」
そう言うと主人はガンとテーブルを拳で打ち付けながらこちらを睨みつけてくる
「嬢ちゃん・・・3度目だ。この鍛冶屋は今はエンチャントした武器は扱ってねぇ。分かったらさっさと出ていけ。」
怒気を孕んだ声をこちらに投げかけてくる
けれど・・・
「私にも譲れない事がある。その目的の為には主人の剣にエンチャントした物を手に入れるのが近道だと判断した。」
そう答えて真っ直ぐに視線を返す主人は苦虫を潰した様な表情で視線を逸らした
「・・・どちらにせよ今はエンチャントは扱ってねぇ。この話は御終いだ、悪いが帰ってくれ。」
そう言って店の奥にこもり、半場強制で出て行かされた形となった
「何か事情でもあるのか・・・?」
暫し思案してみたが当然答えは出る筈も無く、私はギルドの方へ向かっていった
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