クロノはまごう事なき魔皇帝
「まぁでも、選ばない選択肢が有るとも思ってないんだけどね。」
思わずそう独り言を呟いてしまう
そうなのだ、力の比重が強い魔族領では力はかなり大きなウェイトを占めている
強くならなければクロノスの国民もトリクトリロの国民も不幸にしてしまう可能性がある
「でもまたあの痛みを味わうのかなぁ・・・。」
あの痛烈な痛みを乗り越えるのも億劫だったりする
脳を細分化された様な痛み、肉や骨を無理やり千切られる様な痛み、呼吸もしにくく意識も何度も飛びかけた
「はぁ・・・」
深い溜息をついた後に意を決して点滅している部分を押す
「・・・・・・・!!!!!」
その瞬間、体中がビリっとしたかと思うと強烈な痛みが襲い掛かってくる
「・・・があぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
いたいいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい
脳細胞の細胞1つ1つに強烈な痛みが襲い掛かる
身体の中で内包されている無防備な部分を止めどなく鋭利な刃物で切り付けてくる
ミリ単位で肉と骨が圧迫される
足や手の爪先を針で刺し続けれられている
僕は意識を失わず、けれども痛みに耐えられず叫ぶ続ける術しかなかった・・・
◇
◇
◇
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
どれ位あの拷問を受け続けたか分からない
体感では何年も続いていた感覚すらある
精神的な損耗は計り知れないけれども、頭がグラっときた感覚や疲労はなかった
どちらかと言えば身体的には調子が良い位だな
(魔力が身体に馴染まなくなっていたのかな・・・)
そんな事があるかは分からないが現状はそう判断するしかないか
先ずはステータスボードを確認しようと顔を上げると
「クロノ様・・・ご、ご無事ですか?」
目の前にルーシャとバルデイン、グーガが立っていた
「あぁ・・・みんな来てたんだ。気付かなくてごめんね。」
「いやぁ、あの状態でしたら気付かなくて当然ですよ。」
「クロノ様、先程は一体・・・」
一瞬誤魔化そうか等と考えてしまったが彼らに知られる事は不利益にならない
それどころか単身で動く事に納得してもらい易いな
「うん、まだ確認は出来ていないけど、多分称号はランクアップしたと思うんだ。」
「「「ランクアップ?!!!」」」
「そう、因みに皆はどうして此処に?」
「私がお部屋の前を通ると凄い叫び声が聞こえたのです。お部屋を開くとクロノ様が大変な状態となっておりましたのでバルデインとグーガを呼んだのですが・・・」
ルーシャがそう答えるとバルデインが続きを語ってくれる
「我らは【死国ブーザル】の【魔王】に何かされたのかと感じ必死にお呼びしたのですが何の術も無く・・・」
「まぁでもクロノ様に何もなかったみたいで安心しましたよ。でクロノ様、称号がランクアップしたのですか?」
「グーガ・・・主に対してその敬意が足りない話し方はよせ。」
「団長、俺は今までクロノ様にもこの様に話してましたんでね。コロッと話し方を変えると以前は不敬だったと思われたくないのでこのままでいきますよ。」
そう言いながら笑うもグーガは憎めない奴だ
「話を戻しますが・・・クロノ様、称号は如何ですか?寿命の長い魔族でも数十年の上で成り立つ者が通常です。クロノ様の様に【魔王】様になられて1ヶ月も経過せずにランクアップされるのは聞いた事が御座いません。」
ルーシャにそう促されてステータスボードを確認してみると・・・
見事に称号:魔皇帝
と表示されていたのだった・・・
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