2,案内中!!!!!!
古びた廊下を歩き正面の扉を通る。そこには階段とエレベーターとトイレがある。どうやら肉じゃがはまだらしい。エレベーターにのり2階に上がるとそこには食堂らしい広場に卓球台、コインゲーム、UFOゲームなどがあった。
「ちょっと取ってくるから待ってね。」
そう言って爺さんはカウンターのキッチンへと入っていった。
3階建てにはやけに広いスペースで、外からは見えなかったが奥行きが案外深いらしい。しかも木造の建物なのにエレベーターやキッチン、ゲームコーナーもあり、案外管理が行き届いている。この宿主が副業なだけの金持ちパパさんなのか、謙遜してるだけで、家族連れが多く来てるのかも知れない。メニュー表を見てみると、カレー、ステーキ、ハンバーグと、これぞ老舗の料理のような、昔ながらの美味しい料理が出て来るに違いない。
「熱いうちに食べてね。」
と、キッチンから出て来た爺さんがカウンター近くのテーブルに小さな小鉢とお箸を並べた。椅子に座り食べてみる。じゃがいもとお肉のとろけ具合でどのくらいの手間をかけたのかが分かる。人参やゴボウの旨みを春雨が絡めとり、肉でもう駄目だこれ美味しい。料理に詳しくないが、今まで食べたことの無いようなスーパーに売ってない肉だ。食べたことないから高いぞきっと御代わりしてやろガハハハハ!
「あれね?実はここ元々は旅館じゃなかったんだよね、地形も駄目だし、改装工事もしずらいし、そもそもお金もあまりないんだけどね、旅館の主ってお金も地位もありそうで憧れたんだよね。あの着物着た女の帯を引っ張ってあ~れ~するやつ。男のさ、野望だよね。」
すみません、よくワカリマセン。と自分の中のsiriが反応した。
「あの…すみません。ここにUFOキャッチャーとかの設備がかなり多いのは何でなんですか?」
「それはね、ここだけの話この建物私のじゃなくてゲームセンター関係の人の建物でね、ちょくちょく運んで置いていくんだよね。そうだ。実は最近その人が凄いのを置いていってね、泊まりに来た人に遊んで行って欲しいんだって。僕、3e知ってるかい?」
「あ..知ってます。ゲームセンターの3Dゲームのロゴのヤツですよね?」
「そうなのかい?まぁ知ってるならこれ遊んでみてよ。」
そう言って爺さんは長方形の黒い箱のように見えるマシンを指差した。このマシンは3D体験型ゲーム機で結構前から存在していて、ゲームセンターにしか無いのではなく普通に通販で購入可能だ。最近では死ぬ度に強くなるゲームで、擬似的に即死レベルの痛みを受けて瀕死になるyoutuberの動画が話題。
「それじゃあちょっとだけ。」
そう言って拓也は3eマシンのなかへと入っていった。