表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/32

14.


閲覧、評価、ブックマークなどしてくださった方々。ありがとうございます!!






「はー……」


 レティシアは今、馬車に乗っていた。ステラの家へお見舞いに行く為だ。レティシアは馬車の中で、思わずため息を吐いてしまった。


「どうしたんだ、レティシア?そんなに大きなため息を吐いて。ステラ嬢の事がそんなに心配なのか?」


 レティシアがため息を吐いた理由は、それもある。ステラの事が心配という気持ちで思わず吐いてしまったという理由もある。

だがそんな事よりも――


「……いいえ、大丈夫ですわ。ご心配かけて、申し訳ございません。()()()()()()


そう。フィリップが同じ馬車に乗っている事こそが、レティシアがため息を吐いた、最大の理由である。

 

 レティシアは考える。この人(フィリップ)は馬鹿なんじゃないか、と。

 王族の者は自分の影響力を考えて行動しなくてはならない。フィリップは王族であるのに、そんな事も教わらなかったのか、と。


 ステラの家に第一王子が向かう。これが、周りの者にどう取られるか。ただでさえ最近、ステラはレティシアと仲良くしていて『シュトラール家に媚びを売っている』と噂されているのだ。これについてレティシアは、なるべくステラを守る為にそばにいるようにしている。レティシアがステラの近くにいると、皆噂話を止めるからだ。

 だが、フィリップが来るとなると、レティシアの時とは話が変わる。レティシアは公爵家だし、レティシアとステラは女性同士である。フィリップは、王族でありまだ婚約者が決まっていない状態。噂を変に解釈し『ステラ・アーノルドは、第一王子の婚約者候補かもしれない』と思う人達が現れる可能性がある。

 ステラの家は、海外との取引が主な商売となっている。そのお陰で、かなりのお金持ちだ。下手したら、そこら辺の伯爵家や子爵家よりも財産を持っている。

 だが、いくらお金があっても、身分は男爵家なのだ。レティシアの家のような国で一番の公爵家、せめて侯爵家までだったら、周りの者は何も文句は言わない。では男爵家だったら……


『私達の身分の方が殿下の婚約者候補に相応しいのに』


 そう考えるご令嬢達が出てくるだろう。そんなご令嬢達に、ステラは危害を加えられてしまうかもしれない。

 そんな可能性を危惧して、レティシアはフィリップに言ったのだ。『一人で行きますので結構です』と。アルフォンスも一緒になって、止めてくれた。だが、フィリップは聞く耳を持たなかった。どうしても行くと言って聞かなかった。だから、レティシアとアルフォンスは諦めたのだ。


 そして、今である。馬車には御者の他に、レティシア、フィリップ、アルフォンスが乗っている。それから、護衛も待機している。フィリップもいる為、厳重な警護となっている。

 馬車の中でレティシアは、ステラに危害が加えられない為に、明日からの事を考えて過ごしていた。


 ステラの家に着くと、アーノルド家当主――つまりステラの父である――が出迎える為、玄関で待機していた。フィリップが来ると聞いて、仕事を放り出して来たのだろう、とレティシアは考えて申し訳ない気持ちになった。レティシアが、ステラの家にお見舞いに行く事を、フィリップの前で話さなければこんな事にならなかったのだ。

 ステラの父は、酷く緊張した様子で、レティシア達の事をステラの部屋に案内した。

 レティシア達が部屋に入ると、ステラはベッドで寝ていた。ステラの父は起こそうとしたが、レティシアはそれを止めた。体調が悪いのだ、寝ていた方が良い。そう思ったからだ。

 レティシア達はお土産を置いて、帰る事にした。持って来たのは、果物だったのでステラも目が覚めたら食べられるだろう。


  帰ろうとしたら、ステラの父に引き止められた。少しお茶でもしていかないか、と。レティシア達はこの後予定が無かったので、承諾した。

 ステラの父は、話し上手だった。貿易の為に色んな国に行くので、沢山の国について話をしてくれた。


 スウェッタンという国は、一年中暖かく南国とも呼ばれている国で、ルミナーレにはない果物――例えば『マンゴー』や『バナナ』と呼ばれる物――などが豊富に取れる。


 ノーウェルトという国は、一年中寒く雪国とも呼ばれている国。その国独自の文化が発展していて、雪で住居を作って暮らしている。


 レティシアは、目を輝かせて話を聞いていた。ルミナーレとは全然違う国や似ている国の話を聞くのが、楽しかったからだ。特に、興味を持ったのが『ティートルン』という国だった。


「その国では‘‘魔法’’という文化が発展しているんだ。指に火を灯したり、水を出したり、もっとすごいのだと怪我を治す事が出来るそうだよ。私も何度かその国に行った事があるが、初めて見た時は思わず感動してしまったよ」


 ステラの父は、レティシアにそう説明してくれた。魔法。それはどんなものなのか。この目で見てみたい。レティシアは、家や学園の図書室でティートルンという国や魔法について、調べる事にした。


 それからも、レティシア達はステラの父から色々な国の話を聞いて、楽しいお茶の時間は終わった。

 帰りもステラの父は玄関まで見送ってくれた。


 レティシアは馬車の中でも、魔法について考えていた。アルフォンスは色々な事を知っているので魔法について聞いてみようとしたが、何やら考え事をしているようだったので、レティシアは聞くのをやめた。


 早く家に帰りたい。家に帰って調べたい。


 レティシアは、そんな事を考えながら馬車の中で過ごした。







 



 






キーワードの‘‘魔法’’がやっと出せました!


もしよろしければ、ブックマーク、感想、評価等お願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ