マナビックバーン6
マナビックバーンってタイトルも、今回で終わりです。
あのあと、泣きながらも、自分の身に起きた経緯を説明してくれた。
どうやら、彼女の父親は、母親の稼いだお金を遊びに使い、一切働かなかったらしい。そのうえ、母もおかしくなり、父親の言ったアスラを奴隷商に売れば、かかる金も少なくなり、売って入る金でしばらくは楽できる。という、外道以外に言いようのない話に賛成してしまい、アスラは一度は売られたらしい。
しかし、運ばれていた馬車が魔物に襲われたので、そこを見計らってなんとか逃げ出したらしい。しかし、そのままだと生計が立てられないから、身分が低くても問題がない冒険者になることにしたそうだ。それが説明し終わるときには、凄い泣いてた。もう、どうやって慰めればいいかさっぱりわからなかった。
そうして、泣き終わる頃には、日が昇っていた。
「あ〜てことは帰る場所はないんだな?」
「冒険者に戻れば、やっていけないことはないですが、さっきのオークが、ギルドカードを潰してしまったので、再登録する必要があるんですが、再登録は登録する時より時間がかかってしまうので...」
冒険者には、1回目はすぐになれるが、2回目以降は、ギルドカードを売ったり、溶かすなりなんなりして、素材にしてる可能性があるので、特殊な魔導具など(機密情報らしく、詳しくを知らないらしい)を使い、本当に壊れたか、なくしたのかを調べる必要があるから、一ヶ月くらいかかるらしい。
その期間、暮らすお金を持ってないので、生活できないのと、大差はないっぽい。
「じゃあ、俺の家に来るか?」
「い、いいんですか...?」
「ま、家って言っても、ダンジョンだけど。」
「え?ダンジョン?」
まぁ、そりゃ驚くよね。助けてもらった人が、実はモンスターみたいなものなんだもん。単純に怖い。うん怖い。ていうか、多分状況を飲みきれきれてないんだと思う。
「あの... もしかして、ダンジョンマスターですか?」
「うん、そうだけど?」
と言っても、これ以外に返答の方法がないから、結局混乱を招くような言い方しかできないんだけどね。
「や、やっぱり...」
予想どうり、唖然とした表情をしてる。逆に、何も驚かなかったらそれはそれで怖い。ちなみにそのあとアスラは
「やっぱりダンジョンマスター?でも、理性がしっかりしてる...」
とかブツブツ言ってる。ていうか何?ダンジョンマスターって理性がないの?俺しっかりとしたりせいがあるんですけど?ちょっとそこは聞こう。
「ダンジョンマスターって理性がないの?」
「え?聞こえてました?」
「ほとんど聞こえてたけど?」
「...」
なんか、会話に沈黙が増えてる気がする。
き、気のせいだよな?そう信じたい。
「ダンジョンマスターが、理性ないっていうのは、正確にいうと違います。正確には、『戦闘狂』っていうのが正しいです。」
「戦闘狂?」
「はい、と言っても、戦闘ではなく、侵入者を徹底的に叩きのめす。っていうは方が正しいですかね?」
「?」
「ダンジョンに入ってきた冒険者を、トラップや魔物を使い、叩きのめしてくるので」
「それはそこまでおかしくはないだろ」
「?」
今度は、アスラが首をかしげる。
「いや、だって自分の家みたいなところに、武器持って入ってくるんだろ?そりゃ警戒するわ。」
「あ...」
アスラが、そういえば...って感じな顔をしている。さらに、俺は自分の考えを言う。
「それに、大抵のダンジョンマスターは、元々が魔物だったりするわけだろ?それだったら普通に仲間を殺されてたりするわけだから、人間に恨みもあるだろう?そりゃ殺しにかかるわ。」
「た、たしかに...」
そりゃそうだ、誰だって家に武器持って押し入られたらムカつく。とりあえず追い出そうとはするだろう。明確な追い出す手段があるなら、尚更だ。
「それがあるから、もともと人間だった場合も、討伐されると思って、殺しに行くんじゃねぇの?」
「...........」
また沈黙がきたな。
でも、ダンジョンマスターになった時にモンスター化して、本当に理性がなくなったかもしれねぇけどな。
「で、話戻すけど、俺ん家来る?」
アスラは、うつむいたまま黙りこくってる。まぁ、さっきは家みたいなところって言ってたけど、普通の人から見たら、モンスターハウスだからな。即答できないのは、当然だ。もし俺だったら、丸一日くらい悩むと思う。
「い、行きます。やっぱり、ダンジョンっていうのは怖いけど、どのみち、そうしなきゃ助からないんだし、行くことにします!」
「判断はやいな!まぁいいけど。」
じゃあそうと決まれば、空を飛んで...ってダメじゃん。あの魔法自分以外が使ったら絶対に落とす自信がある。
う〜んどうやって帰ろうかな。まぁ、普通に歩いて帰るか。
そういや、アスラはどうやってここまで来たんだろう?聞いてみるか。
「そういや、どうやってここまで来たんだ?」
「最初は仲間もいたんですが、戦況が悪いとみると、私が魔法を使ったところで逃げ出してしまいました。」
ひでぇやつらだ。仲間を見捨てて逃げ出すなんて。もしあったら、お灸を据えてやろう。いや、やりすぎて殺すかもしれないからやめておくか。
「そういや、冒険者ってどんな感じなんだ?」
「どんな感じって?」
「つまり、システムとかだ。称号に、ランクG冒険者って書いてあって気になったから聞いてみたんだ。」
「...え?鑑定持ってるんですか?」
「そうだけど?あれ?言ってなかったけ?」
「言ってませんでしたよ?」
「ふーんそうだったけ?」
「すごい軽い反応ですね!」
「おう、昔からよく言われてるわ。『お前責任感なさすぎー』とか、『お前軽すぎるんだよなー』とか。」
実際、俺は昔から軽い。ぶっちゃけ、そんなの面倒くせーとか思ってるんだよ。特に嫌いなのが、監督責任とか、連帯責任とか、そんなの『連帯』に入ってるやつがどうしようもない馬鹿だったら、どうしようもないだろ。監督責任とかもそうだ。うちはうち、よそはよそ。これが一番いいと思うんだよな〜。ていうか、責任感はあると思うぞ?連帯責任とかが嫌いなだけで。
「てか、話しそれたけど、冒険者のシステムってどんな感じなの?」
「じゃあ、先に私の質問に答えてください。」
「別にいいけど?」
「今、スキルっていくつ持ってます?」
え〜と俺のステータスを見てっと、
リュウヤ
属性 《風_強》《土》《火_強》《水》
種族 龍人族
地位 ダンジョンマスター
lv10
HP483/483
MP701/701
PW799
SB 671
SP832
MA799
MB809
KU60
KT600
エクストラスキル 分析者
グレートスキル 魔法同時詠唱
ユニークスキル 属性付与エンチャント 始祖魔法 泥土始祖魔法 豪炎
固有スキル 魔石吸収 魔眼 ダンジョン操作 言語翻訳 猪突猛進
スキル アイテムボックスlv2 鍛治lv1 魔証新規作成lv1 薬品製造lv1 始祖魔法lv3 圧縮lv1 転がるlv1
称号 異世界からの放浪者
まず、普通のスキルが7つ、固有スキルが5つ、グレートと、エクストラが一つずつ合計で14個だな。
「14個あるっぽい」
「じゅ、14...」
え?なに?こんなにないもんなの?まあ、確かにポンポン手に入るな〜とは思ってたけど、器用なゴブリンあたりなら、俺の倍くらい持ってそうなんだけど。
「え?14ってそんなに多い?」
「めっちゃ多いですよ!普通、多くても10くらいなのに!」
「そんなもんか〜?」
「なんかもう。驚き疲れました。」
「おう。お疲れ様。」
「誰のせいだと思ってるんですか!」
「あはははは」
「そんな感じだから軽いって言われるんですよ!」
「もう自覚してまーす」
そんな感じの会話をしながら、俺たちはダンジョンに向かっていった。