#9 彼女は幸せになりました。
#9彼女は幸せになりました。
遥華! 何処だ。何処に居るんだ!
俺は思いつく限りの場所へと向かった。
ただ、一つの場所を除いて。
「やっぱり、ここに居たんだな。遥華」
「・・・どうして、ここだと分かったんですか?」
「最初に、デートした場所、だろ」
「覚えてて、くれたんですね」
「あの、雄二さん。実は私・・・・・・クローン人間、なんです」
あれは、なんて事ない、普通の日曜日でした。
父と母は研究者でした。
普段は仕事ばかりで、夜の帰りは遅く、私はいつも一人でした。
でも、たまの休みがあると、父と母は遊びに連れて行ってくれました。
その日私は初めて遊園地に連れて行ってもらったんですが・・・
私はそこで死んでしまったのです。
父と母はそんなに悲しんではいませんでした。
どちらかと言うとワクワクしていました。
その後私はもう一人の私の体に記憶を移され、そして、売られてしまいました。
色んな所へ売られ、色んな事されました。
暴力、行為、拷問、バイト、デートなど。
「これが私の過去です。どうですか? これを聞いても雄二さんは、私を好きでいられますか?」
何故か、俺は言葉が出なかった。
好きだと言うその言葉が。
「そう、ですよね。なら、雄二さん。一つだけお願いを聞いていただけますか?」
「・・・何だ」
遥華は後ろからナイフを取り出した。
「お願いします。これで、殺して下さい」
「な、何言ってるんだ! 遥華」
「私はただのクローン人間。作られた人形と変わりません。だから・・・」
「・・・・・・分かった」
「ありがとう、ございます」
俺は遥華に近づきナイフを受け取った。
「雄二さん。大好きです」
「ああ、俺もだ」
俺は遥華にナイフを突き刺さず、キスをした。
「な、何でなんですか! 雄二さん!」
「さぁ、何でだろうな」
「でも、これだけは言える。俺は、これまでも今も、これからもずっと遥華の事が好きだ。だから」
「ずっと、俺の側に居てくれ」
「そ、それって」
「ああ、そうだ。結婚してくれ」
「はい! 雄二さん!」
本編はこれで終わりとなります。短い間でしたがありがとうございました!
この後の話をちょいちょいかけていけたらなぁ〜と思っているのでよろしくお願いします!




